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幽閉された式神使いの異世界ライフ  作者: ハクビシン
2章-11 古の鍛冶師達
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授業後のお話

「やはり、成長の速度が早過ぎる見たいじゃのぉ?」

「そうなんですか? 自分じゃ全く分からなくて……」

「う〜む、何と言うか……昔、会った事のある賢者の子孫が、丁度似たようなスキルレベルの上り方をしていた……そやつの場合、禁書クラスの魔術を憶えた結果、最後は脳が焼き切れてしもうたのか、廃人に成っていたがの」

「えぇ……」


 ヴェルガ先生に連れられ、俺はドラムシアス学院のトップであるグリムガルト学院長と話しをしていた。

 やっぱり、俺のスキルレベルが上がり方が異常なものだったらしく、ヴェルガ先生やオーレルカ先生までが学院長室に集まっている。


「基本的な事を言えば、生まれてから初めて得るスキルは大概が1から2レベル。時折3レベルの自己回復系統のスキルを持つ者や加護を複数持つ者が居るが、後の成長は成長促進系統のスキルを持っていたとしても、他の者より多少伸びが良い程度ですね」

「初めての授業で、いきなりレベル3のスキルを会得する事は、先ず異常な事だ。ワシも初めての経験じゃから、オーレルカから聞いてなければ注意も向けん所じゃった」

「まぁ、少し物覚えの良い生徒と思うわけにも……いかぬのぅ? ルーク君、何か心当りはあるかのぅ?」

「今まで、こういった経験が無いので……」


 グリムガルト様から尋ねられた質問に、心当りはと言えばある。シャガール様の空間に閉じ込められた時の、神力を使った感覚は、今回の感覚に近い様な気はするが。言わない方が良いだろうな。


「まぁ、そうじゃろうな。今回の分に関しては、まだ問題無いと判断するが、もし不調があった際は直ぐに医務室に行く事を約束してくれるかのぅ?」


 グリムガルト学院長は、心底心配そうな顔でそう言ってくれているが、実際の痛みは酷く痛むという事も無い。

 強いて言えば、軽い片頭痛程度に済んでいた。


「多分大丈夫だと思いますが、次になったときは、必ず医務室に行きます。ご心配をお掛けしました」

「いや、ルーク君の能力が高い事は知っているが、この様な自体が稀ですから、不測の事態になる前に対応するのは大人として当然の対処です。貴方はまだ子供なのですから少し頼る事を覚えなさい」

「ワシが言うのもアレじゃが、オーレルカの言うように、何かあったら直ぐ近くの先生に言うておけ」


 頼るねぇ……中身が30歳に近いからか、自分の事や周りの事を一人で済ませようとする考えは今更だし、どうしょうもないと考えていたが、体は6歳の子供であるのは変わりない。

 多少は頼る事を覚える方が、この体に掛かる負担を減らす事も出来るのは、頭では理解しているつもりだ。

 但し、頭で理解しているつもりなだけで、行動に移せないだけとも言えるが。


 今回、いきなりレベルが高い状態でスキルを会得したが、そうそうこんな事は無い筈だ。

 恐らく、何時も行う作成作業の工程に、何らかの要素が有ったから頭痛とセットで会得したのだと推測している。


 いきなり基礎加工Lv3のスキルを得た結果は、作業効率の上昇とレシピの一部だが、基礎加工のほぼ全てを終えたと思っても良いだろう。

 Lv5になれば、魔金属と魔結晶の加工をスキルで覚えるのに必須の条件が揃うからね。


「引き止めて済まなんだ。今日はゆっくり休むとえぇ、無理は禁物じゃよ」

「そうですね、それでは失礼しました」


 帰ってから今日の魔術の見直しだとか、復習をしようかと思っていたが、流石にコレは無理な流れだな。

 特に、基礎加工のスキルに関しては、何が要因か不明な上り方をした物だし、下手に何か作成して再度レベルが上がったら、直ぐにバレるだろうしね。

 そんな考えをしながら、俺は魔獣舎の方へ寄り道をして帰る事にした。


 途中、他の選択科目を覗いてみたが、やはりスキルがイマイチ欲しいとは思わなかったものばかりで、唯一楽しそうと思えたのは、従魔のレースに向けて上級生達の指導や走行をしている姿だった。

 ワイバーンや竜馬(ドラグホース)天馬(ペガサス)雷鳥(サンダーバード)

 巨鳥や飛竜が空や地を駆ける姿は、まさに圧巻だ。


 来年は、俺もレースに向けての訓練を彼等の様に行うんだろうな。

 少しだけ息抜きが出来たのか、多少肩が軽く成った気がしつつ、俺は館の方へ転移をする事にして温泉に浸かる事にした。


 ――――――――――――――――――――――――――


「さぁて、どうしたものかのぅ?」

「恐らく、彼の場合、親が親ですからね。積み重ねた錬金術のスキルが、基礎加工のスキルに作用した結果だと思いますが……」


 ルークの帰った後、学院長室では他の教師を集め、話し合いが続いていた。


「エリーゼ嬢は兎も角、噂じゃ彼もミスリル等級の錬金術師だと言う。まぁあの母にしてとも言えるが、難しい問題だろう」

「……ちょっと良いか?」

「珍しいのぉ、お前さんが自ら何か話そうとするとは。何じゃ?【ドヴェルグ】のヴェストリ」

「大した話じゃねぇ、あの小僧オレが面倒見てやろうかって話だ。それにドヴェルグの称号なんざ過去の話、洞穴に棄ててきたくだらねぇプライドだ。グリムガルトぉ」


 ヴェルガよりも一回り大きな身体をした、ヴェストリと呼ばれた浅黒いドワーフが声を上げた。


「ルークって小僧、創造神の加護を持ってるのは間違いねぇんだろうが、もしオレの読みが当たれば、今まで発現していた加護よりも1つか2つ上の加護だと思って良いぜ」

「「「!?」」」

「……何故そう言える?」

「そうさな、あの歳で本物の魔剣を打てれば確実だろう。オレの鼻が匂いやがるんだよ。オレの知らねぇ技術があるってな」

「主の加護は、確か【創造神の加護(中)】じゃったが、まさかリヒト様と同じ物が出ていると?」


 驚愕の表情を浮かべる教師達を余所に、ヴェストリはニヤけながら、頭を押さえる。


「そこまでは知らん。今の所、魔剣が打てるのは作り方を知っているドワーフや、加護持ちが主だが、それも本物の魔剣とは言い難い。なんせ、昔にダンジョンからの出土品を分解して作り出された作成書から作られた物ばかりだからな」

「つまり、どういう事ですか? ヴェストリ先生」

「コイツに、剣を作らせる。オレの持つ秘蔵のお宝を使わせてな」

「そこまで云うのなら、お主に任せるとしよう。お主の選択科目が選んでおる生徒は、今の所おらぬからのぅ」


 ルークの知らぬ内に、話はどんどんと進んでいくのだった。

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