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幽閉された式神使いの異世界ライフ  作者: ハクビシン
2章-11 古の鍛冶師達
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半神化

「現状確認したけど、まさかここに来て半神化してるとか……無いわぁ」


 取り敢えず現状の確認でステータスを見た結果、人の枠を超越した事は再確認できたが、俺自身望んだ覚えは無いんだよなぁ。


 スローライフを送るつもりで、錬金術を含めたスキルを選んでを覚えた筈が、高レベルの加護に加えて、様々な恩恵を受けた結果、エルザ達を助けた流れで最年少の貴族となったり、陞爵して開拓が始まったりしている。


 まぁ、人の縁ってのは、切っても切れないって言う物だから大事にするつもりだが、既に予定の想定外な人生となっているので、其れはそれで考え物だ。


「取り敢えず、『神域解放』ってのを使って見るか。黒曜、周囲の警戒頼む」


 今更過ぎたことを言っても仕方無いとはいえ、このまま放置という訳にはいかない。

 俺は、恐らく天界に関係ありそうなスキルを使う事にした。


 神力を掌に籠めて、自身の周囲を覆う。暫くすると、七色の光球が現れ、何か神聖な物っぽいベールに包まれる。

 周囲の空間が揺らぎ、変貌した景色が流れていくと同時に、素晴らしく見たくもない光景を目の当たりにしてしまった。


 前世の神様で太陽神の【天照大神(アマテラスオオミカミ)】様。

 その弟で、夜(月)や五穀の神でもある【月読尊(ツクヨミノミコト)】様。

 そして、海神、荒神、武神、風神、冥府神等の神性をもつ以外に、英雄としての面を持つ男性神で、俺を神降ろしの利用して助けてくれた【建速須佐之(タケハヤスサ)男命(ノオノミコト)】様。

 この世界の主神で、俺がこの世界に来た原因でも女神でもある【エウリシア神】が居た。


 しかし、俺が見た光景は、綺羅びやかな着物を着た若い女性が、よつん這いになり、恐怖に顔を引き攣らせながら下を向く屈強な筋肉質の男性の上に、平になった岩を積み重ねている様子と、此方に土下座しているこの世界の主神、お茶を飲みながら此方に手を振る御老体と云う何とも言えない混沌(カオス)な空間だった。


「久しぶりじゃのう? とう……ルーク君じゃったな」

「お久しぶりです。ツクヨミ様この状況は一体?」

「ちっと弟が馬鹿をしたのでなぁ、姉上が久々に折檻を行っておるのよ」

「はぁ……それで、エウリシア神は何故土下座を?」

「それには妾が答えよう。本に半神と成ってしもうたか、口惜しい限りじゃ」

「天照様、お久しぶりで御座います」

「良い良い、口調も崩せ。妾はコレが普段故に、緊張させるかも知れなんだが、寛ぐが良い」


 何故だろうか? 天照様の態度が神刀(鏡花水月)を授けてくれた時よりも、物凄く軟化していると感じてしまったのは。


「ルークよ、お主が相対した者じゃが……アレはこの世界の異物ぞ。墜ちた神が肉体を喰らうた者、植え付けられた因子は、その神の力が一部である。危ない目に会わせぬ様にと言うておったに、この世界の龍達が利用しようとしていたのでな? スサノオの力の一部用いて神刀に昇華させたのよ。……問題はこの愚弟が、消して構わぬ神の因子を残して、マイナスとなる物のみを刈り取った事、半神と成ったのは愚弟のミスよ」

「姉上、そこまで言ってなかったではないか!! ぐふぅぅ、重しが増えた!?」

「喧しい!! 勝手に加護まで与えよって、結果としては魂が穢されぬから良かったものの、1つ違えばこの世界が崩壊するかも知れなかったのだぞ?」


 姉弟喧嘩の様に言い争いをしている二人だが、今の会話の最中に、おかしな事を言っていなかったか?


「ホッホ、ルーク君の聞きたい事は何となくじゃが、理解しているつもりじゃ。ベルフォートはの、此方の世界の主神以外が、己の存在を維持する為の依代となる物を置く世界なのじゃ。形も様々な物があるが、大半は魔導書として存在しておる。……此方で既に忘れ去られた神も含めてな。故に、儂や姉上などの管理をしている主神級の者は渡れぬが、荒神や流された経緯を神話に持つ者は渡る事が出来るのじゃ。ノルンと呼んでおる魔神も、元は此方の神と同一神じゃよ。見た目は、かなり違うがの」

「えっと? ん〜?」

「要は、株分けと思って良い。同じ者だから力は変わらぬが、難しければ此方の世界とは育ち方が違うIF(もしも)の存在や双子とでも思えば良い。あり方は違うがの」


 この世界に、同名の神の名を持つ魔導書がある理由は理解できたが、何故俺に元の世界を崩壊させる可能性が有るのだろうか?


「その事については、簡単な事じゃよ。此方の世界で与えていた姉上の加護が、ベルフォートで発現してしもうたのじゃ。儂の加護は、まぁ問題ないが姉上の加護【太陽神の加護】は強すぎる加護でな、あのまま因子が魂を穢しでもしたら、そうさな、大神家で起きた事が世界を巻き込んで起きたと思っておくれ」

「ツクヨミ様!! た、対処法は無いんですか?」

「それについては問題ないぃ!! あ、姉上、話をするので、岩を、退けてはくれませぬか?」

「仕方無い、話す間のみ赦そう」


アマテラス様がスサノオ様の岩を退けると、スサノオ様がその体を此方に向け、胡座で座った。


「おう、すまねぇな。ちっとばかし迷惑をかけたみてぇだ。スサノオと呼べ、ベルフォートだと堅っ苦しい言葉遣いだが、こっちが素なんでな、まぁ昔は貴族やったり妻に歌を詠んだりしたが、本来の気質は変わらねぇ。荒神様と武神、冥府神とやってる者だ」

「先程は有難う御座いました。お陰様で命拾いしました」

「そいつは姉上からの依頼だったからな、気にしなくて良い。お前に妙な物を埋め込んだ奴は、不死性を持っていたら、今頃は地獄の苦しみを体感してるだろうさ。で、対処法だが、そのまま破壊神になれば良い。勿論ベルフォートのだけどな」

「はい!?」


対処法が破壊神になる事って、どういう事!?


「まぁ、お前の考えも理解る。簡単に説明すると、本来のベルフォートの姿ってのは、統一神って訳じゃないんだが、色々重なった結果がエウリシアだけに成った。ここ迄は良いか? そしたら次な、他の役職につく者が居なくなり、殆どの役職が統一される訳なんだが、唯一除外されるのが、破壊神って訳だ。何せ、破壊と創造は表裏一体ってのは理解されてるが、同じ者って認識は無いからな。空席になってる訳だ」

「その空席に俺の名前を入れるんですか?」

「いや、正確に言えばちと違う。お前の名を入れるのは、死んだ後だ。今からするのは抜け道でな、破壊神の代役として存在してもらう。要は使徒だな」


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