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幽閉された式神使いの異世界ライフ  作者: ハクビシン
1章 -2 呪術人形と勲章と
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【地下牢に】呪術人形とカミナ【いざ参ろう】

【王城客室】

 ━━コンコンッ━

 ノックが聞こえ扉から、デービルさんの声がした。


「大変申し訳ありません、デービルです。トリアナ様かアイネ様は居りますでしょうか?」


「はい、二人とも居ますよ、私達に何かご用かしら?」


「申し訳ありません、王達の相談にお二方のお力をお貸しいただきたく」


「分かりましたわ、どちらに向かえばよろしいのかしら?」


「いえ、こちらで行いますので、入ってもよろしいでしょうか?」


「構いません、さぁどうぞ」


 トリアナが声をかけたと同時に扉が開く。


「流石は、ヘルセルの女神か…魔術で結界と索敵を同時に行いますか」


「レシアス陛下、その名は呼ばないでいただけますか?今更ヘルセルには戻るつもりは、全く御座いませんので」


 その顔は、ルークですら見たことの無い、背筋が凍る様な笑顔だった。


「すまなかった。トリアナ嬢、非礼は詫びる」


「いえ、今は私もこの国の民ですので、王ならば頭を簡単に下げないでくださいませ。いつまでもこうしている訳にもいきません、ルークちゃんとする事があるので、早く要件を話して下さい」


 明らかにトリアナの態度は、普通であれば不敬である筈だが、王達の方がこの場では立場が低い様に感じられた。


「まずはこの人形を見ていただきたい」


 皇帝ドーランが箱から出した人形は木彫りのヒトガタで、胸の中央に薄紫の石が嵌め込まれた物だった。


 しかし、石の中に何かの魔力が消えそうな程小さく光っていた。


「これは、呪術人形ですか?」


「はい、ザグレブに対して使われた物で、他者の身体を長期間に渡り呪いで犯し、魂ごと入れ替わる類いの物です」――――――て


「これを作った者、もしくはどこで使われているか分かりませんか?」━━━━け━━て


「このタイプの人形は、わかる範囲ですけど東側と南の大陸の物に近いです」━━━━た━━て


「もしかして、邪教ですか?」━たす━けて


「また奴等かと思われます」━━たすけて


「おい、煩い少し黙れ、眠れぬではないか」


「「「「「!?」」」」」


 突然カミナが俺の影から現れ、(しかも人の姿で)話をしていた所に怒鳴った為、話が止まり皆カミナを見ていた。


「う…ん、主よ抱き枕になれ、ベッドでもう一眠りしても良いだろう?」


「ルークちゃん、この娘…誰?」


「カミナ…説明して、何でその姿で、出て来たの?」


「面倒だな、私はカミナだ、煩いのはお前達ではなく、魔石に閉じ込められた小僧に言った事で、影の中で退屈だったから、変化をして動きを試していた内に寝落ちしたからだ。説明終わり。私は寝るぞ主よ、ベッドで待ってるからなマッサージしておくれ」


 カミナの説明?が終わりカミナは俺のベッドに獣化して向かい、何時もの姿で、リラックスしていた。


「変化を持つ魔狼…ライカンスロープか?」


「嫌、ライカンスロープは雄しか居ない筈だ。しかし今はどうでもいいだろう。今確かに『魔石に閉じ込められた小僧』と言ったな」


 皇帝と陛下が話すが、カミナは無視をしている。


 俺はブラシを持ってカミナに訪ねた。


「カミナ、さっきから聞こえてたの?」


「あぁ」


「閉じ込められたって、どうゆう事?」


「これは、体を入れ替わるだけの玩具の様な魔導具だ。恐らく魂を入れ替える物と勘違いをして、呪術人形にしたのだろう。その中にあのザグレブとか言ったか?の魂と魔力がほぼ完全に残っているみたいだな」


 ブラッシングをしながら聞くとカミナは答えてくれたが、もう少しで眠りそうになっている。


「じゃあ、あのザグレブは、どうなって居るんだ解呪を行った人間が死んだそうだが?」


「…元来の使い方をしていないから、解呪した人の魔力と魂、ザグレブ本人の魔力と魂に、呪術に使用した素材が変な作用を起こして、暴走しているのかもしれないわ」


「となると、ザグレブの身体には何が居るんだ?」


「フン……低俗霊と骨の持ち主の魔力が混ざったものだろう、解呪ではなく、『サンクチュアリ』か『ターン・アンデット』で霊どもを消してやれば後は人形を使って身体に戻せる筈だ。使える者が居ないなら私がしてやる。ルークにはまだ対アンデットやら回復系統は、中級・上級(ミドル・ハイクラス)術式と陣を教えて無かったからな勉強になるぞ」


 普段は基礎魔術を合成したり、イメージを創造で形にしていたから、カミナは久しぶりに教える事があると喜んでいた。


 三ヶ国の王達は、そんなのほほんとした雰囲気の会話を聞きながら、相談をしていた。


「ザグレブの処刑までしなくても、済みそうだな」


「あぁ、あの小僧がどうなるか、分からんがザルツは優秀な男だからな、綺麗に纏まるかもしれん」


「……あの歳で、あれ程の神獣か近しい者を従わせるか……やはり面白い小わっぱじゃ」


「ではカミナ殿、王家からの依頼として、受けていだけるかな」


「私が主としているのは、ルークだけだ、ルークが無理矢理に受けるので無いならば、私は主に従うだけ、無理矢理ならば、生かさないだけ」


 王達の話を聞いたカミナは、薄く魔力を放出させながら、あくまでルークが主と譲らなかった。


 こうなると、カミナは融通が利かない。


「ルーク・フォン・ラーゼリア、カミナと共に謹んでお受けいたします」


 俺は、ザグレブの救出を王家からの依頼として、受けるのであった。


 その翌日、ザグレブを救出する事を聞いたザルツ子爵から、お礼になる物を持っていっても構わないとマジックバッグを渡し、泣きながら、


「ザグレブを頼みます」


 と貴族ではない親の顔で言われたので。


「カミナに任せて下さい、大丈夫です」


 俺は、一言だけ子爵に告げるとザグレブが幽閉されて居る地下牢に向かった。


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