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幽閉された式神使いの異世界ライフ  作者: ハクビシン
2章-10 国賊排除と学院生活の始まり
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ダルガイア・バーノンの実技授業

「ガッハッハ!! どうだ、すげぇだろう? ここはドラムシアスの戦闘用訓練場だ。今日は簡単なゲームをしてもらうつもりだ」

「先生! 質問があります!!」

「何だ、アーサー!」

「武器が皆バラバラだぜ? 遠距離型の奴5人しか居ねぇし、どんなゲームをするんすか?」


 武器を見れば近距離、中距離、遠距離と居るが、人数的には殆ど近・中距離型の者が大半の25名で、遠距離型の生徒は5人しか居ないようだ。

 その5人も後方支援出はない為、杖が3弓が1何故か楽器を持つ女生徒が1名だった。


「何、大したことはない。ちょっとした的当てをするだけだ。使い魔を出して良いぞ、俺の授業は技術を向上させる為の物だからな、使えるものは何でも使え、そして学べがモットーだ!!」


 ダルガイア先生の一言は、ある種の合理性があった。確かに、技術向上を目指すならば、自分の使えるものは使わなければ、持ち腐れにしかならない。

 ……ただし、一々ボディビルのポージングを行いながら言うのは、一部の女子を除いて引いているので抑えて頂きたい所ではある。


「あぁっと! 忘れていたが、チームプレイを行う授業の際には、ルークのみメンバーと役割を固定させてもらうぞ!!」

「はぁ、そうですか」


 まぁ仕方無いわな、現状能力からすれば明らかに荷担したチームが有利な条件になりそうだし。


「んでもって、的だが━━ぬうぅぅぅ!! ドリャアァァァ!! ……中に浮く岩、こいつを使うぞ。 俺は外に放つ魔力制御が遅くてな、掛け声が無いと素早く出来んのだ! スマンな!!」


「(教師なのに外に放つ魔力制御が遅い……あぁ、この人完全に、【超近接型】の【内転魔力制御特化型】の人なのか)」


 確かに、魔術師とは思えない見た目で納得出来る。

 魔術を使う者がここまで筋肉質に成る必要は、本来無い。あるとすれば【身体強化】の魔術を半永続的に使う拳闘士か、タンク役の冒険者位だ。

 そして、現在使われている一般的な魔術は、外部に放出する事が殆どの為、【溜め込む】【圧縮する】といった技法は存在こそすれ、魔術の形式によりその方法が難しい物が多い。


 身体強化の魔術ですら、維持し続けるのが難しい為、一般的なベテランの冒険者でも2時間が良いところらしい。まぁ人体構造を把握して行うと楽なのだが、この世界は色んな所で突出している所と衰退しているものが激しいのが、不思議なところだ。


 恐らく、転移してきた利人さん達の頃から残っているのも、時の流れで喪われた物の一部だったりしているのだろうな。


「因みにだが、この学院の授業では外部講師として冒険者ギルドから、元や現Sランク冒険者の授業もある。勿論、上級生になったらだがな!!」


 戦闘技術の強化としては、悪くない話だ。

 生の戦闘実技程、収穫出来る物が多い物は無い。実に楽しみな話だなとは思う。


「先生、その的を壊せば良いのか?」

「あぁ!! そうだとも、ただし簡単に壊せるとは思わないことだ。各自武器と魔力を使って壊すだけだから、そう難しくは無い筈だぞ!!」


 的までの距離は、ざっと見積もって5m(メーター)位か。上下左右と動いてはいるが、狙えなくはない。

 他の生徒が一人、また一人と挑戦している中、エリーゼが行う様だ。

 魔導弓と呼んでいた筒は、始める前にエリーゼの手に握られていたが、今は筒の形状など既に無く、腕に籠手のような型で装着されていた。


「クライフ、補助は任せたよ。ッ!!━━ふぅ……」


 足下に引かれたラインから、使い魔を飛ばし並べられた的を確認するが、その手には番えられる筈の弓と矢は見当たらない。しかし、矢は射られた。

 連射をしたのか、同時に的が割れる音が響き渡る。


 彼女の周囲に微かに残る魔力の残滓は、右手の指から魔導弓に流れ、そこから魔力の弦や矢を生み出したのだと推測出来る。


「割れた的は2つだな! しかし、魔導弓とは随分と珍しい物を使ってるな?」

「私はコレでよく狩りをしてましたから、扱いなれてるだけですよ」

「どうする? 全部割るか?」

「割れたら何かありますか?」

「遊びみてぇな物だからな、今日は特には無いぞ!!」

「でしたら、今日のは、このままで良いです。さぁ次はルーク君の番ね」

「今のは何をしたんだ?」

「授業が終わった後で教えるわ、頑張ってね」


 エリーゼは俺の肩を叩き、クライフと喚んだアトリの様な使い魔を連れて後ろに下がった。

 回りの生徒は、俺が行うことに気付くと、一斉に練習を止めて俺の後ろに隠れる様に並び出す。


「武器はどうした? 魔術で割るのか?」

「いえ、使い魔に任せます。……おいで、リトス」


 リトスを喚び、撫でながら指示を出した。


「いきます」


 掛け声と共にリトスが糸を使い、素早く跳び跳ねながら所定の位置にたどり着く。

 そして、上空に向かい糸を吐き出した。


「ん? 何をするつもりだ?」

「やっぱりスライム程度じゃ、使い道無くねぇか?」

「本人が強くても、使い魔がスライムじゃねぇ?」


 後ろで並んだ生徒は、スライムだからと馬鹿にしている様だが、まぁ見てなさいっての。


「(リトス、準備は良いか?)」


 念話を送り、リトスに確認を取る。

 返答ができない分、直ぐ様分裂して肩に乗って来た所を見るに、問題ないようだ。


「よし、リトスの方にも糸が繋がってるな━━【氷結槍(アイシクルランス)】」

「お前、使い魔を殺す気か!?」


 糸に沿わせて、半分程度の威力に抑えた氷結槍(アイシクルランス)を放つ。ダルガイア先生は魔術を見て叫ぶが、心配はいらない。

 今日喚んだばかりの使い魔だが、恐らくこの程度なら問題無いと俺は確信している。

 なんせ、肩に乗った分裂体が慌てる事もなく頬擦りしてきている位だ。


 リトスの方に向かう氷結槍は、一瞬、目映い光を放つと大きさは小さくなったが、三方向の的に向かいリトスから放たれた。


「「「はっ?」」」

「!?」

「えっ? リトス?」


━━予想だにしなかったのは、放たれた氷結槍が更に分裂を初め、的を含めた周囲に無数の氷結槍を放ち始めた事だったが。

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