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幽閉された式神使いの異世界ライフ  作者: ハクビシン
2章-13 いざ、夏季休暇の遠征
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白い飲み物と回路修復

 カミナから渡された神薬、見た目は乳白色で爽やかな甘い香りが漂うのだが、果たしてどうなることやら……。


「んッグ……カハっ!! ゲホゲホッ!! 何コレ⁉」


 香りに反して、喉に絡み付く様な甘ったるさが強く、思わず咽こむ。

 だが、身体に流れる神力の流れが僅かながら、強く分かりやすく変化しているのを感じる。


「ん? ソーマ酒だが、お前は子供だからな、酒精を抜いた物にしたのだが?」

「ソーマ酒って酒かよ!?」

「あらあら、違うわよ? 酒精を完全に抜いた物だから、お酒じゃ無いわ。それに別の呼び方をすれば甘露やアムリタとか向こうで呼ばれていた物よ?」

「あぁ、聞いたことがある……って、幻覚作用とか有るやつじゃなかったっけ!?」


(ソーマ酒……確か、記憶に間違いがなければ、不老不死の薬だったり、高揚感や幻覚作用が有ったなんて話もある神々の飲み物だったものが? 元は向こうのはずなのだが、何故?)


 そんな心情を察したのか、レヴィアス様はニコニコした表情のまま説明をしてくれた。


「元々は外界の神薬だったけど、此方に依代を残した神……こちらの魔神ね、神界に製法を残したから試しに作った物の残りよ。心配してる様な成分は、酒精と共に抜いたわ。不老不死とかの効果もあるけど、不便に成る物は全て調整してあるから、残った成分は霊力強化と活性化くらいね」

「活性化と霊力強化ですか?……体に変化は見られないですけど……」


 不老不死は勘弁願いたいし、幻覚作用やらも要らないので有難い限りだ。

 霊力強化に関しては、特性として発現した事にしてあるが、既に魂に干渉する程に強力だったものがどうなるのか不明過ぎる。


「まぁ、活性化を促して、神力と魔力の回路のを早く使えるレベルにするのよ。無論、痛みは有るでしょうけど、治まる時間は通常の方法より早いわ。問題は無くもないけどカミナさんが見てれば大丈夫よね?」

「問題無いワケでは無いんですね?」

「強いて言えば回路の組み換え時に、痛みが軽減する分拡張性と収縮性の融通が利きかん。とは言え、ルークの魔力と神力は無制限に扱える体に成っているのだから、そう言った意味では問題無い。……人の扱える一般の神力と魔力伝達速度と最大質量は超えるがな」

「……その辺はもう何も言うまい……今更だしな」


 元々魔力と神力が無制限となった段階で、人間を辞めてるのは理解した。今更、伝達速度と質量が変化した所で、あの悪魔達を相手にするのに不都合は無くなるだろう。……日常生活では偽装する必要は有るだろうけど。


「さて、ルークの回路修復を行うワケだが、方法は分かるか?」

「書物で読んだから、大まかな方法は知ってる。体内で巡廻するように回路を繋ぐんだろ?」

「あぁ、その通りだ。だが、お前もそうだが、向こうの世界で学んだ知識が有るだろう? 巡廻する物の構造を」

「体内循環……血液とか血管って所か? 様は、動脈と静脈、心臓を介した巨大な回路を生成するってことか?」

「元々人の扱う魔力や神力は、核となる心臓を中心とした回路が形成され発現している。その核を中心に無意識下で循環し術式を発動しているのだ。だが、細かい部分の血管まで循環させているワケでは無い。故に、大まかな円を描くように循環される為、不向きな魔術などは、出力や質量が適切な値に成らず呪文に頼る事が多くなるのだ」

「要は、医術教本なんかに載ってる血管全てを回路に組み込むワケだな? ……それってめちゃくちゃ痛みが酷くなるやつじゃね?」

「だから、神薬を呑ませたのだろう?」


「何を言うのか?」といった風に、カミナは言うが、実際にどこまで痛みが襲いかかるか分からない。

 説明された内容も分からないワケでは無いが、作業的にかなり難しそうな内容だ。


「イメージが大事だ。自分の血管を意識しながら、張り巡らせた神力と魔力をそれに沿って張り巡らせる……内側に収縮させる事が出来れば、出力もスムーズになるうえ、回路が強化されると言うワケだ」

「イメージ……意識の集中……回路を増強するイメージを発動する!!」


 目を閉じ、心臓を中心に循環するイメージを組み立てる。そして、一気に指先に術式化した魔力を流すと何となくだが、痺れた様な妙にビリビリした感覚が伝わる。


「グッ!!━━痛いてぇの!」


 その直後、襤褸襤褸に成った回路に伝わった瞬間、爪が剥げた様な鈍い痛みが襲いかかる。


(指先でこれとか冗談キツイぜ!? 全身の血管をなぞりながら作り直すのは嫌だけど……コレばっかは仕方無いな)


 徐々に両手指先の感覚が鋭敏に成って行く。それと比例して指先から手の甲、肘と痛みが広がっていくが、既に作業は始まった。途中で中止は出来ない。

 襤褸襤褸な回路になったが、修復をしながら増強していく為、負荷も大きい。

 漸く、肩周りまで終わったが、ここからがある種の地獄の始まりとなる。


「よし、次は足から丹田まで同じ様にして、身体、頭の順に流して行くと完成だ。だが、無理はするなよルーク?」

「正直流して所、もう止めたいケド……下手に死にたくはないから、最後までやる……グゥッッ!!」


 足先から丹田……臍の下にある位置まで回路を作り替える。痛みは増していくが、損傷している部位に比べれば、幾分マシな痛みだ。

 これで残すは胴体と頭のみとなった。ある意味で一番大変な作業となるが、これさえ終わらせれば、後は成長と共に回路も跳ね上がる程に強化されていく。

 そう考えると、少しはやる気になるが、難関な作業は2箇所ある事を考えなくてはならない。


「さて、どのみち気を失うだろうが、どっちが良い?」

「……どっちが楽かなぁ?」

「頭から行う方が幾分マシな気がするが、判断はお前に任せる」


 頭の回路を作業すれば、先程までの痛みが頭部に、胴体から行えば、心臓や臓器に痛みが走る。

 何方もその痛みは想像を絶する物だとは分かるが、痛覚遮断を行う事も出来無い。下手に魔術や神力を扱って回路に齟齬が出ては意味がないからな。


「頭からやって、気絶中に胴体を済ませてほしい」

「分かった」


 カミナは、そのまま俺の頭に手を載せる。

 術式の主導権をカミナに移行しやって来る衝撃に身構える事にしたが、やはり恐怖はあるし痛いのは好きではない。


「……安心しろ、直ぐに終わらせる」


 鋭い痛みと共に聞こえたカミナの声を最後に、俺の意識は再び途切れた━━。




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