【次回は】報酬とお肉屋さん【メシテロ?】
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山賊を倒してから、半日が過ぎ、ようやく森林を抜けた。
「さぁ、ここまで来たら後、数日で王都に到着ですよ。今日は、この先にあるカンテボの街に泊まります」
「山賊以外は、魔獣相手だったから、何時もの訓練と変わらなかったねルシアン」
「カイン兄さんとルークは、何時もの訓練だろうけど、僕は体力無いからキツイよ」
「しょうがないわぁ、ルシアンちゃんは私と同じ、後方支援がメインのスキルなんだもの」
「でも、母様、ルークに負けるのは悔しいよ」
「いや、ルークは仕方ない、下手をしたら、数年しない内に俺だって負けるよ。だって」
「「戦闘で錬金術を使うとか誰もしない」」
後ろの馬車から、カインやルシアン達のそんな声が聞こえていたが、当のルークは、そんな事を気にする余裕がなかった。
何故なら、お姫様達の質問はずっと続いており、《婚約者はいるのか》の質問に《いない》と答えた辺りから、様付けを禁止された為、何が不敬に当たるのか、判らなくなって来たからだ。
「私達ばかり質問しても、つまらないから、ルーク君からは聞きたい事は無いかなぁ」
「ソフィア…さんに、質問します」
「何かなぁ?婚約者はいないよぉ」
「何故今それを?そうではなく、皇女様の馬車に王女と公女のお三方が乗っていたのですか?」
「あぁ、それに関しては、私がお答え致しますわ。私達三人は、継承権が低いので、割りと自由があるのです。だからお互いに遊ぶ際に、持ち回りで馬車を出して、迎えに行きつつ、遊ぶのですわ。」
「なる程、だから仲が良いんですね」
「そうだよ、因みにリー姉様の馬車は、フワフワのモコモコで眠くなるんだよ。ソフィア様の馬車は魔力で室内の温度を調整できるし、わたしの馬車は道が悪い所でも、少しだけ浮けるから揺れ無いのよ」
「エルザ、わたしに戻っていましてよ、そろそろ街が近いのだから、気をつけてくださいまし」
「判りましたわ、リー姉様」
「何故、エルザさんは、ソフィアさんとリーフィアさんの呼び方が違うのですか?」
「エルザちゃんとリーフィアは、従姉妹だからですよぉ」
「そうなんですか?」
「うん、わた…ワタクシのお母様と、リー姉様のお母様が姉妹なんですの、ですから喋り方を、リー姉様と同じ様にしておりますの」
そんな話しを聞きながら、馬車に揺られていると御者をしていたデービルさんが
「間もなくカンテボの街に着きます」
と言い、外を見ると大きな外壁と門が見えてきた。
カンテボの街は、恵まれた気候の為、果樹園をメインとした街で、アプリルの実やオレミジの実(前世のリンゴやオレンジっぽい果物)等の一般家庭に出回る物や、貴族の晩餐会で使われる高級果実で収益を出している街だそうだ。
「捕まえた山賊どもを、衛兵に渡してきますルーク様、お手数ですがこちらにお願いします」
「では、我々はここの貴族宿に泊まりますので、何かありましたら何時で来てください」
「「「ルーク様、またお会い致しましょう」」」
お姫様三人の声を聞きながら、俺は荷馬車に移り、ダリウスとデービルさんは互いに、握手を行いその場を後にした。
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「賊を捕縛した。確認と引き取りを頼みたい」
「了解した、賊は何人だ」
「30人、あとはアジトの場所に10人残っているみたいだ」
「ほぅ、コイツらバーン一家じゃないか、アジトの場所を聞きたい、こちらにどうぞ」
「ルーク様、場所の説明を」
「あぁ、コイツらのアジトは、森林の中腹にある崖を利用した物で、遠征をする時も10名程残して出るらしい、今回は遠征に出て直ぐに捕まえたから、今なら余裕を持って捕縛できると思う」
ダリウスの合図で、アジト周辺に飛ばしておいた式神を、肩に乗せた青白い小鳥に魔力を通して確認する。
「これは一体、何を?」
「こちらの方は私の主、グランツ・フォン・ラーゼリア様のご子息、三男のルーク様です。今のは、式神と言いルーク様のオリジナル魔術になります」
今回使った式神、名前は『トトル』と名付けている。貴族等がペットとして飼っている、フィンバードと言う鳥型の魔獣で、カナリヤの様な姿をしている。
作り方は、フィンバードの魔石と羽を使った魔導具(今回はペンダント)に、フィンバードと自分の血で魔法陣を刻み造ったもので、これを依り代にした式神だ。
「情報提供、感謝します。直ちに捕縛に移りますので、あとはお任せください」
衛兵は敬礼を行い、詰所と思われる建物に、走って行った。
入れ替わる様に、別の衛兵が袋を持ってやって来た。
「今回の報酬金になります。内訳は、こちらの紙に書いていますので、中身の確認をお願いします」
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【盗賊報酬金内訳】
捕縛者数30名
指名手配者、3名 組員27名 内死者1名
バーン一家頭目 バーン・バラード
金貨6 大銀貨8
バーン一家次席 ガリバー・インター
金貨4 大銀貨6
バーン一家隊長 サヤダン・パル
金貨3 大銀貨6
組員26名、金貨1 銀貨4
死者+アジト情報 銀貨5
合計大金貨1 金貨6 銀貨9 枚 也
カンテボ衛兵長
リーマン・テール
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報酬を確認して、間違いがなかった為、ルーク達は兵舎を後にした。
「今回、初めて自分で稼いだから、これは俺ので良いんだよなダリウス?」
「そうでございますな、ルーク様が得たお金でありますから、私の方からは、何も言いますまい」
「ルーク、約束は覚えているな?忘れたとは、言わさんぞ」
「カミナ、忘れて無いよ、お肉屋さんに行くよ」
影から声をかけてくるカミナに、答えて肉屋に向かった。
ダリウスに連れていかれた肉屋は、大きな店で、高級な物を扱う店だった。
「お客様、本日は何をお求めでございますか?先程、解体したばかりのビックカウはいかがでしょうか?キングオークやクックバードの肉もオススメですよ」
「バードとカウを合わせて金貨2枚分」
「はい、バードとカウを金貨2枚分ですね。バードの卵配達はどちらにしますか?」
「配達はいらないです。異空間収納があるので」
「判りました。ではカウが2キロ,バードが10キロ分と異空間収納があるのでしたら、こちらにバードの卵20個です」
「良いんですか?」
「この店じゃ、バードの肉5キロに対して卵10個がサービス品なのさ、収納や保存が出来ない相手なら、銀貨二枚引くけどね」
俺は、約12キロ近くの肉と卵20個を収納して店を出た。
因みに、キングオークは豚肉、クックバードは鶏の肉
ビックカウは牛肉であり、バードとカウは魔獣に分類されオークは魔物に分類される。
この世界の肉は、基本魔獣か魔物の為、割りと食べ物に対する感覚が地球に近かった。(とは言え、オークは繁殖の為、人を襲い女性を拐うのでそれなりに危険性があるが)
特に、ビックカウやクックバードは、人の手で管理出来るので、安定した供給ができているといった具合だ。




