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幽閉された式神使いの異世界ライフ  作者: ハクビシン
1章 -2 呪術人形と勲章と
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【世界】図書館に行きました【創造】

 ザグレブの救出を果たしてから翌日の朝、ルークとカミナは、王都にある大図書館にいた。


「やっぱり、大図書館なだけあって、勉強になるな……おっ、これも面白そうだ」


「……やはり本の虫になるんだな、お前は」


「家の本は、全部読み終わったからね、ここの本は面白いよ、特に各大陸のダンジョンとかの本もあるし」


「まぁ、滅多に見ない魔物や魔獣の記録もあるから、役には立つな」


「そう言えば、王都の近くにダンジョンがあるみたいだね」


「そうなのか?」


「うん、この本に書いてあったよ」


 俺は、灰色の背表紙の古代エルフ文字で『六守護龍のダンジョンと伝承について』と書かれた魔導書を見せる。


「また随分と古い本だな?考察書か」


「この本、考察書じゃないみたいなんだ。どうも調査結果みたいだ、地図と植物や生き物に関しての解剖図や素材の情報まで載ってるんだよ。古代エルフ文字だけどね」


「ほぅ、ちょっと待て、………内容に所々間違っている物があるようだが、大概は神界にある情報と違いはないな、この著者は大したものだな」


「カミナ内容知ってるの?」


 何百万冊とある本の中から見つけた本の内容を、流し読みして分析判断したカミナに尋ねると、


「ルークの貰う勲章とも関係がある話になるな」


「勲章に関係?」


「あぁ、神界の記録と同じ事がこの本に書いてある。この世界に住む六龍の守護と墜神(おつがみ)の物語だ」

 ━━━━━━━━━━━━━━━


 ━━最初は無から始まった。


 神は、生命を育む為に自身の肉で大地、涙から海を創造する。


 一束の髪は木々となり、一滴の血は河となる。


 神は己を使い、この世界(ベルフォート)を創造した。


 神の身体は、万物を創りだし、感情の一部すら事象に変わる。


 そうして、神は7日で世界を創造していった。


 世界が安定し始めた時、最初の神は管理をする者を造り出す。


 人族、獣人族、エルフやドワーフ等の亜人と、

 神の権能の一部を宿し、世界の崩壊を防ぐ六龍を産み出した。


 光と浄化の力を宿した、《陽光》白龍ハイペリオン


 闇と生死の力を宿した、《冥府》黒龍オルクス


 火と熱気の力を宿した、《煉獄》紅龍アグニシュカ


 水と寒気の力を宿した、《凍土》蒼龍レヴィアス


 土と樹木の力を宿した、《神樹》碧龍ユグドラシェル


 風と雷の力を宿した、《紫嵐》紫龍シャガール


 人々は、初めは神の庇護のもと、様々な知恵を生み出し、発展していった。


 しかし、豊かになればなった分、欲が生まれていった。


「楽がしたい」「自分の所より、向こうの方が良いものが多い」「自分達の所で作れないなら奪うか」等の暗い感情が芽生える。


 結果、人々が神の庇護から抜け出せる程に発展し、庇護を止めた数百年後、人々は互いに争い、殺し、奴隷にする破滅の道に進み出す。


 嘆いた神は天啓を出したが、もはや神の管理外になった人々は、天啓を曲解をした人間達が自らの行いを正当化する為の、偶像となってしまった。


 唯一、神の味方であったエルフやドワーフ達と一部の人族は、人族から距離を置く事にし森や地下に、身を隠した。


 亜人達が姿を消した結果、人族と獣人族は更なる犠牲を積み重ねる。


 人族は、知恵を使い獣人族を奴隷にしていった。


 獣人族は、人族から仲間を取り返すべく争った。


 戦争が激化する最中、隠れたエルフを人族は見つけだし、奴隷にする事をし始めた。


 神は身勝手な人族に怒り苦しみ、二つの存在へと変質していった。


 自分を崇め味方をした者達を守り、世界を続けるエウリシア


 破滅の道を歩む者達を屠り、全てを無に戻す墜神ベルフォート


 二つの存在になった神は互いに対峙する。


 この時破滅に向かう筈だった者達は、殆どが消滅した。


 しかし残った者達は、墜神ベルフォートを崇拝する者や、エウリシアを崇拝する者に別れた。


 六龍達は、『世界の崩壊を防ぐ者』の為、エウリシアに付き従い、ベルフォートと戦いに挑む事になる。


 エウリシア達と墜神の戦いは、激しく世界を傷つけていった。


 互いに同じ力を持ち、同じ者から産まれたが故に、拮抗する。


 僅差でエウリシアはベルフォートを封じる事が出来た。


 しかし残った力では、世界を癒す事が出来ない為、エウリシアは浄化したベルフォートの身体を使い、修復を行った。


 世界が修復し終えた後、六龍達は不安定な世界を安定させる為、各地に別れ、守護龍として己の使命を果たす事にした。


 エウリシアは、世界神として崇められ、創造神ベルフォートは墜神として、語り継がれる事になっていった。


 ━━━━━━━━━━━━━━━━

「…これが、この世界(ベルフォート)の始まりの物語だ」


「わりと…どの世もロクデナシが居るんだな……」


「まぁ…今もたいして変わらんと、私は思うけどな」


「で、…勲章に関係あるって言ってたけど、もしかしなくても、国の勲章に書いてた龍がその国の守護龍なのか?」


「そう言う事だ」


「今も居るのか?」


「まぁな、ただしこの世界が滅ぶ事は無くなったがな」


 さらりと、カミナは重要な事を言う。


「何故そう言う事が言えるんだ?」


「浄化された創造神はどうなった?」


「世界の修復だろ」


「実はそれだけじゃ無いんだよ、ルーク」


「えっ?」


「なんで、この世界でスキルがランダムになっているのに、刀夜は選べたと思う?」


「…嫌な予感しかしないんだが」


「魂が転生した時に使った。後スキルの潤滑剤?みたいなのにも入ってたみたいだ、まぁ神になる訳でもないし、エウリシアに聞いた時に、『普通の人間みたいだから安心してて良い』みたいな事を言ってたから大丈夫だろう。………たぶん」


 ……思う所が色々あったが、下手をすると人じゃなくなりそうです。


 勲章授与式まで後、4日とばかりとなっていた。

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― 新着の感想 ―
[一言] これ人間じゃなくなるって事ですかね!?!?
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