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幽閉された式神使いの異世界ライフ  作者: ハクビシン
2章-8 無名の地
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エルザ捜索開始

「エルザが行方不明!?」

「あぁ、鏡転移を失敗した可能性が高い。そこでルーク君の力を借りたいと思ってな」


 ノームの月に残り一月と一週間に迫った朝、いきなりの報せがそれだった。


 永遠の結婚指輪(エターナル・リング)には、復元(レスト)と状態異常無効の効果を備え付けているが、基本的に必要な物を作製した際にはその位置が分かる様に、俺の指輪と魔力パスを繋げている為、どこに誰がいるか大まかな位置が分かる様にはなっている。


 俺は地図を広げると、エルザの指輪の位置を確認してみた。


 魔力反応が薄いが、大まかな位置が分かると思った矢先、その場所は今から向かう予定の場所だった。


『無名の地』四国から与えた特別な土地で、護り人(もりびと)と呼ばれる人達が暮らしている土地でもある。


 その中の一区画に指輪の反応があった。

 奇しくもそこはベリトとゴーム、ノルドの三騎士が一番気になったエリアで、理由が周辺の中で一番過ごしやすい環境らしい。


「場所が分かりました……けどかなり厄介です」

「どこだ? 娘は、エルザは無事なのか?」

「無名の地、恐らくレイスが浮遊していたと報告のあった場所の奥ですね」


 場所からして、一番近い国は神龍皇国レスティオからのルートになる。


「なんとかなるか?」

「すみませ~ん! フォロン細工工房です。お届けの品を御持ちしました」

「ナイスタイミングだ!! ジークリッド様、大丈夫ですよ。明日にはエルザの所に迎えに行けます」


 丁度良いタイミングでフォロンさんに頼んでおいた品物が届いた。


 今回フォロンさんがダークエルフの出自である事が幸いし、ある品物を頼んでいた。

 それは、『非迷の鈴(マヨワズのすず)』と呼ばれる物原初の魔導書(ゼロ・グリモワール)に記載されていた物の1つだ。


 効果としては、方向を見失わないと云うシンプルな物だが、霧を抜ける為に必要な魔導具の1つだ。


「それでは、エルザの捜索に向かいます。一週間後に一度連絡をしますね」

「頼んだぞ!! ルーク君」


 こうして、エルザの捜索及び、無名の地の攻略を少し予定よりも早目に開始となった。


 魔導書に記載されていた道具(アイテム)の内、絶対に必要な物が3つあり、『非迷の鈴』『天駆せの靴(あまはせのくつ)』『荊花女王(クイーンローゼリア)の花蜜』の三種類。


 内二つは手元にあるが、〝花蜜〟が厄介な物だった。


 荊花女王は、魔素の密度が濃い毒沼にしか生息していない魔物である為、未だに入手出来ていない。


 今から向かう場所に生息しているエリアがあると、ゴームから連絡を受けているので、一度寄る必要はあるかも知れないと考えている。


 狼形態のカミナに身を任せながら、漸くたどり着いたが、時間は既に夕方になろうという所だった。


「ルーク様、ノルド戻りました」

「我が君よ、騎士ベリトここに」

「大将、ゴーム戻ったぜ」


 森の入り口に三騎士が集う。


「報告を」

「ハッ!! 現在の周辺に潜む魔物の種類と毒沼の地図がこちらです」


 ノルドが手書きして作成した地図を広げると、思ったよりも更に細かく書き込まれていた。


「やはり入り口付近はウルフ系統が多いな。それでここからだと最短が毒沼を抜けるルートか」

「はい、迂回路も在りますが霊体の魔物が多く、思ったよりも道が悪いので時間が掛かります」

「毒沼に関してですが、一度魔素を吹き飛ばせば魔素が再び溜まる迄は、現存している物のみになると思いますが、溶解液の様な状態ですので、我が君とはいえ危ないエリアに違いはありません」


 そう言ったベリトの鎧には、汚れや傷すらないが、ベリトが自作した魔剣ネグロスの鞘に着けていた金飾りは一部腐り落ちていた。


「まぁ最短経路で進もう。沼は靴を使って駆け抜ける形で、荊花女王がいたら討伐と花蜜の回収で」

「「「ハッ!!」」」

「それでは寝るか? 今日は渚も居るから、ルークはしっかりと寝ておけ。夜番は私と三騎士、渚で行う」

「さぁ、ルーク様はしっかりとお休みくださいませ。後は渚達が行いますので」


 その言葉に任せて軽く食事を済ませた後、俺は自作のテントでしっかりと熟睡する事が出来た。


 ━━━━━━━━━━

【???】


「おはようございます。ファナンさん?」

「おっはよ~、エルっち良く寝れた?」

「はい、所でここは本当に無名の地なんですか?」

「そっだよ~、正確にはティアっちの管理している『魔霊の森』の『霊域の集落』だね~」


 エルザは、朝から正座をさせられているファナンに挨拶をしてから、昨日の情報を再確認していた。


「おはようございます、エルザは何を飲みますか? もうすぐ朝食が出来ます」

「ティアさんおはようございます。ファナンさんは何かしたんですか?」

「ええ、昨日から余計な仕事を増やしたので罰としてさせています」


 ティアは、慣れた手つきで三人分の朝食を作り終えると、盛り付けた皿をテーブルに並べていく。


「それでは頂きましょうか?」

「糧となる生命に感謝を」

「「「いただきます」」」


 パンや野菜のスープを摂りつつもファナンがティアに報告を始める。

 どうやら、これが普段の様子であり、変わらない朝の日課なのだろう。


「え~と、監視網には異常無しで~、魔力反応に変化もないですね~」

「分かりました。他に何か有りませんか?」

「ん~と特には、あぁ最近現れた霊騎士の軍団が()()消えた位ですね~」

「そうですか、()()()()()

「まぁ、悪霊(レイス)が消えるだけですからね~、またダリエラの姉さんでしょ~多分?」

「そうだと良いのですがね……暫くは魔力反応を探って下さい。後は、最近広がりを見せる毒沼の解決法を探りましょうか? 頼みましたよファナンさん?」

「へ~い、人使い荒いなぁ。まぁ良いや、報酬よろ~」


 ファナンは自分の食事をシンクの中に入れると、そのまま翼を背中から生やして飛び立った。

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