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幽閉された式神使いの異世界ライフ  作者: ハクビシン
1章 -2 呪術人形と勲章と
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【王城に】迎賓館の結末【呼ばれた】

 そこに居たのは、エルザ、ソフィア、リーフィア、三人の王女だった。


 今回の集いに使われた迎賓館は、国の所有物であり、()()()()()使()()()()()()()()()()()()初代レシアス国の王、リヒト・ウルムンド・レシアスが創造の力で建てた物だ。


 そして今回の集いは、『各貴族間での婚約相手を見つけたり』又は『グランツとザルツの様な爵位の差や距離的な問題がある、知己の者との旧交を温める場になれば』と、王家の計らいで開かれている物だった。


 つまり、今回の集いに関しては王家開催の為、『普通の集いならば、王族は来ない』が『王家開催の集いで、いつ来てもおかしくは無い』状態になっていたのである。


 ザグレブは、周囲の反応に気が付いていない為、相手が誰かと問われても、分から無いのだった。


「チッ……お前達、俺様の家来になりたいなら、コイツらを押さえ付けろ」


 ザグレブは周囲の取り巻きに、命令を下した。


 下卑た笑いの取り巻き達は、動こうとしたが体が動かない。


 ルークはザグレブの手を止める際に、胸元のブローチに魔力を通し、闇属性の式神闇蜘蛛(ダークスパイダー)をあらゆる場所の影から、操り、取り巻き達の体を拘束していた。


「……足が動かない」


「え…何なんだこれは」


「ザグレブ様…体が…う…動きません」


「何が…」


「実に美しい手際でございますな、ルーク様」


 動けない取り巻き達と、何が起きているのか理解できないザグレブを余所に、一人の老成した執事が話しかける。


「デービルさんが居るのは、魔力で気付いていましたから近くに居るとは思ってましたよ。出来ればもう少し早く来て欲しかったです」


「いえ、ルーク様が動かれるのが見えておりましたので、どうせなら実力の一部でも観ていただこうかと思いまして……どうでしたかなジークリッド様、レイ様、ソドム様」


 デービルは、ルークに軽く頭を下げた後、水晶を取り出し声をかけた。


「いやはや、我が国に、ここまでの光る逸材が居るとは思わなかったな」


「我々の娘達と近い歳だろ、久々に驚いた。デービル、その子と親を早く連れて来い、話がしたい」


「ふぅむ、魔術・体術一部を軽く観ただけだが、なる程デービル殿が一目置く訳だ。久方ぶりに儂の武人としての血が滾っておるぞ…カッカッカ」


 水晶から三人の男性の声が鳴り響く、同時に周囲の大人達は、左片膝と右手を地につき、頭を伏せる。


「ザルツ家の方々と、取り巻きの方々はどうされますか?」


「子供とは言え、不敬罪には変わらんだろ……っていうかうちの娘知らんとかあり得ん、ザルツ出て来い」


「国王陛下、申し訳ございません。息子(ザグレブ)は、廃嫡したうえで幽閉致します」


「いやいや、子供とはいえソフィアを知らんのはどうなんだ?うちの天使だぞ、将来色々と有望なんだぞ」


「今はそんな話しをしておらん、ザルツ伯爵10日後に王城にて報奨と勲章の授与を行うからお前の所の魔鉱石、純度高いのを用意せよ。その際に、どういった教育をしてきたのか、聞かせてもらうぞ」


「はぁ、お主ら、相変わらずの親バカじゃのう、今の迎賓館に居たら寒気しそうじゃわい。ザルツとか言ったか、後日結果を知らせる下がるが良い」


「ハッ、国王陛下の命謹んでお受けいたします。最上級(ハイクラス)藍白魔鉱石(アニールブラン鉱石)を用意致します」


 気が付いたら、水晶に頭を下げたままのザルツ様と、中央大陸の御偉方(親バカ×2)のシュールな光景が展開していたが、誰一人として笑え無かったのはいうまでもない。


 そんな中、三人娘はルークの前に横並びになり、ソフィアから一言


「此度は、悪漢から私達を救い、無事に王都への護衛を勤め上げた功績並び、この場での対応に対してルーク・フォン・ラーゼリアに三国より報奨及び勲章の授与を行います。10日後に王城にて行いますので、当日まで王城の一室にて家族と共に待機してもらいますが、よろしいですね」


「……ハイ、謹んでお受けいたします」


 馬車の中とは違う皇女としての振る舞いに、思わず見とれてしまい返事が、一息遅れてしまった。


 三人は笑顔でルークの顔を見た後、デービルと共に迎賓館から王城に戻って行った。


 そこから先はとにかく大変だった。


 直接、それも三国の姫から登城の命を受け、報奨と勲章の授与を行うと言われたのだ、当然の事、関係を持とうとする下心満載な貴族から逃げる為、ルークとグランツは急ぎ準備をする為、迎賓館から別邸に戻ったのだが、既に別邸の門には、さながらゾンビやグールの如く人が群がっていた。


「表からは無理だな」


「父様どうしますか?」


「仕方ないな、ゴードの所に向かう」


「ゴード様の所ですか?」


「あぁ、前もってこうなった際の対応を頼んでおいたからな、あいつの別邸、私達の別邸に繋がる通路があるんだよ」


「お母様達はどうしますか?」


「恐らくだが、先にゴードの所に居る可能性が高い、今日の朝からアイネがパメラ…ゴードの奥方とトリアナと一緒に、錬金術で何か創るとか言っていたからな」


 二人はゴードの別邸に向かう為、足を進めるのであった。


【ゴードの別邸】


「で、ルーク坊とお前が王城に向かう事になったのか?……クックックッ…こりゃあ明日からグランツ伯爵様と呼ばなきゃなんねぇかな」


「笑い話にならんぞゴード、下手すりゃあルークに叙爵もあり得るぞ」


「まぁ、領地を持つ事はねぇだろ、まだまだ子供なんだから」


「分からん、王国と帝国、獣公国の三ヶ国からだ、何が起きても不思議じゃない」


 グランツはゴードと共に、会議室で事の顛末を話すと、頭を抱えて項垂れた。


「俺が王なら、ルーク坊に開拓出来そうな所に領地を与えて遊ばせるがな」


「領地になって無いから、税収が無いからな」


「そうゆうことだ、三ヶ国の間にある山と森とかな」


「あらぁ、王様の事良く理解しているのねぇ、ち・な・み・にグランツには加叙に称号と竜馬(ドラグホース)が2頭与えられるそうよぉ」


 いつの間にか入っていたアイネが、グランツに伝えた内容にゴードは腹を抱えて笑い、

 当人のグランツは、今の地位よりも高くなる爵位に、より胃が痛くなる事になった。

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 【ドラグホース(竜馬)】

 ワイバーン等の亜竜種と同等の強靭な身体を持ち、主に戦馬としての役割を持つ竜頭馬体の魔獣。

 竜の血が濃い程その能力は高くなる特性を持つ。

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