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幽閉された式神使いの異世界ライフ  作者: ハクビシン
2章-10 国賊排除と学院生活の始まり
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最初の授業

【ドラムシアス DS教室】


「皆さんお静かに! 欠席者は……全員居るな。おはようございます」

「「「おはようございます! オーレルカ先生」」」


 朝の教室はガヤガヤと騒がしく、「今日の授業はなんだろう?」「選択科目どれにした?」などの会話が多々聞き取れた。

 時間になり、オーレルカ先生が教室に入って来たところで、若干静かに成ったが終わりそうに無いようだ。

 そこに、オーレルカ先生の欠席確認が始まり、漸く静かになった。


「今日から授業が始まりますが、それは貴族科の皆さんの行う授業数が多い為、普通科の生徒よりも早い入学となっている為です。そして、皆さんは家庭内である程度の教養を身に付けて来ていますが、内容が均等な訳ではない事は━━ご存知ですね?」


 オーレルカ先生は、俺を見ながら言葉を切った。


「その中で平均値を出し、特定の合計値に成った生徒を各教室に集めていますから、実質このクラスに居る者は特殊な魔術を扱う、若しくは制御が難しい程の魔力量を持つ。若しくは同程度の教養を持つ事になります。そこで、本日最初の授業は皆さんに使い魔との契約をしてもらう事にしました……と言うよりもこのDSクラスに関して云えば決まりとなっている過程ですね」

「「「使い魔!?」」」


 使い魔契約をすると言っていたが、確かに最初の授業としては妥当だ。

 魔力制御の練習として、他の魔物や魔獣と契約することで、自身の魔力と使い魔との間で安定させる事は良くある。

 一人で魔力制御をするのではなく、二人で一人分の魔力を循環して制御する練習が出来るメリットが有るため、魔術師の子供は大半が使い魔を持っているらしい。


「今から渡す紙を持って校庭に出ますよ。少し早いですが授業を始めます」


 オーレルカ先生はそう言って、用紙を配ってから教室を出ていく。教師が居なくなった途端、張り積めた空気が騒がしさを取り戻した。


「使い魔なぁ……ルーク、どうなるかな?」

「どうなるかも無いだろう? 魔力制御苦手な奴でもこの用紙なら呼び出せる様に改良されてるよ」

「マジか、俺の相棒どんなのが来るかな?」

「そんなん言うてる場合やないで、行かな遅れる」

「早く行こうか、ルークも」


 アーサーもオリビアも顔がにやけているが、実際に魔力を通して見なければ、何が出てくるか分からない。ある意味宝箱を開けるのと触らないドキドキはある。

 会話をしながら校庭に到着したが、そこにはオーレルカ先生以外にもう一人、ローブを着た女性の先生が居た。


「揃いましたね? 皆さん初めまして。私は召喚術や魔獣契約の科目教師をしているサディア・セルニコフよ」

「サディア先生は、今回渡した用紙の製作を担当してくださった先生だ」

「今日は、皆さんに使い魔と契約してもらう事は聞いたと思いますが、何故かわかりますか?……そこの赤髪の男子」

「エッ!? 俺っすか? えーと何だっけ……確か魔力制御の訓練としての一環だ」

「半分正解ですが、それは一面ですね。隣の君、答えて」


 どうやらアーサーの答えは半分正解のようだ。

 となると、導かれる答えは子供らしい面か魔術師の面かで変わる。


「友達作りの一環として使い魔を介した交流を図る……若しくは、魔術師としての格を見せつけ上下関係を決める方法ですか?」

「……後者は魔術師的な考え方だが、概ねその通りだ。この学院では、毎年使い魔のレースが行われる。その中でも騎乗組と使い魔のみのレースがあるのだが、チーム戦になるから交流を重ねて誰がチームのメンバーになっても良いようにといった狙いがある」


 使い魔のレースか、何とも愉しそうな催し物があるんだな。


「因みに、私の使い魔はこの子よ」


 サディア先生の言葉と同時にローブから一匹の紫紺色の蛇が出てきた。


「ポイズンサーペント?」

「違うな、あれ蛇竜だ」

「蛇竜?」

「竜の血を持つ蛇で亜竜種。竜の巣穴で希に産まれる事があるんだ。大半は子供の竜が餌として食べてるんだけど、長生きすると犬位の大きさになる。竜種を使い魔にするのはかなり難しいから、それだけ魔術師としての腕が良いって事だぜ」

「流石アーサー、神龍皇国の殿下だな!」

「おうよ! 竜の事なら任せろ!」

「……ドラゴン馬鹿」


 珍しい物を見せて貰った所で、鐘がなる。

 授業の始まりだ。


「それでは始めます。一列に並んだら、魔術式に魔力を目一杯通してから血を一滴垂らして発動しなさい。限界まで流したら術式が光りますから」

「「「はい!」」」


 紙に魔力を少し通したのだが、中々満タンに成らないみたいだ。どうやらかなりの魔力を流しても良いらしいが、どこまで流そうか?

 ふと回りを見てみると、どんどん術式が光り始めていた。


「光始めたら、『親しき者(ファミリア)』と唱えなさい」


 サディア先生の言葉に従い、光始めた生徒がどんどんと魔物や魔獣を呼び出していた。

 小から大型の魔獣達の他に、精霊の姿もちらほら見える。


「ルーク、先に喚ぶぜ!! 『ファミリア』」



 アーサーが使い魔を呼び出しを始めた所で、ソフィア達婚約者組を見ると、既に呼び終えている様で、俺の使い魔を期待して見ていた。

 アーサーに関しては、ずっと「竜種来い!」を連呼している。


 紅い光が強くなり、一瞬で消えた所でアーサーの使い魔が姿を現す。

 雄大な立ち姿は、正に大空の王者と呼べるに相応しい。アーサーの目の前に現れた使い魔は、彼が望んだ竜種【フレアドレイク】だった。


「よっしゃ!!」


 自身も龍化出来る筈なのだが、何故かアーサーは竜種の魔獣を望んでいた。オリビア曰く、「ドラゴン馬鹿だから仕方無い」とため息を吐いていた。


 流石に擁護は出来なかったが、本人が喜んでいるから良いのだろう……多分。


 そうしていると、俺の術式が光だした。

 だが、明らかに光の色がヤバい。

 使い魔の種族か属性に合わせて、光る色が変わる様なのだが、俺の色は()()()()()()()()()()()()()


 予想するに、闇若しくは呪いと雷属性を得意とする者だろうか?


「『ファミリア』」


 唱えた言葉に、呼応するかの如く光が強くなる。

 現れたシルエットは、竜種族ではなかったが、明らかに大型の魔獣だった。

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