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幽閉された式神使いの異世界ライフ  作者: ハクビシン
2章-13 いざ、夏季休暇の遠征
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あぁ、夏季休暇!

「それでは、これで本学期を終えます。それと、宿題は忘れずに行ってください。良いですね?」

「「「は~い!! ありがとうございました!」」」


 教室で成績表を受け取り、前世でもお馴染みの諸注意を終え、待ちに待った夏季休暇がやって来た。

 他の生徒も蜘蛛の子を散らす様に教室から出ていくが、俺はカミナ達と打合せをする為、そのまま教室に残っていた。


「それじゃぁ、先に片付ける物を改めて整理しようか?」

「先ずは山ン本だったか? の問題を解決するのだろう?」

「そうだね、その方が早いと思うし、それと神珠とにシャガール様の所に持っていく魔剣を作成する鉱石をシュルフェーレに貰いに行くのが無名の地での主な目的だよ」

「その後が帝国領のクラーケン討伐だな?」

「あぁ、後はレイさんに頼んだ緋緋色金の採掘が2月目に有るから、その採掘まで帝国領に滞在する流れだね」

「3月目はレスティオで、初めて祖父母の所に行くのだったか」

「らしいよ。父様が伯爵位にならなかったら、もう少し早い段階で行くつもりだったって今朝届いた手紙に書いてたし」


 色々と立て込んだ結果、仕方無いとしか言えないのだが、本来ならば入学前に一度顔合わせを行う予定だったらしい。

 まさか、ここまで大事になるとは思っても居なかった父様達は、とにかく領地の収益安定と領土開拓を進めるのに時間を取られる事になり、俺も資格を取ったり、入学の準備やら色々と動いていた為、ゆっくりと時間の取れる夏季休暇に合わせたそうだ。


「さて、その時にはどういう反応をするのか楽しみだな?」

「あ~、はいはい。普通の子供にしては、おかしい事に成ってるのは百も承知ですよ」

「ククッ、拗ねるな。……ふむ、来たか?」


 カミナはそう告げると、影の中から頭を出して外の方を覗き込んでいた。

 その後直ぐに足音が幾つか聞こえ、見知った顔がやってきた。


「おぉ、待たせたな!」

「いや、所でどうだったんだ?」

「バッチシ。「問題ねぇ! 人数いるなら離宮を使えっ!!」てさ! 兄貴も楽しみにしてるって」

「そっか、それなら宿題を早目に片付け無いと駄目だな」

「ルークも兄貴と同じ事言うなよ。せっかくの夏季休暇だぜ?」

「そないな事言うて、何時も最後の日に痛い目見てるの誰か忘れたん?」

「やっぱそのパターンか。て事は、オリビアは頭の方で片付けるタイプか?」

「いいえ、毎日決めた箇所をやってます。一応の余裕は出来る程度にしてますけどね。今年は、女子グループでやりますから、阿呆の手伝いは一切しまへん」


 アーサーとオリビアは兄妹とは言え、やはり性格が正反対なのがよく分かる。


「あぁ……エリーゼ達と一緒にするなら楽しそうだな」

「序に恋バナやら色々と聞かせて貰いますのでね?」

「あはは……お手柔らかにお願いしとくよ。それじゃ、3月目は、頼むぜアーサー?」

「おうさ!!」

「お泊り会の話は終わった見たいですわね?」

「リーフィア、終わったよ。ゼノさんにお泊り会の話をしてもらったら、離宮を使わせてくれるって」

「まぁ、それは有り難いですわ!」

「ソフィアは夏季休暇中は帝国に戻るから、取り敢えずはお土産を用意しとかないとだなぁ……」

「そうですわねぇ……緋水晶のアクセサリーとかが有名ですけど、後は大人の方がお酒を買うくらいでしょうか?」

「まぁ、加工は自分ですれば良いんだけどね」


 ソフィアもそうだが、リーフィアも一度公国に戻る。

 理由は当然ながら、国内の(まつりごと)だ。

 (イフリート)の季節は、ウルムンド王国も含め、ドーラン帝国にダムシアン獣公国とレスティオ神龍皇国の4国は祭りが開催される。


 それぞれイフリートの1の月から、3の月の間に行われており、どの祭りも被る事が無い様に調整されているのだが、今回その祭りで開会の挨拶を3人共行う予定になっているらしい。

 とは言え、クラーケンの討伐等を予定に入れている為、確実に参加出来るのは、イフリートの3月目にあるレスティオの祭りぐらいだろう。

 その時の泊まる場所は父様達には悪いが、アーサー達と勉強を含めて遊ぶ為に、ゼノさんにお願いをした。


「それじゃ、予定通りなら1月目の中から終わり頃にエステングラートでのクラーケン討伐になると思うから、みんなで合うのは今日が最後だな?」

「そうですわね」

「まぁ、ルークは会うのは楽だろうしな?」

「確かに、会うのに使えるけども、会う許可も約束も無しに不法入国やら進入はしないよ……(流石に許可は取るし、緊急性の高い場合は行うだろうけどね)」


 今の所、転移が必要になる際は、事前に連絡を行い行使している為、問題にはなっていない。

 それに正直な所、転移は便利ではあるが使うには制約がある為、万能では無い。

 個人で行う場合、知っている場所でなければ、安全な転移が出来ないし、そもそも座標がズレると足首が砂浜に埋もれたり、昔のゲームよろしく壁にめり込む事もあったらしい。

 レイさんは、戦闘技術に昇華させたとソドムさんが言っていたが、それ自体が既に高難度の技術である。


 俺自身、実際に使えなくは無いが、演算処理や地形把握等を戦闘中に行うのは厳しい。それなら身体強化で、速度に緩急つけた戦闘スタイルで戦う方が容易いくらいだ。


「それでは安全に部屋に戻るとしますかね?」

「短いエスコートお願いするわ!! 一応連絡はしているから、ドーハが中庭に場所を用意している筈よ」

「ルーク君よろしくねぇ〜? 私は執務室を開けてもらったから、そちらでお願いね~」

「分かった! それでは、お手をどうぞ?」


 リーフィアとソフィアの手を繋ぐと、先ずはダムシアンの中庭を思い浮かべ、魔力を放出させる。向う側が揺らぎ始め、丁度向こう側の景色に見慣れた姿を見つけた。


「ホッホ、お帰り、リーフィア。そして、ルーク君やソフィア嬢も、いらっしゃい」

「お父様!? 何故コチラに? ドーハは何処ですの!?」

「ん? ドーハなら、暫く前に出迎えの準備をしに戻したよ。何、荷物も殆ど転移で送ってもらえると聞いていたからのぉ……問題ないじゃろぅ?」


 やはりと言うか、フットワークが軽い人だなぁと思うが、何時もより向けられる視線が多い事にリーフィアとソフィアは気付いているのだろうか?


「ご主人様? かなりの人数が隠れていますがどうしますか?」

「ルーチェは何時の間に? まぁ良いや。警戒は解いて」

「畏まりました」

「後は、口調を崩して良いよ。俺が許可するから」

「……分かった」


 最近ルーチェが何時の間にか部屋に居たり、隠密行動をカルロと行っている事が多い為、対して姿や気配が無い事に気を止めていなかったが、久々に後ろを取られると流石にビックリしたが……。


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