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幽閉された式神使いの異世界ライフ  作者: ハクビシン
2章-10 国賊排除と学院生活の始まり
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鉱山の採掘許可

「緋緋色金? それがこの領にあると?」

「はい、間違いなく在ります。帝都から北東の方角にある山に、コレと同じ魔力反応が在りました」


 俺は、ルーチェの首輪から抽出した緋緋色金をレイさん達の前に異空間収納から取り出した。


「コイツは見たことが無いな……金属なのか? 触った感じだとやけに軽いが」

「触って見ても随分と冷たいですね?」

「コレが緋緋色金です。 隸属の首輪に使われていた物です。因みに、合金ではなく単一金属……純金属に分類されます」

「隸属の首輪だぁ? 穏やかな話じゃねぇな」

「はい、何せノートリアス関連の隸属の首輪から抽出した物ですからね」

「「!?」」


 俺はレイさん達にルーチェの首輪から抽出した経緯と、効力を説明する。

 説明していく途中から、レイさん達の表情が段々と険しくなっているが最後まで話を聞き終えると、レイさんは目を閉じて天を仰いだ。


「……やり方によっては対魔術兵器に成るような品が造れそうだが、まさかノートリアスが既にこの様な物を所持していたとはな」

「確かに魔力が散らされますね。対魔力武装とか在るのでしょうか?」

「恐らくそこまでの品は無いと思います。この量は首輪1つ分ですが、元は劣化した物でしたので、それを再錬成して漸くこの程度の量です。劣化していない物が存在するとしても、ルーチェの話が確かなら殆どが首輪に使われていたらしいですから」


 とは言うものの、別の場所でどう使われていたかは分からないから、絶対と云う保証もないのだが。


「分かった。ただし、採掘許可はイフリートの2月になってからだ。今の鉱山は殆どの入り口がまだ雪で覆われているからな、まともに入れるのは奴隷や刑罰の対象が掘り出す中層部までの入り口しかない。イフリートの1月も、蟲系統の魔物が跋扈し出すから、鉱山に多数の冒険者達が討伐に来る。彼等の仕事を奪うのは本意ではないからな、比較的一時閉鎖しやすいのは早くて2月だ。丁度夏期休暇になる頃だから良いと思うが?」

「分かりました。ではイフリートの2月に採掘許可をお願いします」

「あぁ、それと採掘現場には俺も動向する。今回の件は新しい事業の開拓にも繋がりそうだからな」


 レイさんの顔は、いつの間にか皇帝としての表情に戻り、書類に日付を記載していた。


「それでは俺はこの辺で失礼しますが、ソフィアとリーフィアに何か渡すものがあれば預かりますよ?」

「今の所は大丈夫だ。ソフィアの事、何か在ったら……婚約者と云えど分かるな?」

「……過保護」

「本当なら帝国のお嬢様学校に入る予定だったのに、ドラムシアスに行く事になったんだ。仕方無いだろう?」


 仕事中はとても格好良い人なのに、何故か締まらないのが何とも言えないレイさんの姿は、親しみやすい所を見せる相手がいないと、出来ないんだろうな。もし、そうならそんな風に思って貰えているなら、光栄だな。━━俺はそう思いながら屋敷に転移をするのだった。


 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

【翌朝 自室】


「おはようございます、ルーク様。本日はどうされますか?」

「おはよう、渚。今日から授業があるから終わったら一度戻ってご飯だな。その後は彫金の練習にするよ」

「畏まりました。それでは此方が朝食とお弁当になります……本当に学食を使わないのですか? ご学友を作る機会にもなると思うのですが」

「あぁ、確かに優秀な友は大事だが、貴族同士だとどうしてもな……まぁ良い、食べたら学院に向かうぞ」

「はい、ルーク様……ルーチェも怪我はしないように」

「分かりました、メイド長」


 他愛無い話をしながら食堂に降りると、既にエリーゼもメアも朝食を食べる準備を終えていた。


「二人ともおはよう」

「……おはよう、ルーク」

「ふわぁ……おはよう」

「徹夜したの? 大分眠そうだね? エリーゼ」

「いやぁ、メアちゃんに協力してもらったんだけど、ほら、ルーク君の持ち帰った【血の結晶(ブラッドクリスタル)】の解析結果と、取り込まれていた魔素の成分表と【夜の放浪者(ナイトワンダラー)】達の血液成分表だよ」

「はいっ!?」


 アーカムさんから別れ際に魔素のサンプルとして、使い古した血の結晶を貰っていた。エリーゼが興味深いからと何個か持って行かれたのだが、まさか魔素の解析までしているとは思わなかった。


「いやぁ、こういうのは、後回しにすると面倒くさくなって、他の魔導具の素材にしちゃいそうだったから早目に片付けたんだよぉ……ううっ」

「エリーゼ、凄く助かるけど無理はしないでくれ。……ありがとう」

「ん~ん、でも、流石に……眠い、でも学校今日からだもんね……。一応スタミナポーション飲んでいこう」


 エリーゼは小瓶を懐から取り出すと、グイッと青い液体飲み干す。


「ううっ……苦い……不味い」

「水薬だから味が不味いのはどうしようも無いですからね」

「そうなんだよな……多少飲みやすさを追求してみたけど、薬効成分が薄まるか別物になるから難しいんだよなぁ」


 一応子供用のスタミナポーションは、薬効成分を薄める形で薬師ギルドから販売しているが、大人用の物は正直不味すぎるので飲めたものでは無い。因みにエリーゼの飲んでいるものは身体を考慮して子供用の物だ。


「でも、子供用のはまだ飲み込めるから良いよ。それでも不味いけど」

「また果物から甘味を抽出してみるか?」

「気持ち悪くなって又口から出すのは勘弁……よっし、目が醒めた」

「それじゃメアを送って来るから、エリーゼは荷物確認しときなよ。メア、行くよ」

「……今日は夕方から護人の集会があるから、終わったらデアドラお姉ちゃんに送って貰うね」

「分かった。メアも頑張ってね」


 眠そうに目を擦るメアを、転移でフラクタルまで送り、屋敷に戻ってからドラムシアスに向かう事になっていた。

 理由としては、単純でメアからのおねだりだ。


 俺達が勉強をしている間、メアは闇護りの仕事をするので、フラクタルに行く必要性があるのだが、必要以上に離れ離れになるのが嫌だと言われた為、メアの転移を俺が行う事が昨日の夕食後に話で決まったらしい。


「さぁて、今日から学院生活頑張りますか」


 渚とエリーゼを連れ、ドラムシアスに向かうのだった。

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