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幽閉された式神使いの異世界ライフ  作者: ハクビシン
2章-10 国賊排除と学院生活の始まり
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訓練場での授業

「本日の授業はこれで終わります。魔力循環を出来る様に自主練習はしておきなさいね? 魔力訓練場は一年生でも申請をすれば使えますから担当の先生に付き添って貰いなさい。この後の授業は、ダルガイア先生の実業授業ですから、得意武器を持って教室に待機するように。」


 最初の授業、使い魔契約の授業が終わり、俺達は教室に戻る。


「しっかしルークよぉ、スライムって本気かよ。因みに2番目の相棒はラルフって名付けたぜ」

「まぁ問題無いかな? 魔術師殺しは伊達じゃ無い!! って感じだよ」

「たかがスライムのレア種だろう? オリビア先生も言ってたけど、魔術師殺しって大袈裟だろ」

「そうだな、仮に野生のジュエルスライムが相手なら、アーサーなら剣術使って楽に倒すだろうけど、魔術のみの場合なら喰われるぜ。何せ魔術吸収や反射を行うスキル持ちだ。そこに俺の魔力を付与してやればどうだ?」

「魔術支援された対魔術師の魔物……やべぇな……しかも野生でそんなスキル持ちかよ」

「スライムも性質が違えば下手な武器より魔物を狩れるって事だ。まぁ、リトスの吐き出す魔力塊とか糸が錬金術の素材に成るって知ったから喚んだのもあるけどさ」


 話ながら少しだけ糸を吐いて貰うと、肌理細やかな軽い糸だが、強度はかなり高い。

 防具や攻撃用の硬糸ワイヤーとしても使えそうだし、衣服や寝具を作れば下手なシルク生地よりも手触りが良さそうだ。

 切断は難しいが捕縛や拘束の類い、移動の補助にトラップ……幅が広がる。

 魔力塊については、魔石とも違うので、要研究が必要だが、少なくとも【原初の魔導書】に記載されている魔導具の素材である事は判明しているので、取り敢えずはそれを試しに作るつもりだ。


「随分細い糸だな? ちょっといいか?」

「あぁ、引っ張って見ろよ。絶対驚くから」

「ん?……ちょっと待て、━━がぁぁぁぁっ!! 何でだ? 千切れやしねぇぞコレ!?」

「切断とかは無理だろうけど、かなり高い強度だからな、巻き付け拘束なんてしたらほぼ脱け出せ無いかな」

「魔力付与してお前なら斬りそうだけどな」

「いやいや、そんな事するなら直接斬りに行くさ」


 魔力を付与して切断力を上げるのも、方法としてはありだろうけど、リソースを割いてまで糸で斬るのは、効率が悪い。

 同じ付与なら刃物にした方が、何倍も効率が良いからね。


 アーサーと話ながら教室に戻ると、何やら集まりが出来ていた。

 俺の席に何かあったようなのだが、はてさて?


「ルーク君の机が、大変なことになっちゃった!」

「は!?」


 エルザが慌てて言った一言。その先を見てみれば、俺の座席が2つに砕け割れていた。


「何があってこうなった? ……いや先ずは怪我人は居ないか?」


 原因よりも、怪我人が出ていたら大変だ。

 確認をしてみるが、一様に首を横に振るだけで怪我人は居ないらしい。


「はぁ、取り敢えず怪我人が居ないだけマシか。……誰が壊した?」


 痕跡からして、かなりの衝撃が掛かっているのは間違いない。なんせ、足元の金属フレームがひしゃげている時点でそうだろうと判断出来る。

 問題は魔術的な要因なのか、使い魔や当人の力に依るものなのか。誰が何の目的で壊したのかと云ったところだ。


「ごめんね~、ルーク君の机壊しちゃったのぉ」

「ソフィア……えっ!?」


 掛け声の主は、俺の良く知ってる人物だが、俺が驚いたのは、その人物が持つ()()だった。


 杖……と呼んでも良いのだろうかと思えるほど重厚感。それでいて無骨なデザインはいっそのこと鈍器と呼んでも決して間違い出はない代物を彼女は持って居た。


「魔法鞄から取り出してたらねぇ、つい手が滑っちゃって、ルーク君の机に当たっちゃったのぉ~」

「……そうか、ソフィアは怪我してないみたいで良かったよ。それにしても随分とヤバい潰れ方してるけど、杖の重さで? それとも魔術付与されてるの?」

「家にあった物をお父様が持って来たから、詳しい事はお父様が知ってると思うのだけど、確か【重量軽化】って持ってる間、重さが軽く成る能力が付与されてるって言ってたねぇ~」


 重量軽化の能力付与なら、ソフィアが持てるのも、まぁ分からなくは無いが、問題は見た目だと思う。

 レイさんも、何故戦闘杖(バトルスタッフ)らしき物を渡したのかが謎だが、明らかに刺々しい石突きと叩き潰す事に特化した先端が彼女に不釣り合いではあるのだが……似た能力の杖を作るべきだろうか?


「ソフィアちゃんの杖? 凄いねぇ。ゴームさんのハンマーみたい」

「エルザの杖は基本的な魔術杖のなのねぇ~?

 可愛いなぁ」

「貴女達、先ずは机の片付けが先でしょうに!!」


 ソフィアとエルザの話が、互いの杖の話に成った所で、リーフィアのツッコミが入った。

 とはいえ、俺も再錬成を行う為の準備が終わったので、残骸を寄せ集めて元に戻す準備は出来ている。


「リーフィア、ありがとう。エリーゼ、机を頼んで良いかな? 床をするから」

「仕方無いなぁ、後で私の武器の強化手伝って貰うよ?」

「それくらいなら、いくらでも手伝うさ……所で何の武器を使ってるんだ?」


 前回のダンジョン時には、沙耶に拉致されて武器を用意していなかったので、何の武器を行うのか知らない。


「あぁ、私の武器はコレだよ」

「???」


 エリーゼの取り出した武器は、ただの筒だった。魔核が埋め込まれているところを見るに、魔導具に違いはないが何だろう?


「コレは魔導弓、もうすぐ授業だからその時に見せるわ」


 魔導弓どんな武器なのか、興味が尽きない。名前からすれば、弓なのだろうがどうやって弓として使うのだろうか?

 話が終わる頃には机は元に戻り、床の傷や残骸の形跡も消しきった。


「お前ら、席に着け!! 机の上に各自使用する武器を並べろ!」


 授業開始時刻丁度に教室に大声が響き渡り、入口から筋肉質な男が入ってきた。

 風貌からすれば、冒険者ギルドにいるドレアムさんのと良い勝負が出来そうな程にむさ苦しい顔をしているが、よりいっそう五月蝿い筋肉の主張が、他の生徒が引いている原因だと思いたい。

 確かオーレルカ先生と一緒に、試験の時に居た人だったが、あの時はスーツを着ていた。この先生は何故、タンクトップ姿なのだろうか?


「俺はダルガイア・バーノン。戦闘技術教師だ!! 今日は訓練場に出て、戦闘の基礎能力を判断させてもらうぞ! 因みにこの格好は、俺の授業スタイルだから気にするなよぉ!! ハッハッハ!!」


 どうやら、完全な熱血漢なのか体育会系なのか悩む迄も無い様だが、俺は苦手なタイプかもしれない先生の様だ。


「では訓練場に行くぞ!!」


━━その一言で、俺達は強制転移された。

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