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幽閉された式神使いの異世界ライフ  作者: ハクビシン
1章 -2 呪術人形と勲章と
13/457

【三人娘】大体の子供はトラブルメーカー【再び】

少しずつ、ブックマークが増えて来て、嬉しく思っています。

引き続き楽しんで読んでもらえる様に頑張ります。

【王都レシアス西区】

 ガンッ…ガッ…ガンッガンッ

 鈍い何かを叩きつける音、そこには二人の少年が、木製の剣で打ち合いをしていた。


 一人は銀色に金色の混じった短髪で、蒼と碧のオッドアイ、目付きは、切れ長のアーモンド型の少年、ルーク。


 もう一人は、ルークの兄で、シャギーカットされた銀髪、碧色の丸目だが凛とした顔立ちをしている少年カイン。


 先に打ち付けていたのはカインで、ルークは右手の木剣のみで防いでいた。


「打ち方止め、ルーク交代だ。次は俺が受けよう、ルーク好きに打て、何をしても良いぞ。俺を下がらせたら、何でもは、無理だが出来る範囲でお願いを聞いてやろう」


 声をかけたのは、二人の父親で、ラーゼリア領主グランツ・フォン・ラーゼリア。


 その父に対しルークは、目を輝かせて、


「本当ですか、父様、では行きます」


「ルークほどほどにな」


 と先程まで打っていたカインが苦笑しながら告げた。

 そこにランニングから戻った次男ルシアンが


「何?父様とルークが打ち合いするの?」


「あぁ、どっちが勝つと思うルシアン?」


「内容は?」


「何でもありのルークが打ち」


「えげつねぇ、父様今までルークと打った事があったっけ?」


「無いよね」


「俺はルークね」


「賭けに成らないじゃないか」


「何気にカイン兄様も酷いな」


 そんな会話の中、親子対決は始まった。


 ルークは上下左右に斬閃を放つ、グランツは二刀流の左のみで受け流す。


 ここだけ見れば、グランツが優勢に見えた。


 次の瞬間、グランツは我が目を疑った。


 ルークの斬閃が無い所から、刃が打ち付けられたのだ、殺気の無いフェイントの様な、しかし確実に狙って放たれた一撃、グランツは思わず両剣で受け止めた……はずだった。


 止めたのは左手の剣のみ、グランツの右後ろ首に木剣が突き立てられていた。


「参った、降参だ」


 結果はルークの勝ちだった。

 見ていたカインとルシアンは、


「「やっぱりルークの剣術えげつねぇ」」


 二人して同じ言葉を出していたのであった。


「何をしたんだルーク?正直解らなかった」


 グランツは、息子(ルーク)に素直に聞いた。


「簡単に言うと、錬金術で木剣の形を変えました。振る時と突きの最中に、少し長さを変えてタイミングをずらして、あとは見えない位置に隠しながらここぞの一撃です。」


 因みに、ルークが着けている手袋内部に、錬金陣を仕込んであるため、某錬金術師の様に指パッチンで火をつけるといった事も出来る。


 これが本日の訓練の様子だったりする。


 その日の夜、貴族パーティーの日がやってきた。

 ━━━━━━━━━━━━━

 招待状に記載された迎賓館は、ロココ様式の、高水準に達した職人の技による、華やかなインテリアで彩られた、正に貴族の空間とも言える場所であった。


「父様、今回の集いは、何をするのですか?」


「ルーク、簡単に言うと、今回は子供同士の挨拶みたいな物だ」


「あぁ、つまりは子供を使った権力者の自慢や繋がりの確保ですね」


「時折私は、お前が本当に自分の子供か疑いたくなるよ。……普通そんな事を5歳の子供が考える事がおかしいのだから」


「心配しなくても、私は父様の子供ですよ、お母様とアイネ様の魔導具でも、きちんと証明されたでしょう?」


「まぁ、凡人から天才が産まれる事があるから、気にはしない事にしているが、変なことに頭を突っ込むなよ」


 グランツは、ルークの頭を困り顔で撫でると、知己の貴族に呼ばれた為、ルークと向かった。


 そこに居たのは、王都と帝国の中間位置にある領ブランの伯爵ザルツ・オムロン・ブランの姿だった。


「やぁ、グランツ子爵、調子は如何かな?」


「これは、ザルツ伯爵様、お体に変わり無さそうで安心いたしました。こちらは、息子のルークです」


「お初にお目にかかります、ザルツ・オムロン・ブラン伯爵様、私はラーゼリア領、領主グランツ・フォン・ラーゼリアが三男、ルーク・フォン・ラーゼリアと申します。若輩の身なれども、以後お見知りおきお願いいたします」


 片膝をつき頭を下げたまま、挨拶を行うと、


「おぉ、グランツ、これはなんとも賢い子ではないか、確か5歳と聞いていたが、家の馬鹿息子と取り替えたいくらいだな」


「ザグレブ様とですか?」


「あれに様は要らん、去年は連れて来なかったが、今年は仕方無く連れておるが、あそこに居るわ」


 ザルツ伯爵が見ている視線の先には、肥満体型の子供が、数人の取り巻きを引き連れ、テーブルの一角を占拠していた。


「あれは、死んだ爺様の悪い所を煮詰めた様な愚息だ、女癖、暴力沙汰、恐喝まがいに成りそうな事を平気でしているからのう」


 とザルツ様が言った矢先、グラスが割れる音がした。


 ザグレブが三人の女の子達に詰め寄って、憤慨している姿があり、ここまで声が聞こえてきた。


「いい加減に止めてください、私達は貴方に興味無ありませんの」


「お前達は、誰に向かってそんな事を言っている。俺様は伯爵家時期当主、ザグレブ・オムロン・ブランだぞ、俺様の女になれと言ったらなればいいんだよ」


 ザグレブは、次期当主候補の為、ある程度、甘やかされて育ったようだった。


「………伯爵様不味くないですか?」


「あぁ、不味いな」


 グランツがザルツ伯爵に言ったと同時に、


 ━━パンッ……乾いた音が鳴る。


 ザグレブが、女の子の一人を殴ろうとした為、ルークはその手を受け止めた。


「貴様、何をするのだ、今からこの女達を、しつけてやろうとしているのが分からんか」


「お声をかけるのであれば、お相手の顔くらい分かった上で、かけた方がよろしいですよ、貴族として振る舞うのでしたら」


「何だと」


「上位の貴族様と話しをする際、格下の者はどうするか、解りますか?」


「貴様は馬鹿にしてんのか?『目上の方から声をかけてもらうまで待つか』、『品物を献上する際の話す機会を使う』当たり前の事を聞くな」


「ではザグレブ様、こちらの方々がどちら様かご理解出来ていますか?」


「どこぞの子爵か男爵家の女達だろう、伯爵家は俺の所を含めて3家しか来て居ないからな、侯爵家は居ないから、この場で一番偉いのは、伯爵家の人間だ」


 堂々と宣言したザグレブに対し、周囲の反応は凍り付いていた。


 皆、騒ぎの中心に居る女の子達の正体に、気が付いたからだ。


 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()という事に。


 エルザ、ソフィア、リーフィアの3王女がそこに居た。

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