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幽閉された式神使いの異世界ライフ  作者: ハクビシン
2章-11 古の鍛冶師達
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薬品スキルの会得

 杖を完成させた後、再度エルザに渡すとリーフィアの目には鋭い物が宿っていた。

『私のは、まだ時間がいりますの?』とでも言いたいのだろう。


「心配はいらないよ、リーフィアの分も近い内に渡せるから、そうだな……パンフに載ってた学院ダンジョンの初挑戦には渡せるかな」

「まぁ、それは良い知らせですわ! 確か新入生は今月末でしたわね」

「元々領内の討伐に参加してる様なのとか、俺やルークみてぇな規格外が集まってるからな、このクラスは楽勝だろうよ」


 学院ダンジョンは、ドラムシアスの地下にある。

 とは言うものの、管理されたダンジョンで、ダンジョンマスターは、グリムガルト学院長の従魔らしい。


 安全かつ練習用のダンジョンと言った所だろう。

 新入生達は、ダンジョンの見学という名目で、上級生と指導役が引率するオリエンテーションを行うことに成っている。


 ダンジョン自体は、冒険者からすれば、それほど高い難易度ではないが、上級生の卒業試験に使われる為、新入生達からすれば、初のダンジョンになる者が多いだろう。


 このメンバーは、既にノヴォルスクの古代湖で経験を積んでいるし、俺はそこそこ場数は踏んでいる。

 恐らくアーサー達も同じ程度にはダンジョンに行っている筈だ。


 まぁ、流石にトラブル体質とはいえ、オリエンテーションで何か起きる事は無いだろう。

それよりも、待ちに待った選択科目の方が気になって仕方無かった。


加工職人と薬品学、今日から始まる選択科目は俺の楽しみの1つだ。


薬品学の行われる教室に入ると、既に20名程の生徒が居た。

見知った顔は無いが、向こうも同じ様で、俺が入って反応は無い。

俺は近い席に座り、薬品学の先生が来るのを待つことにした。


「え~、薬品学の教師をしておる。アルツナイじゃ、薬品ギルドの職員も兼任しておるがのぉ。ホッホッ、気軽にアル爺とでも呼んでくれ、先生と呼ばれるのはむず痒うてな」


アルツナイ先生もとい、アル爺さんは、確かにお爺ちゃんと呼びたくなる雰囲気が漂う白髪のご老人が入って来た。


「この薬品学を学ぶ者は、人の命を大切に思える心が必要じゃ。薬も毒も表裏一体、何事も行き過ぎたモノは蝕む事に繋がる事を、憶えて起きなさい。それでは、最初は初歩の代名詞【低級回復薬(ポーション)】の作成から始めるかのぉ、先ずは手本を見せねばな」


だが、自己紹介を終えた後のアル爺さんは、別人に見える程の速度と正確な腕を持っていた。

正直な所、予想していたよりもレベルが高い事を約束された瞬間だった。


素材を扱う際に、必要な手順は当然あるのだが、バラバラに出した複数のサイズが違う鍋に対して、水の量から使う薬草の量までが全て均一化されているようだ。

作業工程が終わり、各テーブルに小瓶入りのポーションが配られた。


(凄いな、容器から水の量まで違うのに全部同じ品質に成ってる!!)


しかも市販ポーションよりも高い品質のポーションが目の前に置かれた。


「まぁ、飲み込みが良ければ、これぐらいは楽に作れるように成るじゃろう。低級回復薬(ポーション)のレシピはこれじゃ、早速やってもらおうかのぉ。わからなくなったら聞きにおいで」


もらったレシピは、読みやすく挿し絵も入っていた。

薬品の瓶にも数字が記載されており、名前と番号で間違いが起こらない様に工夫されている。


以前高位回復薬(ハイポーション)のレシピをネブラスカさんから貰っていたが、月の雫や錬金精製水等は無く、ヘプの実と白天花に普通の水、治癒効果のある【アルテミシアの葉】を乾燥させた物を使っていた。


乾燥前はヨモギに似た形をしているが、お菓子のような甘い香りがしており、何とも不思議な葉だ。

そして、工程はほとんどが高位回復薬と同じであったが、湯の温度やタイミングは錬金術に無かった要素で面白い。


熱湯にはしないが、とろ火の遠火でゆっくり温度を上げる為とバラバラに作っていたアル爺さんの凄さに再度驚いた。


錬金術とは違う作業工程だが、新鮮で楽しい。


「ゆっくり……溢れない様に」


丁寧に、ゆっくりと濃緑色の液体をかき混ぜる。

アルテミシアの葉を入れた後に、少し加熱しただけで濃緑の液体に成ったが、作成手順によると、このまま温度を上げて葉が溶けきると薄緑に変化していくらしい。


「ふむ……中々筋の良い者も居るようじゃな?」


アル爺さんは各生徒の様子を見ながら、安楽椅子に座り、用紙に何か書き込んでいた。


他の生徒を横目に見ると、失敗している者と成功している者とで別れていたが、比較的失敗している者は少ない。


甘ったるい匂いが俺の席にまで漂う。

どうやら、火の加減が強すぎて沸騰させた者がいる様だ。


そんな最中、漸く低級回復薬(ポーション)が完成した。

品質は正直な所、下の下といった所だろう。


初めて錬金術の再錬成をした時や、物を作った時と同じ感覚だったが、新鮮な感覚だ。


因みに、薬品学で行う作り方で、アル爺さんと同じ速度で行うには、恐らく6~7Lvに薬品スキルを引き上げないと無理だと感じた。


(薬品スキルが追加されたみたいだけど、Lv1だからな……)


錬金術で作ると、薬品スキルが手に入らなかった。しかし、薬品学のレシピで作ると【薬品】のスキルが手に入った。

恐らくは、過程の問題なのだろう。


スキルを入手する要因が、カテゴリー内の行動により変化するのであれば、覚えたスキルを特化させるのも容易では有るが、今回の場合だと、『錬金術を使わない事』が起因なのか、『薬品学の授業にそって行われた手順』が起因なのかわからない。


(途中まで錬金術を使っても……いや、多分無理だな)


仮に効率化出来ても、薬品のスキルレベルが上がらなくては意味が無い。


「さて、初めての調合はどうじゃったかな? これも得意不得意がある物じゃが、落ち着いてやれば失敗は減るものじゃ。作った薬品は点数に成るから、名前を書いて前の箱に入れておくれ」


アル爺さんの授業が終わった。


感覚からすれば、今回のポーションは他の成功した生徒とそう変わらない筈だ。

一度低級の中品質までは出来かけたが、そこから少しだけ火を掛け過ぎた為、下の中程度の品になってしまったのが勿体無かったかなとは思う。


名前を書いて箱に瓶を入れて、教室を後にしたのだった。



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