パーティーの準備
「ルーク、お帰り」
「ルークちゃんお帰りなさい」
「ただいま戻りました。父様、母様」
玄関を抜け、迎えてくれた父様と母様に抱きつく様に、体が自然と動いていた。
「今日はゆっくりしていくと良い。二人は今日の夕方には戻るらしいからな。アメリア嬢もカイン達と共に来るそうだ」
「ゴードとアイネも来るから、かなり賑やかになるわね?」
「ルークは誰か呼んだのかい?」
その言葉に、なんと返して良いか悩んだが、素直に答えることにした。
「今の所、婚約者を全員と、新しい従者を喚ぶつもりです」
「今のところ問題はなさそうだが、渚は喚ぶのかい? もし喚ぶのなら助かるのだが……」
「料理の事ですよね? 考えてあります。後はカミナが来る途中で、狩りをして来ると言ってましたから」
その事を伝えると、父様は安堵の表情を浮かべていた。
「済まんなぁ。実は急なパーティーが決まってしまってな、今夜のゲストにお前の後見人となって下さった伯爵が、2名来る事になったのだが、どうしたものかと思ってな。新参伯爵としては、胃が痛く成る所だった」
俺の知る伯爵といえば、セレーナ伯爵とバルバドス伯爵しか今の所、知り合いと呼べる伯爵がいない。
何とも言えない表情の父様だが、お土産が役に立だろうと思い、購入した物を取り出した。
「父様、これお土産です。こちらはお酒の詰め合わせで、おつまみが隣の赤い印の箱に入ってます。━━『招来』渚」
「さて、渚の出番ですね? ルーチェ、仕事です。これに着替えて下さい」
「アタシもその服を着るのか? そんなヒラヒラ着たくねぇ。……似合わない」
「……言葉遣いがなってませんねぇ? 私はルーク様のように甘くないですよ? ……早く着替えて来なさいな」
流石に渚の空気が変わると、ルーチェも不味いと悟ったのか、直ぐに着替え、戻って来た。
鈍色の髪とメイド服というのも良く似合う。
「ほぅ、猫人族か? ……癖の有るメイドだが、足の運びが違うな? ライザ」
「そうですね、旦那様の見立てに違いはありません。あの足運びは、手練れの暗殺者と瓜二つです」
流石はライザだ。この家の屋敷を警護する中でも、対暗殺者の護衛だから気付いたのかも知れない。
「そろそろ到着される頃だな? ダリウスとライザは迎えを頼む」
父様は時計を見ると、側に居た二人に指示を飛ばし、書斎の方へ移動していた。
「それじゃ、俺も他の婚約者達を連れてくるよ」
「畏まりました。お迎えはどちらに?」
「いや、あんまり畏まられても疲れるだろうから、そのまま俺の部屋に転移するよ」
エリーゼもメアもそういうの嫌いみたいだしね。
エルザやソフィア達は、普段からそれがあるから疲れると愚痴を手紙で書いていたこともあるから、既にソフィアとリーフィアは俺の部屋に居る。
なので、婚約者達は俺の部屋に全員集合する事になっているので、問題ない筈だ。
他の式達は、婚約者達が揃ってから喚べば、面倒事にならないだろう。
そう思い、エルザに手紙で伝えた所に転移を行った。
「本日は、お招き有り難う御座います。ルーク君」
「エルザも参加、有り難う。ソフィア達はもう俺の部屋に居るから、このままメアとエリーゼの迎えに行くよ」
「わかった」
エルザに予定を伝え、屋敷に転移を行う。
「あっ……ルーク、私……ドレスどっちが良い?」
「おぉ、ルーク君。このドレスはどうだろうか?」
屋敷には、深い青のドレスと漆黒のドレスどちらを着るかで迷うメアと、薄紫のドレスを着て居るエリーゼの姿がそこにあった。
「エリーゼのドレスは……そうだね、落ち着いていて良く似合う。メアのドレスは……青い方が俺の好みだな。後はこの髪飾りとこれで、どうだろうか?」
「……うん、そう言うと思った」
「だよね~」
手に取った白のボレロと銀のバレットを見て、二人は俺の好みを見抜いていたのか、笑っている。
大分馴染んでいるようで、少し安心できたが大人数の場所で大丈夫だろうか?
「なら行くかい?」
「「ええ、お願いします」」
心配しつつも、そんな二人の手を取り、転移で俺の部屋に移動を行うと、ドレス姿のソフィアとリーフィアが待っていた。
「今回の来訪は、メアさんの婚約者としてのご挨拶と、私達は前回お会い出来なかったお兄様達へのご挨拶の両方を行いますわ。宜しいかしら?」
リーフィアの言葉に、婚約者達の表情が引き締まる。
そんな中でしたの方がバタバタとあわただしくなり始めた。
「バルバドス伯爵様、到着なさいました」
「ゴード子爵、アイネ子爵も到着したようです」
どうやら、兄様達の戻りとバルバドス伯爵の来訪が同じタイミングで被ったらしい。
ダリウスが兄様達の対応を行い、ライザがバルバドス伯爵の対応を行っている様だ。
ライザの方は、「ようこそお越し下さいました。メイド長を勤めますライザと申します」と言うような挨拶をしている様だったが、バルバドス伯爵は俺の部屋に対して視線を向けていた。
「他の式達を喚んでおこう『招来』!!」
指輪に魔力を込めて、3騎士と桂花・雪と焔・黒曜を喚び出す。
あと来てないのは、セレーナ伯爵だけとなったが、その心配も必要なさそうだった。
雷雲が立ち込めたかと思える程に辺りが暗くなり、大きな雷鳴が響き渡ると同時に、二人の女性が姿を現したのだ。
「あぁ、来たのかな?」
そんな風に思っていると、深紅のドレスと、深碧のドレス姿の二人は、側に控えている雷獣から荷物を受け取り送還していたが、終えるとこちらの入り口に歩いて来るのだった。




