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幽閉された式神使いの異世界ライフ  作者: ハクビシン
2章-12 領地開拓の為の準備
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1つ目の依頼終了

「取り敢えず、その法衣は目立つからこれに着替えろ。それと顔もこの兜で隠せ」

「仕方無いですねぇ。無用の混乱は要りませんからね」


 カミナは鎧と兜を取り出し、ルーカスに着るよう指示を出し、紙に巣の内部を書き出していた。

 流石に安全かどうかも分からないリッチが、この付近に居た事実を知られるのも、報告に案内を行うと必要以上に時間を取られる元にしかならないと判断したからではあるが……。


 ルーカスが着替え終わり、動きの確認を終えた頃、人の影が見えてきた。


「おや? 誰か来たようですなぁ」

「カミナさん!! ゴブリンの巣はどうなりました?」

「心配せずとも終わった。私の主人が使いを送ってくれたみたいでな、コイツだ。まぁ、骸骨騎士(スケルトンナイト)だから、問題は無いだろう?」

「あぁ、カミナさんが支配しているのでしたら、問題ないですね」

「そういう事だ。内部の掃き溜めに遺骸があったが、捜索依頼が出てないなら難民か奴隷の物だろう。浄化はしてあるから、レイスやスピリットにはならんだろうがな。因みにこれが内部の内部構造だ」


 やってきたのは、マーレイを含む数名のギルドスタッフだった。マーレイは内部地図を受け取り、直ぐに自身の地図と比べていた。


「なるほど、かなり細かな地図で助かります。所で、ゴブリンの方は、どうやったんですか?」

「ん? あぁ」


 カミナは、リッチと聖獣もどきの件を隠して、他の全ての情報を話した。


「魔力で復活する骸骨騎士を使って誘導し、水の魔術で溺死ですか……」

「まぁ、私も急いでいるからな、調査も魔力波を区画事に流した広範囲探索の方法で行っているから、あくまで通路と部屋が在る事の確認だけだ。それに、阻害魔術の魔術はもう切れているから、内部で普通に使えるぞ」


 その言葉を聞いたマーレイ達は、途端に目の色を変える。


「魔術が消えたのなら、後は大丈夫ですね!! カミナさん、この証明書をギルドに通して下さいね! 報酬の引換証明書ですからお忘れなく! 皆さ〜ん行きますよ〜」

「「「はい!!」」」

「怪我しないようにな?」

「大丈夫です! 討伐は難しいですけど、調査と逃げ足だけなら冒険者の方にも負けませんから!」


 何とも頼りない答えが返ってきたが、マーレイ達調査班は、そのままゴブリンの巣穴に入るとそれぞれが作業に入って行った。

 カミナはその様子を確認して、カンテボへと歩みを進め冒険者ギルドに向う。━━後ろから着いて来る影に気付きながら。


(恐らく、カンテボの入口から感じていた物だとは思うが……巣穴まで入って来る事はしなかった。何が目的だ?)


「おい、ルーカス」

「はい?」

「転移でお前を王都の近くの森ヘ飛ばすから、そこで待機していろ」

「分かりました。森に着き次第この鎧と兜は魔法鞄に収納して、わたしは地面に透過しておきます」


 ルーカスは、カミナの転移陣が形成し終えた段階で、そのまま転移先へ移動を行なうと、転移先で姿を消した。

 カミナといえば、そのまま建物の日影ヘ潜り込み、姿を消して様子を伺う事にしながら、移動を開始し始める。


「本当に、この辺りに居たのか?」

「間違いないよ……なぁ?」

「見てたけど、この先に道、無いよね?」


 影の中に聞こえたのは━━子供の声。

 男の声が2つと女の声が1つだが、影の中から視線をやれば、まだ10歳前後の男女の子供と、12か13歳位の背丈の少年だった。


「どうするの? このままだと、もう見つけられないかも」

「このままだと……確かに不味いな」

「ぁ……あん、ちゃん……」

「……こ、怖いよぉ……」

「ん? どうしたんだ? お前等……何に」


 建物の陰に入り、影に背を向けた少年を、子供達は怯た目で見ているが、少年は背後の存在に気づく様子は無かった。


「お前達……コソコソと付け廻して何がしたいのか答えてもらおうか?」


 叫ぶ間もなく肥大化した影は3人を呑み込むと、その場に元々あった大きさの影ヘと姿を変える。━━たった1つの姿を残して。


「先にギルドに報告をするか」


 その手には、鈍く光るタグと冒険者のライセンスが握られていた。


 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

【カンテボ 冒険者ギルド】


「つまり、他のゴブリンの巣穴よりかは、上位種が多かったのか?」

「魔力が淀みかけていたから、その魔素を吸収したのだろう。大型種は確認出来なかった所を察するに、小型が上位化するので関の山と言ったところだろうがな」

「浄化してくれたのなら問題は無いだろう。しかし水攻めか……」

「効率的ではありますけど、流石は上位冒険者と言うべきですね」


 カミナは、ペイディとリズフェリアに巣穴での内容報告を行いながら、依頼の報酬を待っていた所で、一羽の鳥が入って来た。


「マーレイからの手紙だな……ん。内容に間違いは無いようだ。巣穴の遺骸とゴブリンの死体は確認出来た。確かに畑で見られたゴブリンの姿は無いようだな」

「では、こちらが新しい巣穴の報酬分になります。……本当にお金じゃ無くて同金額の果物で良いのですか?」

「あぁ、どうせ依頼の報酬で買うつもりだったからな。そっちの方が面倒無くて済む。死に穴の方は同額の蜂蜜で頼むぞ? 確か此処なら大瓶2本は買えるだろう?」


 カミナは、果物の詰め合わせが入った箱を4つ、中身を確認して印をしながら魔法鞄に収納した。


「そうだ、私を付け廻していた不届き者を捕まえて置いた。見覚えが無いか確かめてくれないか? 私は、もう一つの仕事がてら、畑と死に穴を確認してくる━━【夢幻牢】」


 カミナの影が伸びると、その影から3人の影が出て来る。━━それは、カミナを追い掛け回していた子供達だった。


「コイツ等、まだ悪さしてやがったのか?」

「さぁな? 街に入ってからと、新しい巣穴の近くまで着いてきていたが、街中になった途端に私の何かを狙ったいたようだから、捕縛した迄だ」

「あら? この子、最近失敗した冒険者の一人ですね」

「ん? ゴブリンを取り零した冒険者か」


 リズフェリアの話から、どうやら少年の方は、ゴブリンを取り零した冒険者の一人であるそうだが、何故カミナを狙ったのかは分からないらしい。

 他の二人については、心当たりが無く、カンテボの外側に位置するスラムの子供の可能性があると言う事だった。


「そうか、まぁ良い。畑と死に穴を調べたら直ぐに戻る」


 カミナはそう告げると、ゴブリンの現れた畑と死に穴の調査へと向う為、ギルドを出て行く。


「……距離も近いし、先にゴブリンの死に穴から向かうか」


 死に穴も畑も、然程遠く無い場所にあった。

 日中は活動が無く、夜間に姿を確認出来たらしい為、先に死に穴に向ったカミナだったが、そこで見たものは、ゴブリンの巣穴とは呼べない物だった。

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