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幽閉された式神使いの異世界ライフ  作者: ハクビシン
2章-5 ダンジョン都市ノヴォルスク
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ノヴォルスクでの依頼は?

 トトルは、魔獣の卵の周囲を飛び回り、そのまま卵の中に入ってしまった。


 慌ててトトルの触媒と、刻印を刻んだ魔石を確認するが、魔石は魔力を失った空魔石になっており、触媒の方はトトルの魂が消えていた。


 卵を確認すると、白い卵から、徐々に黒い色に変色していく。


 カイゼルさん達も見たことがない光景らしく、そのまま見ていると、5分程で完全な黒い卵に変貌し終え、心なしか棘が更に鋭さを増していた。


 俺は卵を魔力で覆い、持ち上げるとそのまま異空間収納に入れず、普通の袋に入れ確認する。


 卵は徐々に魔力を取り込み、やはり棘が増えていた。


 そのままでは、持ち運びも出来そうに無いため、異空間収納に入れてから持ち帰る事にした。


 そのままお説教中の三人を放って食事をしているマルバスさんに、別れを告げてから、俺達は依頼書が貼り出されるボードに向かった。


雪豹(スノーパンサー)の毛皮納品 金貨4枚】


隠者兎(ハーミットラパン)の捕獲 金貨6枚と大銀貨2枚】


【氷竜の洞窟 蒼氷竜(ブルーアイスドラゴン)の各部位納品 大金貨6枚~】


 といったB~Aランク内容が、所狭しと貼られていた。


「(左下に隠れている依頼を取れ)」


 俺達が、依頼を見ているとカミナは影の中から一言だけ告げる。


 左下に一枚の依頼書があったが、俺の身長では少し届かない。


『アポート』を使い取り寄せると、書いてあった内容は、【砕氷の古代湖11階までの採掘員護衛 大銀貨7枚】とあり、受付期限が明日までの依頼だった。


 内容と、金額があまりにも釣り合わない内容だったので、俺は戻そうとするのだが、ふと目に入った名前にその手が止まる。


 ビクター・フォルティスと、ジン・フォルティスの名前が、その依頼書には【影狼】に指名と記載されていた。


 俺はその依頼を受付に通した。


 すると奥から、長身の赤毛を後ろで結んだ老人男性が出てきた。


「お前がルークか?俺は、このギルドの長をしている。ワジャンと言う」


「はい、俺がルークです。どうかしましたか?」


「なら、この依頼を請け負えたら、ランクを昇格出来るから、頑張れよ。依頼主はダンジョン前の酒場『氷結樹』に居るらしいから、詳しくはそこで内容を聞いてくれ」


 そう言って奥に戻って行った。


 そのまま依頼人の待つ酒場に向かうと、建物に人の気配が無く中に誰も居ない。


 上の階に二人居るみたいで、どうやら依頼主の二人だと思われる。


「そのまま話を聞いてもらう。ルーク・フォン・ラーゼリア殿」


 中に入ると突如、低い男の声が店内に響き渡る。


「貴方達は、何の目的があって、指名をしたんだ?」


「このままでは、フォルティス家の……いや、この地を任せて下さった、バルバドス伯爵やレシアス陛下にもご迷惑が掛かる事になる」


「俺も一応、無人の領地持ち男爵なんだけど? 助けを乞うなら、姿を見せるのが筋ってものじゃないの?」


「そうですね……では、醜い姿では御座いますが、お許し下さい」


 階段から、二人分の足音が聞こえ俺の方に近づいている。


 一人は髭が整えられているが、伸びきったシャツに白衣の様な物を纏う男と、同じ髪と瞳の色をした、恰幅の良い商人の様な見た目の男が居た。


「私が怠惰と呼ばれているビクター・フォルティスです」

「浪費家のジン・フォルティスです」


 二人の男は、そう挨拶を行い椅子に座ると、俺とメアの姿を見て、何かを確認し頷いた。


「護衛の最中に、我等の愚兄を始末する。ルーク男爵には、そこまでの護衛をしてほしい」


「あれは畜生だ。魔物の方がまだ知性がある。これはこの先の未来の為に行う依頼だ。あの愚兄をこのまま生かす事は、領地の民や国の損害にしか成らん」


 この二人、やはり噂とは違う様だった。


「お話を聞いていると、何故あの様な呼び名で呼ばれているのかわからないのですが?」


「愚兄は悪知恵が働く、俺達の成果を己の功績として掠め取っているのさ。そして、ミスは俺らの責任にしてな。だから私は錬金術のビクターとして商品を作って売っては、得た金をジンに渡して、収益の少ない地方の村や宿場町に金を落としてもらい、俺達の情報を更に悪口で広め、動きやすくする為の隠れ蓑を作る事にしたんだ」


「だから、地方も宿場町も俺達の悪口が広まればその分、愚兄の話が広まるのもな…だが、愚兄はやはり愚兄であった。広まるほどに開き直り、更に好き勝手し始めた。そして最悪な事件が起きた。……それは親父が『極寒の坩堝』の調査で、倒れた1月前の事だ。そちらの女の子は聞かない方が良い。出来ればまだ子供のルーク男爵にも聞かせたくはないのだが……」


「いえ、大体の内容は把握しています。今の話の中にも、一部書類に書いていない貴方達からの情報がありましたが、グレゴリーの罪はかなりの物でしょう?証拠を掴めれば、関係している商人や貴族がわかりますからね」


 俺の返答に納得してジンは、苦々しい顔をしながら話してくれた内容は、吐き気を催す程の事だった。


 俺達の出くわした人拐いは、あくまで一部の出来事である様だ。


 男女の見境無く、6歳位から10歳前後の子供を拐い、己の欲望を叶える道具としてしか見ていない行動。


 その他に、子供を魔獣に喰わせるショーとして他の貴族達を集め、監禁している子供を使った儲けをしていると言う情報は有ったが、確証も無く処罰に持っていくことが出来なかった。


 証拠の名簿を見ると、子爵以下の名前が並んでいた。

 更には、正規の一般奴隷を非正規に売っている奴隷商人(メアと俺に絡んできた奴ら以外の)情報も載っていた。


「ルーク男爵には、御父様であるグランツ伯爵に、この情報を渡して頂きたい」


「バルバドス伯爵に渡さないのですか?」


「今回の件は、バルバドス伯爵の耳には入っています。但し、バルバドス伯爵からは、『フォルティス家自らの腐敗ならば、フォルティス家の人間で解決してみせよ。出来ぬ時はそれまでの事だ、新たな子爵と入れ換えれば話は済む。但し、陛下に害が及ぶのならば、このバルバドスが直に手を出そう』と」


 つまり、レシアス陛下に害が及びそうなら伯爵自ら全てを終わらせるから、そうなる前に始末しろといった所の様だな?


「依頼を受けていただけますか?」


「冒険者としての依頼は受けますが、貴族としての依頼は受けません。と言う事で良いですか?」


「ありがとうございます!! 子供と侮っていましたが、杞憂でした。明日の昼に、砕氷の古代湖の受付に来て下さい」


 俺は受け取った書類を袋に入れ、そのまま酒場から出た。

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