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幽閉された式神使いの異世界ライフ  作者: ハクビシン
2章-9 家族
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魔導核

【ラーゼリア伯爵邸 パーティー会場】


 飾り付けは華美に成りすぎず、嫌味の無い物で飾られている。


「へぇ~、フォロンの細工、種類が増えたのね?」

「繊細な細工だな、ラーゼリア伯爵。このテーブルを後で三卓程買いたいのだが?」

「職人を紹介しましょう」


 父様達は、笑顔で話している……特に問題ない様だ。


「貴女がメアちゃんね? ルークの母、トリアナよ」

「…は…初め、初めまして、メア・シュヴァリエです……あのっ、半吸血鬼でしゅ……あぅ」


 あぁ、メアも母様に気に入られた様だが、どうも緊張し過ぎだな。


 他の婚約者達は、お兄様達と談笑しているが、ルシアン兄さんは固まってるし、カイン兄様も大分表情が硬い様だ。

 ただし、アメリア義姉様がフォローしているようで、そこまで心配が要らなさそうで良かった。


「ルーク子爵良いだろうか?」

「ベルヴェーラ子爵? どうなさいました?」

「いや、改めてラヴィの事の礼にね」

「いえいえ、こちらもフォロンさんのお陰で、細工師の職人が居なくならずに済みましたから」


 実際に高齢で仕事が出来ない人も、フォロンさんに技術提供を行う形で、仕事をする事が出来ている。

 子供が居ない高齢の職人も、フォロンさん達の事を孫の様に可愛がって居るらしい。


 フォロンさんも、ラーゼリア領内で行われていた細工技術を真剣に覚えているので、周辺の職人達とは仕事の間は師弟の様に、それ以外は家族の様な付き合いといった感じだとダリウスから聞いていた。


「アルマさんとラヴィさんも、工房の仕事以外に近所の人に手伝いをしているそうですよ」

「そうか……幸せそうで良かった。これを受け取ってほしい」

「これは?」


 手渡されたのは、銀縁で中央に紅色の剣が細工された小さなメダルだった。


「それはメリーズ家では無く、ベルヴェーラ個人として所有する採掘場に入る事が許された者の証。殆ど採掘されているが、そのメダルを使って入れる扉の先は、殆ど手付かずなの。欲しい鉱石があれば採掘して、魔鉱石が豊富ではあるけど、深層には行かないようにね?」

「ありがとうございます。何かあるんですか?」

「下層までは魔物が出ないけど、深層域からは出るのよ」


 ふむ、魔鉱石が欲しい時はベルヴェーラ子爵領で採掘するのも悪くない。

 確か産出される資源は、魔導具に使う鉱石類が多く産出されていた筈だ。


 ベルヴェーラ子爵と話終えると、バルバドス伯爵がやって来るのが見えた。


「ルーク子爵よ、渡した魔鉱石の塊について説明しておく事がある」

「是非お聞かせください」

「あの魔鉱石は……ある種の淀みだ。その昔、領内で討たれた魔獣達の巣穴から採掘された魔鉱石の塊でな、魔核と同じ成分を含み、鉱石と同じ性質を持つ異物だ。解析結果からかなりの魔力量を含む、欠片1つ砕いて使えば、新米の鍛冶師でも魔力を帯びさせる程度は出来たからな」


 新米の鍛冶師が魔剣に近しい物を作成する事は、よほどスキルに恵まれないと無理だ。

 少なくとも創造のレベルが高くないと、魔力を帯びさせて保たせる事すら出来ない。

 伯爵はこの鉱石で、俺に何かを作らせるつもりなのだろうか?


「この魔鉱石は現存するモノの中で、魔剣を作成するにあたり、一番適したモノだと判断している。レヴィアシェルを復元した腕ならと思い持参した」

「……ッ!? バルバドス伯爵、有りがたく使わせて頂きます」


 伯爵の言葉に、俺の考えは杞憂となったが、魔法鞄から魔鉱石を取り出した際、オルクス様から貰った指輪から一瞬だけ発せられた魔力が気がかりだった。


 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

【???】


「オルクスの指輪を貰った子供、お前の造った魔導核を手に入れた様だね?」

「本当に創らせるの? まぁだ子供だよぅ?」

「本格的に創らせるのは、まだ先に成るが先に向かう集落がフラクタルなら、鬼神の郷が近い故、(われ)が話をしよう」

「テメエは単に強さが知りてぇだけだろうがよ? シャガール」

「そうよ、何なら少し無理をしてアタシが行っても宜しくてよ?」

「レヴィアス姉は駄目だよ? 動いたら穢れが漏れちゃう」

「……ユグドラシェルから言われたら、アタシも動かないわよ」

「えへへ」


 何もないようで、確実に存在している者達は、水鏡からルークを見ていた。


 薄氷の様な美しさを纏う巨大な海龍。

 大地を踏み均す事も可能な程の巨大な亀龍。

 熔岩や黒曜石を想わせる深紅と墨色を持つ炎龍。

 その中の佇む、シャガールと呼ばれた黒いスーツ姿の男。


 六龍とも呼ばれたもの達の姿がそこにあった。


「所で、オルクスは?」

「数百年ぶりに眠ってるぜ。まぁ仕方無いとは言え、聖女の魂を守り続けてきたのはヤツだ。役目が漸く終わったから、今は眠らせてやれ」

()()()()()()な事態とは言え、ハイペリオンとオルクスの2柱が、居ないと成り立たないからね? 仕方無いわ」

「当時の聖女リデルですら、最後の封印で魂のみの存在と化したのだ。それをハイペリオンとオルクスが聖女の消滅を防いで、今の平和がある……穢れをその身に移してな」


 重苦しい空気が、一際暗く沈む。


「我がある程度の実力を示したと思えば、聖女の話を彼にし、魔剣の作成方法を伝える。示せぬ場合は、鍛え上げる事にするが異論は無いな?」

「「「異議無い(ぜ)(わ)(よ)」」」


 スーツ姿の男は、天井に魔術陣を展開すると、直ぐ飛び込み姿を消した。


 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

【パーティー会場 バルコニー】


「ふぅ、少し食べすぎたかな?」


 夜風に当たりながら、バルコニーに出た俺は少しだけ手元の指輪を見る。


 バルバドス伯爵から頂いた魔鉱石【魔導核】を手にした瞬間に、微量の魔力が指輪から発せられた。


 伯爵達は、魔導具に使う魔核や魔石が共鳴した時にも、同じ事があるから大丈夫。

 そう言われたが、これは俺の魔力で造られたモノであり、黒龍オルクス様の魔力でもある。


 恐らくだが、俺の知らない内に何かしらの動きがあるのだろう。

 オルクス様も他の龍達が喚ぶだろうと言っていた事から察するに、開拓の進展若しくはイベントがあるのだろうと思う。


 パーティー会場は、大人達が飲酒を始める準備が出来ている様で、俺は大量のフライドポテトや食べ物の残りを異空間収納に入れて、部屋に戻った。

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