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幽閉された式神使いの異世界ライフ  作者: ハクビシン
2章-10 国賊排除と学院生活の始まり
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ダムシアン宰相との面会

【獣公国ダムシアン オイリッヒ宮殿 執務室】


「こうして面と向かって話すのは初めてだな。私はダムシアン宰相を務めるコンラート・フォン・アマディウス。こっちは補佐兼妻のマリーベルだ」

「マリーベル・フォン・アマディウスです。よろしくお願いしますね」

「見ての通り堅物で愛想の無いヤツじゃが、悪いヤツではない。儂もリーフィアもこやつに何度叱られたか分からんわい。マリーベルは優秀な補佐官でな、コンラートの幼なじみでもあるんじゃよ」


 屋敷から庭先に戻り、ルーチェ達は、ソドムさんが呼んだ執事に連れられ別室に、俺は宮殿名と向かう場所の説明を受けた後、宰相達と面会する事になった。


 コンラートさんは、ルーチェと同じ猫人族(フェーレース)混合型亜人(セリアン)の男性。

 上半身が猫のもので、左瞼に傷跡があるが見えていない訳ではなさそうだ。その瞳は俺の顔をしっかりと捉えていた。


 マリーベルさんは、人型亜人(ヒューマ)の女性で、雪のように白い髪の毛がとても綺麗な人だ。


「私の姪とカルロを連れて来たと聞いて馳せ参じた。ソドム様やリーフィア様から貴殿の話は聞いていたが……」

「まぁ慌てるで無いコンラートよ」

「失礼致します。ソドム様、ドーハでございます」

「構わぬ開けよ」


 後ろの扉がノックされ、扉が開かれるとリーフィアの執事をしている老いた犬族のドーハさんとカルロさん、ルーチェが居た。


「お久しぶりでございます。ソドム様、コンラート様……カルロでございます」

「久しいな、カルロよ。長きに渡る逃亡生活、御苦労であった。私の姉が逃げれたのも、お前無くしては出来なかった事だろう」

「有り難きお言葉でございます」

「……」

「その隣にいるのが、姪のルーチェだな?」

「これこれ、コンラートよ。そう怖い顔をするでない」


 カルロさんは、元々ソドムさんの配下だからだろう、堂々と対応しているが、ルーチェは何も話す気が無いのか、時折こちらを見ては帰りたそうな顔をしていた。


「やはり姉さんに良く似ている。ルーチェ……よく生きていてくれた。ありがとう……ありがとう!!」

「えっと……あの……」


 いきなりの事で、誰もが動けなかった。

 余りにも早い速度で、コンラートさんはルーチェを抱きしめ泣いていた。ルーチェも何が起きたのか理解できていない様で、目が点になって固まっているのは無理もないだろう。


 ━━だが、流石は暗殺者。直ぐに落ち着いたと思えば、姿が消えた。


「ぬっ!?」

「何だ、この変態は!? アタシに気軽に触れるな!!」

「アナタ!! いきなり何するの!? うれしいのは分かるけど、それは駄目でしょ」


 ぐっと腕を掴まれた感覚と同時に、マリーベルさんからの非難がコンラートさんを襲う。


「すまない……少々取り乱した」

「あはは……」


 クールな御仁かと思ったが、どうやら熱い所もお持ちのようだ。


「━━ルーチェ、爪が食い込んで腕が痛い。コンラートさんも睨んでるから、そろそろ離して欲しいかなぁ」

「なら物陰に控える。変態相手に付き合う気はない」

「あらあら、コンラートのせいよ? ルーチェちゃん、こっちにいらっしゃいな?」

「こっから動かない。絶対に嫌!」


 姿を隠しても俺の袖が無作為に動くうえに、声も聞こえるので、既に居場所はバレている。

 それで良いのか暗殺者? とか言われそうだが。


「ともかく、これで漸く姉さんの娘を保護出来る。ルーチェ・フォン・アマディウス嬢か、悪くないな。カルロも影の長に就任するのだろう?」

「いえ……私は、ダムシアンに戻る事はありません」

「コンラート、この二人はルーク君の下で働く事になっておるのじゃ」

「ソドムさん、それは私からお話します」


 それから俺は二人の事を隠すことなく説明していった。━━暗殺の件も含めて全てを。


「未遂とはいえ、四ヵ国からの開拓任命者を暗殺したとなれば、確かにその場で死罪人として裁かれても仕方無い。ダムシアンに戻れぬのも当然か……」

「ルーチェちゃんも、その年で犯罪奴隷かぁ。鉱山に行かなくて良かったけど、二人とも厳しいわねぇ」

「とはいえ、無罪放免ともいかん。が、こうして襲われたルーク君が赦した上で雇うと言われれば、儂らがそこに文句を言うわけにもいかんのでな……ちと常識外れな所はあるが、良識ある子じゃ、問題なかろう」


 多少無茶な事はしているが、そこまで常識外れな行動をしているつもりはないのだが?


「魔術、戦闘技術どれをとっても同年代の子供より抜きん出ていますが、それもカミナと呼ばれる女性の教えであれば当然でしょう。あれほどの腕を持ちながら、未だSランクに昇格しないのも勿体無い話ですねぇ」

「まぁ、ルーク君の側近でもあるからのぅ、何時でも駆け付ける事が出来る様にしておるのじゃろうて」


 カミナの性格から考えて、ただ単に試験を受けるのが面倒なだけだと思うのだが、言わない方が良さそうだ。


「さて、コンラートとの面会も済んだ事じゃし、そろそろレイの所に向かうんじゃろ?」

「そうですね、その前にソドムさん宛にジークリッドさんから預かりものがありますので、どうぞ」


 預かった封書をソドムさんに渡すと、そのまま流し読みをし「後で増やすか……」とぼそり呟いていた。


 少しだけカルロさんと話がしたいと言われたので、カルロさんを残しルーチェと共にドーランに向かうことになったのだが、「ルーク君、転移の準備が出来たから一緒に行くよ。こっちに来てくれ」とガイルさんが声をかけてきたので、それに甘える事にした。


 移動をしながら転移の準備とは? と聞こうとした矢先、巨大な門が設置された部屋に通された。


「ここだよ。ダムシアンとドーランを結ぶ設置型の転移門だ。作れる人が殆ど居ないから数が少ないんだけどね。因みに、双方の許可を出さないと使えない様に細工されてるから、普段は使えないからね」

「へぇー、その細工技術は難しいんですか?」

「そうでもないよ、それなりに技術は要るけど、細工師のレベルが上がれば出来るよ……よし、起動出来た」


 ガイルさんの作業が終わったらしいが、何が変わったのか? 変化の確認が出来ない。


「細工は技術があれば出来るけど、使われた魔術式は古代式の物だから、見た目の変化は殆ど無いんだ」


 ガイルさんは転移門のそばに立つとそのまま足をゲートの方へ踏み出そうとしたのだが。


「おい、遊んでないで早く来い」


 レイさんの声が、壁の向こうから聞こえ、顔だけが門から出て来ていた。


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