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幽閉された式神使いの異世界ライフ  作者: ハクビシン
2章-13 いざ、夏季休暇の遠征
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存在しない剣

「ん……ん? あれ?」

「どうした? 目が覚めたか?」


 寝ぼけ眼で起きようとしたが、何故か身体が起き上がらず余り周りを見る事ができない。序に、寝た時に比べるとムニッと後ろ頭に柔らかい物が当たる感覚と、何かを柔らかいものが頭に乗っかっている感覚が有った。


「カミナ? また膝を貸してくれたのか……」

「あぁ、気にするな。したくてした事だからな」


 流石に起きようと思ったが、よく見るとカミナが肩を抑えている為、起き上がれない状態になっている。

 ただ、疲労感も凄く、起き上がりたくない程に気持ちの良い感だからだろう。俺の意識は再び落ちようとしていた。


「休んでいる所ごめんなさいね。少し良いかしら?」

「何ぞ用事が有るのか? 蒼龍よ」

「貴女にでは無く、ルーク君にね。まぁ、貴女も関係している事だから、居てくれる方が助かるわ……そのままで良いから、楽にしていて」

「いえ、そういう訳には……アレ?」


 休んでいる最中、レヴィアス様が何時の間にか来ていた。

 流石にこの体勢のまま話を聞くのは、失礼極まりないと思い、落ちかけた意識を醒まし起きようとするが身体が怠く動かなかった。


「やっぱりね、だと思ったわ」

「どう言う事だ?」

「いくら神力が無制限だとしても、使用者が用途に合わせた制御出来てなければ、加護が有っても、超過した反動が疲れとして蓄積するのよ。まぁ、魔力枯渇と同じ様な物ね。あの暑苦しい莫迦が鍛冶系統の加護を与えたから油断していたわ」

「あぁ、成程」


 どうやら、一気に扱える許容量を超過していたらしい。久々に感じられる怠さも、魔力枯渇と同じ物ならば納得がいく。

 然し、使用許容量を超えるような使用をしたつもりは全く無いのだが……?


「恐らく、神力炉自体が神力を抽出して扱う物だからだろう。その為に神力の扱いを練習させつつ、あの紫龍はお前の神力をストックしていたのだろう?」

「えぇ、本来なら神か使徒にしか扱えない神器を扱える様にする為にね。予定よりも必要神力が多かったから、少しずつけど蓄えさせて貰ったのよ。まぁ、神力が増えていたのは想定外だったけど、それより一回の使用許容量が少なかったのは、こちらの読み違いだったわ」

「元々神力を保有していた者とは違い、後天的に神力を扱える様になった者は保有量も少ない。ルークの場合は魂に神力が保護されていたとは言え、本来ならば扱う予定は無い力だったからな」

「何それ、俺、聞いてないよ!?」

「それはそうだろう? 本来の予定ならば、どういうトラブルが来ても良い様に私が護り、ルークの一生は順風満帆で魂の質を満たして輪廻の輪に乗る筈だったのだぞ? 問題は、面倒事(トラブル)が魂レベルで結合してるかと思う程に付き纏っている事だ。何故か喪失した霊力まで取り戻しているのが尚更たちが悪い」


 転生する前から厄介事は付き纏っているから最早、日常的な物だと認識していたし、この世界に来てからは、知っている知識から商品を作り出し、軽度の知識チートとも言える事はしている自覚は有るつもりだ。

 今更、トラブルメーカーと言われても仕方無いとも思っているが、転生やら輪廻の輪に乗る事まで決まっていたとは聞いてない。


「まぁ、そんな事は、今となってはどうでも良い。此方に転生して随分と可愛らしい姿になったし、こうして甘やかす事も出来て私としては満足だからな」

「最近、カミナが何考えてるかワカラナイヨ」

「最早、遠慮するつもりが無いからな!」

「さいですか」


 昔から甘える事は多かったけど、こちらに来てからは、人の姿をしている事が多くなり、ブラッシングを除いて昔の様に甘える事が無くなったかと思えば、場合によってはこういった甘やかしをしてくる様になっていた。


「んッ、話を続けても良いかしら?」

「アッ、ハイ」


 いかん、ついカミナとの話につられてしまったが、レヴィアス様の話は聞いておかないといけないよな……。


「とにかく! 許容量に関しては扱えば拡がるから、今回の件でスムーズに扱える量が増えた筈よ。それと、アグニシュカが整え作業をしてるから、今の内に名前を考えておいてね? もうすぐ完成する頃合いだから」


 レヴィアス様はそう告げると、微笑みながら一瞬にして姿を消し、再びカミナと二人だけの状態に戻る。

 名前をどうするか……要は銘の事だろうが、完成した現物を見ない事には、どうにもしっくり来ないと考えていた。


「完成した現物の見た目だとかやっぱり重要だと思うんだよね~」

「そんな物か?」

「カミナの散椿だって、別の名前だったらどうする? 例えばヒマワリとか、チューリップとかさ?」

「締まらない名前ではあるが、性能が違わんなら気にはせんな。まぁ、龍と戦う事でも無い限り、そうそう本気で戦う事も無いだろうしな」

「まぁ、本来の力をそれで隠してるんだから仕方無いか?」

「待たせたな!! 封じの剣が完成したぞ!」


 雑談をしていると、今度はアグニシュカ様が咆哮じみた大声と共に姿を現した。

 その手には、先程作り出した原型よりも少しばかり細く見える剣が握られていた。

 どうやら、抜き身の剣の様だが刀身は宝石や結晶の様にも見える。


「バスタードソードか? 宝石剣や水晶剣の様に見えるが、これが先程の物とは思えんが……」

「ん? これは六龍の血を固めた刃だ。バスタードソードみてぇな形状だったからな、一応この形で固定したが、先に言っておくと、なまくら刀よりも斬れねぇ」

「ヘ?」

「神器である以上、名前と主を定めねぇと力を発揮しねぇからな。当然だろう? まぁ、鈍器的な扱いならこのままでも出来るけどな」

「いやいや、神器である事は兎も角、龍の血とかどういう事ですか?」


 流石にぶっ飛び過ぎて、こっちも理解が追い付かん所でだ。

 瘴気溜まりや、その原因でもある肉塊を封印する為、神器である事は想像できなくはないが、龍の血を使った刃だとか言われても理解し難い。


「手短に言えば、神の武具やらの繋ぎにゃ龍の血を使うのは(俺達)の間では常識みてぇな物だ。んで、コイツはルーク(お前)の神力と六龍の血を結び付けた神器であり、魔剣と神剣の両方の性質を持つ剣だ」

「両方の性質?」

「瘴気に侵蝕されない魔剣の性質と、浄化の力を持つ神剣の性質を持ち合わせる()()()()()()()()()剣だ」


 アグニシュカ様の話を聞くに、どうやら普通の魔剣では無い事だけは理解出来たが、存在しない剣とはどういう事なのだろうか?

あけましておめでとう御座います。

忙しい時期で中々更新出来ませんが、

これからも宜しくお願い申し上げます。

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