婚約者達とのデート ソフィア篇 ソフィア視点
私の名前は、ソフィア・ロードス・ドーラン
北にある帝国ドーランの第2皇女の肩書きを持っている女の子です。
今日は私の婚約者、ルーク君とのデートの日なのですが、私の幼なじみであり同じく婚約者のエルザとリーフィアの二人ともデートをした後でのデートになるので、少し勿体無いですけどルーク君にはゆっくりと休んで貰うつもりでいました。
そもそも、彼はいささか頑張り過ぎるといいますか、私達の事を大事に思っている反面、自身の事は二の次の様な動きをするので、少々心配になります。
なので、リーフィアに相談して彼とのデートが終わる際に、私のメモを渡す様に頼みました。
メモには、一言だけ『貴方の側に』と記し魔力を込めて封をするのですが、この際に私の持つ魔術を1つ仕込んでみました。
私が持っている『影渡り』(影の中から影の中に移動を行う事が出来る)と『影潜』(対象とした影に潜り込む事が出来る)のスキルを発動させている事が条件になるのですが、メモを開いた際に、持ち手の影に移動をする様にする術をカミナさんから教えて貰ったのです。
黒龍様の加護のお陰なのか家柄なのか、闇魔法の適性もあり、何とか使用する事が出来る物で、私の魔力量だと2回しか使えない魔術でもあります。
その為、手頃な影に潜り込みメモを開くのを待っていましたが、いざ発動すると一瞬でした。
彼の影に移動を終えているのですが、周囲を見るとどうやら宿屋に戻ってくれたようですね。
換気をして部屋を出たのか、窓が開いていました。
私はそろそろ姿を顕して、お部屋デートを行おうと思いましたが、つい悪戯をしようと思いつき窓へ向かい音を発てない様にそっと閉めてベッドの影に移動を始めました。
彼は窓が閉まっている事で、私が近くに居る事に気が付いた様ですね。
「ソフィア、何時から影の中に入って居たの?」
彼の問い掛ける声に、私は返事をすることをせずに悪戯を継続しようとしましたが、彼には私の位置を把握する事は簡単な事の様ですね。
不意に何が触れた感覚を覚えたのですが、気づいた時にはもう遅かった様です。
「ソフィア、見つけた」
彼の声は、エルザやエリーゼの悪戯がバレた時に諭す様な呆れた様な声色でしたが、不思議と落ち着く話し方でした。
そこからは、外に出てデートをした後で昼食にする事になり、最近噂になっている最新の写し絵を行っている天幕に行き、その後はメアちゃんのアクセサリーを売っていたお店を巡る流れになりましたが、やはり彼は巻き込まれ体質なのだなぁと思わされる出来事がありました。
珍しい形のアクセサリーが並ぶ中、魔結晶が使われたブローチを探していたのですが、全て売り切れており、そのまま帰るつもりになっていた所で、そこの店主と思われる女性が帰って来たらしく、彼を一目見て話を聞いた後に店の奥から一塊の魔結晶を持ってきたのです。
『魔竜の心核』そう呼ばれる最高ランクの魔結晶でした。
魔結晶自体は、魔素溜まりで採集出来る物ですが、魔素の濃さや周辺の魔物や魔獣などの環境によって質が上がるそうです。
特に竜種の魔素で作られた物はその属性により、中心部の色が変わる為宝石の様な輝きを持つ物が多く、しかし竜種の塒で採集するしかないため価格も凄いということだけは誰もが知っています。
その様な物を彼に渡し、中心部以外の取り外した魔結晶を譲ると言われました。
外殻の魔結晶といえ竜の魔素で出来た代物。
普通の魔結晶ですら敵わない魔術触媒に成るものです。
それを聞いた彼の顔は、とても嬉しそうな良い物でした。
デート中とはいえ、そんな顔をされて彼の嫌がる事もしたくないのと、私の事も構って欲しいという気持ちが混ざり彼の顔を見ては目を背けるといった行動をとってしまったのは反省ですね。
作業を見ながら3~40分程度でしょうか、中心部を取り出した彼は、ミスリルのチェーンを取り出しブローチの作成を始めてしまいました。
いざ作業に入るのかと思った矢先、彼からのストレートが私の耳に突き刺さりました。
『婚約者とか無しに大切な人』そう言われては顔が赤くなる所か、ニヤニヤが止まらなくなります。
人前でニヤニヤした顔は見せれません。
必死にニヤケ顔を抑えながら顔を上げましたが、その頃には作業が終わりそうでした。
そして、私の手には『妖精花のブローチ』と『猫のブローチ』が握られていた。
そのままブローチをコートに着けて、宿屋の部屋に戻り、渚さんから好みの味を教えて貰い作った弁当を食べさせあったり、早起きした反動でついウトウトして眠ってしまう。
気が付いたら彼も寝て居たので、膝枕をして頭を撫でたりそのまま抱き締めてみたりと普段とは違う行動をしてみたのですが、私は存分に楽しめるデートになりました。
次にデートする時は、たっぷりと時間をとってから1日ずっと一緒に過ごすのも良いかな?
それとも婚約者全員で湖に行くのも良いかもしれません。
デービルが迎えに来るまでの間、その様な考えを続けて、行き先の予定地をいくつか選別していました。
今日は短いデートでしたが、次回を楽しみにしながら帝国への移動を行うのでした。




