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幽閉された式神使いの異世界ライフ  作者: ハクビシン
2章-9 家族
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檻の中

 窓から檻を見ていると、セレーナ伯爵が指を指す。


「あの檻に居るのは、ブレード・ディケラプスと言う地竜よ、1.5mの全高に全長は2m。分厚い鱗を持ち、頭部に有る大剣状の角は、アダマンタイトと同程度の強度を持っているわ」

「従魔契約を行えるのであれば、構わんとは思うが、維持魔力量は大丈夫なのか?」

「維持魔力量?」

「あぁ、基本的に従魔契約は、契約者と魔獣との間に互いの魔力で契約を結ぶだろう? 契約後は、契約を維持し続ける為に、常に一定量の魔力を魔獣に流す事に成るから、自身の魔力量で扱える魔獣の種類や、契約頭数も限られて来るのだ」


 俺は、聞きなれない単語に疑問を感じ呟くと思いもよらない所から答えが出た。

 振り向くと、いつの間にか帰って来たカミナが居た。


「デュラハン・ロードを三体従えている時点で、かなりの魔力量は有ると思うけど? 他に黄昏の(トワイライト)守護者(ガーディアン)も文鳥の様に使っているみたいだし?」


 セレーナ伯爵の言葉に、バルバドス伯爵は少し唸りながらも納得している様だったが、実際の所俺の魔力量は変化が無い。恐らくだが、転生の際に授かった式神関係の能力に原因がある。

 どうにも、式神として契約すると呼び出す際の魔力は要るが、基本は呼び出された者の魔力がそのまま使われるので、俺の魔力を使うことがない。

 その上、俺の魔力が尽きても呼び出された者が、もとの場所に戻る事もないため系統は似ているように見えて、全くの別物である。

 そもそも通常の従魔契約を行ってはいないので、これもある種のチートなのかもしれないが。


「契約をするのなら、さっさとした方が良いな。Bランクの竜種とは言え、ある種の特化型に近い。目覚めればあの程度の檻、簡単に壊されるであろう」

「あら? そんな心配は要りませんわ。 それに、契約出来ないなら素材としても優秀ですもの」

「本当に喰えんヤツだ……」

「そう言うバルバドス伯も、大層なモノをお土産に出してきたじゃない?」


 そう言えば、まだ魔法鞄の中から魔鉱石の塊を取り出していなかった。


「先ずは檻の中をどうにかしてくると良い。契約せぬならば、素材にするもよかろう」

「そうですわね、素材にするのなら解体も此方でしますから」


 バルバドス伯爵とセレーナ伯爵の言葉は、俺がどう行動するのかを楽しんでいる様な節もある様だ。

 ディケラプス種は、魔物図鑑に記されている独特から推測するに、頭部が前世のトリケラトプスに似たモノらしいが、本物は初めて見る。


「それでは幕を外すわね」


 セレーナ伯爵が合図をすると、雷獣達が幕を取り外していく。

 期待に胸を膨らませ、檻の前に立つとその姿が現れる……が予想していた姿と大分違う。

 その姿は、……白い一角竜に近い様な?


「これは、本当にブレード・ディケラプスか? ……私の知っているモノと色が随分違う様だが?」

「だって変異種ですもの」

「「は?」」

「私達の領内で、粗相を働いた者達を突き止めた結果かなりの大きな組織だったのは、報告しましたけど、中に違法商品も含まれてましたから、その筋を深く探った結果キメラの製造元にたどり着きましたの。で、一昨日に製造元を潰して証拠品の提出と、この個体を引き取る事にしましたの」


 実験台か材料か……差は有るだろうが、本当に録な事をしない連中らしい。

 保護されたディケラプスは、既にぐったりとしており、干し草も食べてはいないようだ。

 魔力感知に対して、魔核1つと魔石1つが反応している。微量に魔力が放出されている様だがそれも弱々しい。


「既に治癒魔術も施してますけど、生きる気力が無いからか、効き目も薄いのよね。でも、ルーク君なら何か出来ないかと思ってね」

「……」


 ディケラプスは、虚ろな瞳を此方に向けているが、念話も魔力も受け付ける様子がない。


「やはり、ルーク君でも駄目そうね? まぁ仕方無いわ。素材にしましょうか?」

「(マスター、この黒曜に任せて貰えませんか?)」

「(黒曜?……任せるよ)」


 黒曜は何か考えがあるのだろうか?

 俺が頷くと檻の中に、黒曜は入っていく。


「ルーク君? あの子は?」

「新しい従魔です。 何か考えが有るようなので、任せました」


 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

【檻の中】


「おい、そこのデカいの、話がしたい」

「……」

「黙りか?」


 視線は外す事は無いが、それだけ様だ。

 返事も無ければ、反応も薄い。

 そして、魔核と魔石から魔力が微かに漏れだしている。


「生きることに執着も無いのか?」

「……意図的に造られたモノが、生きることに執着するのか?」

「……生きることに執着はして無い。マスターの為に生き、死ぬ事が自分の存在する意味だ」

「分からぬ……人に従い身体を弄られ、最早……本当の自分が分からぬのに、どうして人に従おうと言うか? ……疲れたのだ。この身体を欲するなら、死した後に喰らうが良かろう。この身体も、もうすぐ命果てる……キメラの子よ」

「どう言うことだ?」


 尋ねる間も、徐々に瞳が白くなっていく。


「……度重なる実験で……二年前から魔力を溜める事が出来ぬ。外傷を塞げても、徐々に魔力が抜けるのだ、もう目も見えぬ。もし次があるのなら、空を駆けたいものだ……あぁ」

「今の魂のまま叶えたくはないか?」

「無駄な事よ……神様でもなけりゃ無理な話だ。残りの魔力も少ない……眠らせてくれ」

「その願い、マスターならば造作もない。デカいの、もしその願いが叶うなら、マスターと契約を行うか? 」

「夢物語も良いところだな? ……叶うなら契約でも何でもしてやろう」

「(ありがとう。これで彼を救える)」


 マスターの声が聞こえ、自分の仕事はこれで終わりとなった。


 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

【檻の外側】


「黒曜が、魔力パスを繋いでくれました。……微かな魔力漏れが有り、体力や寿命を縮めていたみたいです」

「それって助かるのかしら?」


 魔核と魔石が傷物状態なら、取り替えれば良い。魔核も構造を理解したし、実物も触って確めてある。


「姿は変わりますけど、助かりますよ」


 ()()()()()()()()()()()が有るのだから。

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