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幽閉された式神使いの異世界ライフ  作者: ハクビシン
1章 -2 呪術人形と勲章と
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大荒れの陞爵と勲章授与式

 勲章授与並び陞爵式の日が来た。


 ルークとグランツは、正装をし謁見の間に他の貴族と同じ様に並んで居た。


 謁見の間には、公爵家から順に玉座の近い場所に並び、領地を持たない貴族達は、入り口の警護兵に近い位置に並ぶ。


 今回の式典に関しては、ルーク自身の行いが招いた結果であり、父親であるグランツに関しては巻き込まれる形であったが、陛下からの手紙には簡単に、『グランツの陞爵も行うのでルークと一緒に並ぶように』という内容が書いてあった。


 玉座に続く赤いカーペットに、添うように並んだ貴族達の対面には、ゴードさんやアイネさんの姿があったが、玉座に視線を向けていたので、こちらには何の反応もなかった。


「レシアス陛下、ドーラン皇帝、ダムシアン大公、ご入場です」


 眼鏡をかけた、50歳位のロマンスグレーの髪をした男性が会場の貴族に告げる。


 同時に、全貴族は片膝を突き頭を下げる。

 俺は、周囲と同じ様に頭を下げた。


 玉座の横にある扉が開かれ、各国の王がそれぞれの妻と、今回の重要人物でもある三人の王女達と共に現れた。


「皆の者、表をあげよ」


 陛下の声に、俺を含む全ての貴族が頭を上げる。


「此度の件であるが、我等三国の王女達がレシアスに戻る最中に、山賊に襲われた。つい最近指名手配をしたバーン一家30名にだ」


 バーン一家の名前が出た途端、少しだけざわついたが直ぐに収まった。


「幸いなことに、護衛に怪我人は出たが、死者も慰み者にされた者もいなかった。捕まれば我等三国の王女達も、年端もいかぬとはいえ、違法奴隷として売られる所であったが、今回、運良く通りかかった者達に救われた。前に出よ」


 玉座に座る陛下や、両隣に立つ皇帝と大公は、前回部屋に訪ねて来た人とは思えない程の圧を感じた。


「グランツ・フォン・ラーゼリア、三男ルーク・フォン・ラーゼリア、両名は陛下の前へ」


 騎士に連れられ、陛下達の前に出た。

 父様が片膝を突き、再度頭を下げ俺も同じ形で頭を下げた。


「此度の働きに対し、両名に褒美を与える。先ずはグランツ、お主には伯爵に陞爵とし、白金貨を30枚と伯爵の証明となるミスリルのブローチを、帝国と公国からは竜馬(ドラグホース)の番が二頭、碧眼魔水晶(リーガクリスタル)を与える事になった。これからも宜しく頼むぞ」


「はい、グランツ・フォン・ラーゼリア謹んで承ります。」


 肩に手を当てられ、父様ははっきりとした返答を行った。


「さて、皆の中には、何故この場に子供が居るのかと思う者も居るだろう。先に伝えた奴らを全て捕らえたのはこの子供なのだ。しかしグランツ伯爵の三男であり、グランツの後は継げないらしい、このような才能を野に放つのは、王国の損失だと私は思う、皆はどうだ?」


 俺はそのまま、勲章を授与されると思っていた為、陛下の話を聞いて居たのだが、どうも話がおかしくなって来ている。


 貴族達は突然の言葉にざわついていた、何せ『まだ5歳の少年に爵位を授けよう』と言って居るのだから当然の事である。


すると一人の大臣席に並んで居た貴族が一礼し口を開いた。


「失礼致します陛下、いくら陛下と言えど、この様な子供に爵位を与えるなど…」


その言葉に賛同する声が上がり始める。


 するとキツネ耳を動かしたダムシアン大公が一言。


「成る程、王国では子供故に、勲章のみで良いと考えておる輩が大臣に居るみたいじゃのぅ、ならば儂の所でルークに爵位と執政官をやっても良いと考えて居るがどうよ?」


「ほう、大公ソドム殿がそう考えておるか、確かに獣公国なら実力主義の故に通じるな」


「待て、王国が爵位をやらんなら、帝国も爵位と執政官を与える。帝国の学院へ無償援助も合わせて行うぞ。後は販売する物が出来たら、こちらの支店で行える様に手配も出来る」


「フム、皇帝のレイ殿もか、これは参ったな、学院関係は私も考えていた事だが、見事に被ったか。しかし販売とはなんだ?私は知らんぞ」


「それではルークよ、幼いその身に聞こう、どうしたいかを、帝国か公国で爵位を貰うか?情報の収集もロクにせずざわついている愚か者の居る国で過ごすのか」


ドーラン皇帝の声に乗せられた魔力を感じた大臣達は、一斉に静かになり始める。


「そうじゃのぅ、どうせ三国の最高勲章を授与されるんじゃ、貴族としても公爵と同じ位の功績になるからのぅ、……おぉ!!そうじゃ、ルークよウチに来ればリーフィアを嫁にやろう!!」


ソドム大公の一言で、謁見の間が凍りつく程に静まり返る。


「「なっ!!」」


と言う陛下と皇帝の声が響き渡り、続けてソドム大公は話す。


「確かに子供ではあるがな、魔力制御、体術、剣術どれも5歳で至るには早すぎる程に高いレベルじゃ。まだ伸びる事じゃろうし、内政は学べば良い、婚約者も未だ居ないのならば、こんな好条件、早めに唾付けるに決まっておる。それにリーフィアも満更でも無い様だしのぉ」


ソドム大公がそう言い終わると陛下と皇帝は見合って頷く。


「皆の者、一時式典の休憩を取る事にする。各貴族は、大広間にて待機せよ………グランツとルークは、こちらに着いてこい」


陛下の声が響き渡った。

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