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幽閉された式神使いの異世界ライフ  作者: ハクビシン
2章-5 ダンジョン都市ノヴォルスク
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バルバドス領 ノヴォルスク

「兄貴、そろそろお客がやって来るぜ」


 恰幅の良い男は酒を片手に持ちグッと飲むと、目の前のソファーで寝ている髭が伸び放題になっている男に話しかけていた。


 二人とも同じ青の瞳と赤茶けた髪の毛をしている。


「おぉ、でもまだこの都市には来ねぇだろう?」


「いや、どうも明日の昼にはこの都市に入るみたいだ」


「本当に、グレゴリー(ロクデナシ)を始末出来るんだろうな?まだ5,6歳のガキだろう?」


 訝しみながら、髭の男は恰幅の良い男に尋ねた。


 髭の男の名は、ビクター・フォルティス。

 フォルティス家の次男であり、父親以外からは怠惰と評される男。


 恰幅の良い男は、三男ジン・フォルティス。

 領地の隅々を飲み歩く、浪費家と評される男。

 しかし、それは二人の情報操作による隠蔽が成功している証拠でもあった。


「問題無いだろう。噂は本当の様だしな」


「少なくとも、この領地の人が助かるのなら、協力は惜しまん」


「馬鹿な兄だぜ。手下のならず者を躾ないからこうなる。膿が居なくなれば、後はどうにでもなる」


「早く着いてくれよ、ルーク男爵様」


 男達は、静かにルーク達の到着を待ちわびていた。


 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


「(そろそろ歩きに変えるぞ)」


 野営地から移動し、ノヴォルスクの外壁が見えてきた所で、カミナから声が掛かる。


 都市の周辺には、古代湖に続く小さな亀裂から長い年月をかけて溢れ出た水で出来たとされる、湖があった。


 条件が合えば、天馬が湖に水を飲みに来る姿や、水妖精の妖精の舞い(フェアリーダンス)を見る事が出来るこの湖は、ダンジョン以外の名所でもある。


 俺達は、門の中に入り列に並んだ。

 流石、ダンジョン都市の名前を冠するだけはある。


 並ぶ人を見ると、冒険者や商人が多く、パーティーとソロとで受付が別れていた。


 俺達はパーティーの受付にカードを提示し、都市に入ったのだが、その際に貰ったこの都市のパンフレットを見ると、各々のダンジョンに対する傾向が書いてあった。


 この都市にはダンジョンが3つあり、『砕氷の古代湖』『極寒の坩堝』『氷竜の洞窟』各々が水、もしくは氷の属性を持つ魔物や魔獣が住む。


 ダンジョン都市の名を冠する為には、少なくとも二つのダンジョンを保有し、管理が出来ている事が必要になる。


 リッツバーグ家の領地にも同じ様にダンジョンはあるが、一つのダンジョンでも深いダンジョンの場合、特例としてダンジョン都市が認められている。


 このダンジョン都市は60階より深い深層ダンジョンが『砕氷の古代湖』『氷竜の洞窟』の2つ存在している為、優良な都市と言える。


 もう1つのダンジョン『極寒の坩堝』は、6階層から先に進めたパーティーが居ない、新規のダンジョンらしい。


 並んでいた冒険者達は、7階以降を目指したい者が多い様だ。


 だが俺達の目標は、『砕氷の古代湖』の10階以降になる。


 カミナは、4階から俺に任せると言っていたが、ターゲットとなる氷結亀(フローズンタートル)は10階から出現する魔獣だ。


 とはいえ、他の婚約者達は明日の夜に迎えに行き、5日と6日に探索する事になっているので、今日と明日は自由ではある。


 なので、砕氷の古代湖に近い宿を取り、俺はゴーレムの作成に取り掛かる事にした。


 作業自体は昨夜の続きであるため、両腕と頭部、鎧を取り付けながら、動作確認をしていく。


 しっかりと動作をする事を確認し終えて、メアを呼ぶ。


「メア、君にこの操り型魔導人形(マリオネットゴーレム)をあげるよ。」


「これは?」


「ダンジョン内で、メアの近接戦闘用の武器になると思うんだ」


「…確かに私の能力じゃ、近寄られたら危ないもんね。ありがとう、ルーク」


 そう言ってメアは保管鞄(ストレージバッグ)に入れると、近寄ってきた。


「これの使い方、教えてくれる?」


「あぁ、じゃあダンジョンに行こうか?」


 その言葉を待っていたかのようにカミナが、


「なら、少し早いが亀を狩に行くか。その前に冒険者ギルドで依頼も見るぞ」


 と言って準備を始めていた。


 その言葉に従い、冒険者ギルドに向かう。

 王都のギルドと比べると簡素な外見だが、中は賑わっていた。


「お~う、冒険者ギルドに何用だぁ?」


 奥に座っていた重そうな鎧を着ている厳つい男が、俺達の方に歩いてくる。


「貴方は誰ですか?」


「俺はここの出身の冒険者チーム《ヴォークス》のタンク役、マルバスってんだ。お前さん達は、依頼人か冒険者かどっちか分からんかったからな、声を掛けたんだ」


 そう言うと、後ろにパーティーメンバーと思われる男女が四人立っていた。


 各々、大剣を背中に装備しているマルバスと同じ背丈の赤毛の男性と、軽装眼帯を左目にしている髭を蓄えたやや小柄な男性、顔を隠す程のフードが付いた長いローブを纏った魔術師の女性、白い修道服を着た女性だった。


「俺達は《影狼》のルークです。こっちはメアです」


「へぇ……坊や達Bランクのパーティーなんだねぇ、大したもんだわぁ」


 ローブを纏った女性が、そう言って俺とメアの頭を撫でた。


 周囲の騒いでいた連中もその姿に驚いていたが、ヴォークスのパーティーメンバーも同じ様に驚いていた。


「ザラが子供を撫でるとか、明日はドラゴンと鉢合わせるかな?」


「ゲルバス、あんたの右目を見えなくしてやろうかぁ?」


「まぁまぁ、でもザラさんが子供を撫でる所なんて、私も初めて見ましたよ」


「ザラは別に冷酷な女じゃねぇ、本当は子供好きなんだが、この見た目だからな。子供が怖がるから、距離を置いてるだけだ…そんなところが俺は好きなんだがな」


「………っ!? カイゼルうぅぅぅっ!!」


 大剣持ち(カイゼル)さんに対して、顔を赤らめながらローブの女性(ザラ)さんは叫ぶと、ローブが捲れた。


 その顔は、顔の右から下まで大きな火傷をした跡があった。


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