親バカ会議と商会での買い物
「プレアとエルザの他にも側室達から散々な言葉を頂きまして……皆の機嫌を治して貰わないと朝から辛い!!」
「分かる。分かるぞジーク! ソフィアも最近会話が減ってなぁ……」
「それは主らが自業自得じゃろうに。ルーク君は帰って良いぞ、エルザ嬢も戻ったことは報告を受けとるからのぅ、この阿呆どもの相手は儂だけで十分じゃわい。あぁ、娘達が来週には王都の寮を見に来るから、その時にはまた頼むぞ?」
ソドム様のありがたいお言葉に甘え、子供のように変貌し始めるジークリッド様とレイ様を横目にお辞儀をして部屋を抜ける。
残念な陛下達の姿は見なかった事にして、フューネラルデさん達の店先に転移をしつつ、お土産を考えながら抜けた。そこには、何時もの筋骨隆々の身体が見えた。
「アラ、何をお求めカシラ?」
「フューネさんとサンバリューさんの商品でお土産にオススメ物って在りますか?」
「在るケド、そういうのって人それぞれヨ?」
「お酒とおつまみのセットと錬金術師用のハンドクリーム、後は魔導具があれば」
「あの部屋で待っててもらえるカシラ?」
商談室に案内されると、様々な木箱や宝石の鏤めてある腕輪等が入ったケースが並んでいる。
「前のお酒はアマツクニの物だったから、今回は少しだけ違うもの……ドワーフの火酒と塩肉カシラ。錬金術師のハンドクリームは以前の物を用意出来るワ。問題は魔導具ネ、どんな物が欲しいのかによるわヨ」
「今回のは多少割高でも良いので、魔力を増幅するのと、対魔術の効果がある魔鉱石が使われたものか、その魔鉱石が有れば欲しいんだ」
「対魔の鉱石ネェ……」
フューネさんは長考している様子で、帳簿を捲り上げていたが、ある所で止まった。
「ここには無いけど、サンバリューの所に居る契約奴隷の娘がもしかしたら知ってるかも知れないわ。所で、対魔の鉱石何て何を造るつもりカシラ?」
「ちょっとした身体の作成に使うんです」
「ゴーレム? それとも騎士達のカシラ?」
「似たような物ですよ」
「マァ良いワ、ちょっと呼んでくるワ」
フューネさんはベルを鳴らさず、商品もそのままの状態で扉から出ていき、サンバリューさんと奴隷の人を呼びに行ってしまった。
盗りはしないが、不用心過ぎる気もする。
「オマタセ、連れてきたワ」
5分程してフューネさんが、サンバリューさんと共に戻ってきたのだが、その手には鎖が握られ、その先にはフードを被った俺より少し大きい人が繋がれていた。
「………」
「この娘がソウヨ、名前は無いノ。奴隷としては犯罪奴隷、猫人族の10歳」
そう言ってサンバリューさんはフードを外す。
姿を現したのは、鈍い銀色の髪と尻尾を持った顔面の火傷跡が目立つ暗い目をした女の子だった。
「やぁ、俺はルークだ。よろしく」
「アンタがアタシを買うのか? それともアタシが殺した連中の敵討ちにでも来たのか?」
なんとも言えないね、キツイ一言が挨拶として返ってきました。
まぁ、簡易で鑑定をしながら話してみれば、それもその筈だ。
【名前】 【種族】猫人族 【職】犯罪奴隷 暗殺者
【体力】2000/2000
【魔力】1/1000
【スキル】
毒物マスター 双剣マスター 変化 暗殺術 毒無効 潜伏マスター 消音
子供が暗殺者とは何とも言えない。
とは言え俺も今は子供だが……。
「対魔の鉱石を君が知っていると聞いてね、話が聞きたいんだ」
「あっそ、アタシには関係無い話だ。他を当たれ、これ以上どっかの貴族の道楽に付き合う気は無い!!」
そう言うと、サンバリューさんの後ろに隠れる様にして、拒絶の意思を表示しされてしまった。だが、思いがけ無い幸運と言うものは在るのだろう。
首を振ったその時、一瞬だけだが鎖の中に燃える様な赤色が揺らめいて見えた。
その色に、深く興味を引かれたので、解析を用いて首回りを見てみると、そこには面白い名前が成分として表示されていた。
━━━━劣化した緋緋色金と。
「へ~、緋緋色金ねぇ」
「……今、何て言った? オマエこの首輪を知っているのか?」
劣化しているとは言え、緋緋色金ならばどういう物か調べたくなるのが、俺の性格でもある。
そして、名称に対しての反応もあった。
「その首輪の出所は知らないけど、使われた鉱石の性質なら聞いたことがある。触ると冷たく、表面は揺らぎ、壊れにくい上に驚異的な熱伝導性を持つ金属だよな?」
「それと装着者の対魔力が高くなるから、拷問や調教に使われる。痛みだけを長引かせる為にね」
どうやら、熱伝導性が高いのは違いないが、使われ方はそっち方面に使われている様だ。
「アンタ、アタシを買いなよ。この首輪を造っていた場所まで案内してやる……交換条件だ」
ほの暗い目に若干の光が戻るが、……成る程ね、拷問されてたのは間違いなさそうだな。
緋緋色金の魔力反応は今ので掴めたから、買う必要性はない。どうしたものだろうか………




