表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
幽閉された式神使いの異世界ライフ  作者: ハクビシン
2章-6 日常篇
129/457

婚約者達とのデート ソフィア篇2

 ブローチの土台を作り出した俺は、細工を加えて調整をしながら、土台に合わせた大きさの魔結晶を再構築していく。


「ソフィア、欲しい形にするからイメージを言ってくれると助かる。婚約者とか無しに大切な人には贈り物をしたいからな」


 ソフィアにプレゼントの形を尋ねると、返事が無い。顔を覗くと、真っ赤になって固まっていた。


「少年……君は何時ものそんな事ばかり伝えているのか?」

「好きなことは好きと言わないと、伝わらないでしょ?」

「もう止めてあげな、彼女顔が茹で上がりそうだ。アタシも背中がむず痒くなってくる」


 ソフィアの好きな猫のブローチと別にエルザやリーフィアにも渡すと思い、この地方で採れる妖精花(ネレイス)と呼ばれるネリネに良く似た花をモチーフにして作成した物を3人分用意する事にした。


 なれた作業とはいえ、全体的には少し時間をかけ過ぎた気がする。


 彼女とのデート時間をだいぶ削ってしまったと思っていたのだが、いつの間にか復活したソフィアはニコニコと笑みを浮かべていた。


「ルーク君、作業は終わりましたか?」

「うん、今日のデート相手三人用に妖精花をモチーフにした色違いのブローチ。猫のブローチはソフィアにあげる」

「これはネーヴェちゃん?」

「そうだよ、ソフィアはちょっと逃げられやすいみたいだからね」


 ソフィアはネーヴェを触る際に少し興奮しすぎるのか、顔が危ない人の様に成ることがあり『彼女は少し怖い』とネーヴェから言われたことは内緒にしておく。


「可愛いですねぇ、それに二人の分も作ってくれたのですね?」

「まぁね、三人とも考えることが同じみたいだから、一応作ってみたんだよ」


 ソフィアは大事そうに妖精花のブローチをしまうと、猫のブローチは自身のコートに着け始めた。


「どうですか?」

「良く似合うよ、ソフィア」

「ありがとうございます。このブローチ大切にしますねぇ」


 今日のデートはそのまま着けた状態で行うようだ。


 アクセサリー店のお姉さんも、中心の核を収納して店の奥に入ってから、今度は戻りそうに無かった。


 アクセサリー店での用事を済ませて、そのままソフィアを連れて部屋に戻ると、ソフィアは魔法鞄(マジックバッグ)から美味しそうな匂いが漂ってくるバスケットを取り出す。


「さぁ、ルーク君。ランチにしましょうか?」


 バスケットの中には、サンドイッチやフルーツが仕分けて入っており、串に通したとり天や唐揚げも入っていた。


「これは?」

「渚さんに教えてもらいながら、自分で作りました。ルーク君の好きな味付けだと」

「そうか、ありがとう。美味しそうだな食べようか!」

「どうぞ、お口に合えば良いのですけど」

「「いただきます」」


 ソフィアと二人のみで食べる事は多くないが、その時の食べ物の大半は城の厨房で作って貰った物や出店の物か、俺の作成した弁当を食べる形のどちらかを交互にしており、今回はソフィアの番だった。


 サンドイッチは定番の玉子サンドやハムサンドが入っており、形はやや不揃いではあるものの、とても美味しい。


 串に通したとり天や唐揚げも渚の教えた通り作られている様で、俺の好みに沿った味付けになっている。


「ソフィア、とても美味しいよ」

「良かった……でしたら、これもどうぞ?」


 そう言って彼女は、顔を紅潮させながらハムサンドを取ると口元に持ってきた。

 所謂『あ~ん』と呼ばれる食べさせ方である。


 俺もかなり恥ずかしいのだが、誰も居ない部屋に居ることで普段しない様な行為を、彼女が進んで行う後押しに成っているのは、目に見えて明らかだった。


 そのまま一口、ハムサンドを彼女の手から頬張ると、お返しに俺からも食べさせる。


 俺の手から玉子サンドを食べると、そのまま頬を赤く染めて俯いてしまう。


 互いに食べさせ合いながら過ごした後、ソファーでのんびりしているとソフィアから「今日はこのままお部屋でゆっくり休みましょう?」と言われた。


 了承してベッドで寄り添いながら、本を読み過ごす事にしたのだが、つい眠気が来てしまい瞼が重くなる。


 ソフィアを見ると、彼女も疲れが出たのだろう。既に夢の世界に到着している様だ。


「おやすみ、ソフィア」


 俺はソフィアを仰向けに寝かせ布団を掛け、ソファーに移動をして仮眠を取った。


 次に目が覚めた時、後頭部に柔らかい物と甘い匂いを感じ、目を開く。


 そこには、ソフィアが膝枕をしながら俺の頭を撫でている姿が目に入る。


 慌てて起きようとするのだが、彼女の体で頭を押さえられて起きれない。


「もう少しだけ」


 更に言われてしまい彼女の好きな様にさせる事にした。


 結局デービルさんが迎えに来るまで寝ている事になったのだが、帰る間際に彼女は残念そうな顔で


「このまま今日が終わるまで居たかったです」


 そう言って、ソフィアは馬車乗り帝国領に戻って行った。


 部屋に戻るとベッドに何やら箱が置いてある。


 箱にはカードが添えられており、カードの中を見ると『ルーク君へのプレゼントですよ。ソフィアより』と書いてあった。


 箱を開けると中に入っていたのは、魔術陣が刻まれた本が入っていた。タイトルは『魔術の触媒図鑑』


 触媒を用いた『触媒魔術』の素材や魔術の内容、錬金術の触媒などの情報が、挿し絵と共に記されている物だった。


 原初の魔導書には載っていない最新の触媒魔術などが書いてあるので、素直に嬉しいプレゼントだ。


 ソフィアから貰った本とリーフィアから貰ったポーチに魔術を付与してから異空間収納に入れると、俺はそのまま天幕のある広場に転移を行う。


「おやおや、写し絵を取りに来たんだね? 出来てるよ」


 既に店じまいの準備をしている様で、お爺さんは中にいたが、俺に気付いて直ぐに店の奥から封筒を持って来て俺にそう言った。


 封筒を受け取り、そのまま天幕から帰ると各々の写し絵を加工してロケットペンダントの作成を始めた。


 翌朝、3人分のロケットペンダントが完成し届ける為に袋を買いに行こうすると、扉の内側のノブに袋が掛かっていた。


 エルザの買っていたスノークラウンのロゴが入っている袋には、エルザから『プレゼントだよ』とソフィアと同じ様にカードが添付されていたが、下の方に小さく『余り無理をしないでね』と添えられているのを見つけた。


 どうやら夜中に来たようだが、気が付かなかった様で悪いことをしたようだ。


 ゼファーに贈り物を頼むと、そのまま一眠りをするのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ