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幽閉された式神使いの異世界ライフ  作者: ハクビシン
2章-10 国賊排除と学院生活の始まり
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入学式

 国賊討伐が終わりを迎え翌朝、俺はドラムシアスの学院に居た。


「学院で学べる事は、君達にとって良いものであること、この学院では身分の差が無い。故に、真の友を見つけ、友と学ぶ事で実りある物になる事を切に願う。貴族は領民が有ってこその貴族、思い上がった貴族は粛清される事を忘れるでないぞ? ノリス家やデービスの様にな」

「これで学院長のお話を終わります。続いて新入生挨拶━━━━」


 元国王としてのグリムガルトさんの言葉を聞き、新入生の挨拶も終わり其々の科の代表が壇上から降りて行く中、俺はただ一点を見ていた。


 そこには、壇上に登る一人の女性が居た。

 深紅のポニーテールと誰かを思い浮かべそうになる程に似ている目付き。


「ドラムシアス学院附属、王都魔術師学院魔術騎士科代表サラ・フォン・リッツバーグだ!」


 凛とした声が響き渡り、静まり返る。


「「「「ウォォォォォ!!(キャァァァァ!!)」」」」


 割れんばかりの声が、何処からともなく聞こえてきたが、騒音とまで言える程の大きさとなっていた。

 これは先生方が動くかなと思った矢先。


「鎮まれ!!」

「━━━━!!」


 壇上からの一声で、辺りは静まり返る。


「私の事を知っている者が騒いだようだが、場を弁えて行動をしてほしい。━━君達新入生がドラムシアス学院の生徒として、この日を迎えたことは素晴らしく、けして間違いではない。当学院を卒業し、私のように附属の専門棟に進む者や、領地に戻る者もいるだろう。だが皆に言える事がある。隣に居るものと笑い、共に競い、励め。それが大事なものを守る事、その為に強くなる秘訣となる……以上だ」


 笑顔で壇上を降りたサラ先輩、その後「流石はサラ先輩だ」と何処からか聞こえたが、どういう事だろう?

 周囲の目は、怖い位の尊敬や陶酔の眼差しだ。


「彼女は努力を実らせ、ドラムシアスから卒業後、近衛隊になる者が進む附属の学院に飛び級で合格した才女です。火と風の魔術騎士が多い中、現役の近衛隊大隊長の推薦を推されたとか」

「へぇ……所で、エリーゼ、君の並ぶ場所が違う様に思うんだけど?」

「別に良いじゃない? 後は新入生の挨拶と閉会の言葉で終わりだもの、他にも入れ替わってる子は多いのよ」


 確かに周囲の生徒を見ると、入れ替わっているが、言うほど多くないと俺は思うのだが?


「そうか、後……他の男子生徒からの視線が痛い。ただでさえ、この後のクラス移動があるんだ、今からエリーゼ位の美少女を連れているのは流石に目立つと思うのだが?」

「それは有名税だと思って諦めなさい。どうせこの後に、エルザちゃん達と合流するんだから、そうしたらまだ目立つわよ?」

「……確かに」


 そうこうしていると、閉会の挨拶と成った。

 当然の事ながら、俺は貴族クラスの新入生として入学したのだが、一般科目よりも選択科目が多いのには少し驚いた。

 経済学や軍事などは一般科目にあるのだが、選択科目には錬金術や魔術研究の科目、他には農業等もある。

 選べる科目は、それぞれ決まった先生が担任するそうだが、どうしたものだろうかと悩んでいた矢先。


「よぉ、ルーク! 久しぶりだな」

「久しぶりやね、ルーク」

「アーサー、オリビア……久しぶり」


 神龍皇国の皇子並びに皇女、アーサーとオリビアに声をかけられた。


「お前、選択科目どうするか決めたのか?」

「いや、まだなんだ。アーサーは?」

「とりあえず、『魔工技術師』関連か『魔力制御』の科目だなぁ……制御の魔導具壊しちまったからな」

「父様から散々言われてたから仕方無いでしょ? 錬金術の適性、無かったしな」

「オリビアはどこ選んだの?」

「ウチは、地質学と魔獣学を受ける予定なんよ。ウチの国な、鉱山もようけ在るから見付かってない所を見つけたり、その周辺の魔獣を判断するのに必要なんよ」


 地質学は、まぁ前世と同じ様なものだと考えれるが、魔工技術師と魔獣学は、やはり異世界なのだと実感出来る名称だ。


 魔工技術師は、主に大型魔導具の調整や修理を行う為の知識を学ぶ科目。

 魔獣学は、生態や特徴を見極め、変異種や上位種などの変化・進化の過程を学んだり、上の学科に成れば、魔獣医学も学べる科目。


 どちらも人気の有る科目だ……特に貴族にだが。

 人気の理由は様々だが、魔工技術師は、家の家宝が魔導具や魔鉱石を使う品が多い事に加えて、その整備は受け継いだ者が行うのが常識であることが一因となっている。



「それでは新入生は、各教室へ移動となります。式の前に配られた手帳に魔力を流し、案内に従って移動を始めてください」


 アナウンスと共に、生徒が動き始める。

 俺達も手帳に魔力を流し、案内を読むと教室までのルートが表示されていた。


「コイツは便利だな。親父の倉庫に張り付けてやりたいくらいだ」

「喋っとらんと、はよ行くえ……その前に、貴女どちらさん? 似た魔力は知っとるけど、男の子やなかったん?」


 オリビアは、そう言ってエリーゼの顔をじっと見る様に眺め、躊躇いながらも口にした。


「私は、エリーゼ・ル・ステンノと申します。彼の婚約者兼、同業者で同級生になります。オリビア皇女殿下」

「これは御丁寧にどうも、でもな、ウチは学院に来てまで皇女扱い嫌なんよ、せやからオリビアと呼んでな、ロアッソ?」

「はぁ!? オリビア、ロアッソは男だぜ?」

「やっぱ気ぃ付かんかったか、こん阿呆は」


 呆れたと言わんばかりの態度で、アーサーに一言呟くオリビアだったが、そんなやり取りをしている内に、目的の教室へたどり着く。


 クラス札に書いてあるのは『DS』の文字、中は普通の教室だが、席にそれぞれ名前が置かれていた。座席は全部で20席、俺の席は真ん中の列一番後ろだ。


「中々良い場所だな、俺の所と違って」

「一番前か、まぁ、アーサー頑張れ」

「アンタは直ぐに寝るからなぁ」

「私の席はここか、ルークの斜め前かぁ」

「エリーゼも近いな」


 席の確認をしながら、他の生徒が続々入ってくるのを眺めていたのだが、どうにも様子がおかしい。

 皆の視線は、隣に居るアーサーでもオリビアにも向いておらず、俺の方に向いている視線が多かった。━━何故か怯えた目をしているものが大半だったのだが、どうしたのだろうか?



仕事の関係で、更新遅れました。

皆様も、寒くなりますので体調を崩さないようお気をつけ下さい。

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