婚約者達とのデート エルザ篇 エルザ視点
【デート前日 ウンディーネの月 1月5日 夜】
「「「えぇっーー!!!!」」」
この日、デートの為の話し合いをしていた婚約者組5名は、誰1人としてルーク君の誕生日を知らなかった事が判明した。
私達は、メアちゃんのペンダントを羨ましく思い、ルーク君にデートの約束を取り付けたのだけれど、プレゼントからメアちゃんの誕生日を聞いていなかった事を思い出し、色々と話していると、ルーク君の誕生日って何日か聞いた人が居ない事に気がついてしまった。
迎賓館の出来事があった前の月とは聞いていたが、詳しい日付までは誰も聞いていなかったのだ。
イフリートの月の2月であるところまでは、何とか割り出す事が出来たのだが、日にちが判らずにいた。
そこで、一番ルーク君の事を見ていると思われるカミナさんと渚さんに、誕生日を聞こうとしたのだけれど、渚さんは見つからずカミナさんは、狼の姿でルーク君と寝てしまった為、相談ができなかった。
そこで、明日のデートでルーク君の誕生日プレゼントを遅れながら渡すことにした。
因みに、メアちゃんの誕生日が、今月の20日でエリーゼちゃんの誕生日は、来月の16日だった。
どこから情報を仕入れたのか、ルーク君はペンダントと一緒にバースデーカードを渡していた。
皆も誕生日は過ぎていたが、ルーク君は誕生日プレゼントを、皆との婚約が決まった後に渡してくれた。
私は手作りのぬいぐるみとブローチを貰い、皆もブラシと持ち運びの出来る化粧台や、色々な小物を貰っていたらしい。
エリーゼちゃんに関しては、ほぼ1日ルーク君と部屋に籠り、魔導具の作成をする事をデートと呼んでいたうえに、誕生日プレゼントも魔導具を貰っていたそうだ。
どうやら、エリーゼちゃん的にはそれが当たりらしくて、かなり喜んでいた見たいとソフィア姉様が頭を押さえながら言っていた。
婚約者同盟一同に思うことは同じな様で、デートの最中にかなり遅くなったけど、ルーク君の誕生日プレゼントを買う事にしたのだ。
意気込みは良かったと自分でも思ったんだけど、明日のデートの服が決まらない……。
急いでリー姉様に相談すると、呆れた顔で
「もう少し位お洒落にも気を使いなさい、貴女もルーク様の婚約者になったのだから、恥を掻かせてはいけませんわ」
私の今ある手持ちの服と、リー姉様の服を並べて選んでくれた。
エリーゼちゃんとメアちゃんも、明日の昼にカミナさんを連れて誕生日プレゼントを買いに行くらしい。
服も決まり、部屋に戻ってから買い物の場所を探していると、アナハイムから魔鏡を使っての知らせが来た。
何でも、明日の昼までに戻らなければ、外出の回数を減らされる事になると言った内容だったの。
どうやら、入学試験の筆記試験の点数が、ギリギリだったのが、お母様にバレたらしい。
家庭教師が決まったとも言っていたから、暫くはルーク君とも遊び難いかもしれないかな?
ついでたから、アナハイムにも説明をして、何か形に残るものが良いとアナハイムが言っていたから、良い物がないか尋ねると
「スノークラウンというのはガラス工房がありますので、そちらでスノードームという物を加工してもらうのが宜しいかと」
私は、アナハイムのその言葉に従う事にして、場所と金額を聞いて就寝した。
【デート当日 ウンディーネの月 1月6日 】
「エルザお嬢様、起きてください。これ以上寝ていると主様とのデートに遅れますよ」
その声に私は慌てて飛び起きる。
起こしてくれた声の主は、ルーク君の新しい猫型の従魔、ネーヴェちゃんだった。
普段はメアちゃんと一緒に居るか、ルーク君の側に居るのだけど、今日はどちらでも無かった。
ネーヴェちゃんから起こされ、テーブルを見ると手紙が置いてあり、
『起きれないと困ると思うからネーヴェを置いていきます。 メア 』
メアちゃんからの手紙に、感謝しながら着替えを済ませ、待ち合わせ場所に急いだ。
時間丁度に着いたら、ルーク君は既に待ち合わせ場所に居た。
ルーク君に声を掛けると、何時もの落ち着いた感じで、服装を褒めてくれる。
そのまま行き先に向かい、スノードームを手に取ると、中には何も入っていないガラスの半球だったけど、カウンターに居るおじ様に、加工をお願いする様に伝えると、その理由が分かった。
店主の奥さんから説明を受け、加工プランから行いたい内容を選び、それ以外の要望を添えておくことで、このスノードームは完成するらしい。
私は、ルーク君と私の姿を象った人形を作って貰い、ドームの中でも寄り添う様なイメージでスノードームを注文した。
ビックリしたのは、このお店が英雄の1人であるユキムラ様の工房で、ゾーラさんが子孫であることと、私達の正体を知っていた事かな。
その後は、メアちゃんのペンダントを買ったお店に行きたかったから、そのままお店に向かって色々な商品を見た後、ケースに並んでいた綺麗な髪飾りを選んだの。
だけど、ソフィア姉様とリー姉様にも同じ髪飾りを買って帰ろうと思ってたら、同じのが無くて、ルーク君に相談しようとしたら店のお姉さんが、それぞれメインのフレームが違う色の髪飾りを作って渡してくれた。
代金を払おうとしたら、既にルーク君が支払っていたので、そのまま品物を受け取り、
「ありがとう、ルーク君。でも、スノードームについては私が払うから」と移動するときに、こっそり念を押したの。
……プレゼントする前に見られたくないから仕方無いよね?
そう思いながら、スノードームを受け取りに行こうと思っていたら、ルーク君から
「エルザ、もう少しだけ大丈夫だから、写し絵してもらおうよ」
と写し絵の誘いを受けた。
一瞬なんの事か分からなくて、つい聞き返す様な言葉が出たけど、そのままルークの説明を聞いて、つい嬉しくなった。
二人だけの写し絵、多分ルーク君は皆にも同じ事をすると思うけど、それでも独占出来る時間を形に残したかったの。
そのまま公園に向かい、天幕を見つけて並ぶと私達の番が来た。
箱にレンズが付いた物で、お爺さんがスイッチを押す度に、目がチカチカしたけどルーク君は平然としてたから、怖くはなかった。
そこから、スノードームを取りに行き、代金を支払い終えた所で、アナハイムが頼んだのだろう、ベリト様とアエリナ様が迎えに来たので、私のデートは終わりを迎えた。
最後にキスを頬にして「楽しかった」と言ってたから、私のデートは私も満足出来る物だった。




