お腹の子
湿気と暑さでパワー不足。
内容がないよう。
幼の実家で俺君が嫁である幼と向き合っていた。
小さい幼のお腹がポッコリと不自然に膨らんでいる。
あまりにも幼が不審な挙動をしていたので、俺君は幼を呼び止めたのだった。
俺「なんか不自然におまえのお腹が膨らんでいるんだが?」
幼「子供ができました。認知してください」
幼が返事をすると幼のお腹が不自然にぼこぼこと動く。
まるでエイリアンが飛び出てきそうである。
幼「ほっ、ほら! 元気に動いてる!」
幼は若干焦っているように見える。
俺「ずいぶんとアクティブな動きをする子だな」
幼「わ、私の子供だから!」
ある意味、説得力があるかもしれないことを幼は言っている。
「ニャアー」
幼のお腹から声が聞こえた。
俺「…………」
幼「…………」
その場に沈黙が流れる。
俺「最近の子供は胎内で喋るのか?」
幼「い、いや、今のはお腹の虫が鳴いたんだよ」
俺「お腹の虫って『にゃあー』と鳴くものなのか?」
幼「最近のお腹の虫のマイブームなんだよ」
お腹の虫のマイブームってなんだよ? と言いたげに俺君はじっと幼を見る。
幼はあさっての方を見ている。
不意に幼の膨らんだお腹の服の下から毛皮のしっぽが垂れ下がった。
俺「……なんかお腹からしっぽが出てきたんだけど……?」
幼「こ、これはあんたと同じ前しっぽ! ほら! お揃い!」
幼は胸をはって言った。
俺「俺のは前しっぽじゃないし。こんなに毛深くないし、こんな風にくねくね動かせないし」
幼「あんたならできる! フレキシブルに動かせると信じてる!」
俺「できるようになりたくないし、そんな信用はいらんわい」
二人の口論中に幼のお腹から小さな毛玉が飛び出してきた。
……子猫だった。
すぐに子猫を捕獲する幼。幼は子猫を胸に抱きしめている。
俺「……俺はこんな風に全身毛深いわけじゃないぞ?」
幼「!? まさか私の浮気を疑ってる!?」
俺「そういう話じゃないし。そんな出産とかないし。というかその猫を元の場所に返して来なさい」
幼「私の子……」
俺「まだ言うか」
幼「ドーブツは子供のジョーソーキョーイクにいいし、ソーゾーリョクを高めるし、カンジュセーをユタカにしてくれるし、かくかくしかじかだし、へのへのもへじだし、ジュゲムジュゲム、(略)チョーキューメーのチョースケで、めでたいんだよ」
俺「おまえがよくわからないことを言っていることだけは、よくわかった」
幼「この子にジンケンはないのか! シャベツだー!」
俺「猫だから人権とかじゃないし。差別じゃなくて区別です」
幼「この子を可哀想だと思わない? 慈悲の心はないんです?」
俺「いや、流石に可哀想だと思うけど」
幼「その心を大事にしよう。やったね猫ちゃん、家族が増えるよ。ウェルカムトゥようこそわが家へ」
俺「いや、飼っていいとは言ってないからね」
幼「くっ! ここまで強情とは! こうなったら私の身体を好きにしていいから! だからこの子だけは助けてください!」
俺「夫婦で何を言っているんですか」
幼「くっころ! くっころ!」
俺「何が言いたいねん」
幼「ちゃんと世話するから! …………妹が」
俺「…………妹ちゃんに丸投げか……。まぁ、確かに妹ちゃんならちゃんとお世話してくれそうだけどね」
幼「ほんと? やったー! って、あっ!」
子猫は幼が見せた隙にすばやく逃げ出した。
幼「まってー」
幼が逃げた子猫を追いかけていった。
俺「ふぅ。……まぁ、妹ちゃんがよければ大丈夫か」
少ししてから猫と幼が向かった方から、こっそりと移動してきている妹ちゃんの姿があった。
俺「妹ちゃん? どうしたんだ?」
妹ちゃんのお腹はポッコリと不自然に膨らんでいる。
妹「!? お、お兄さん? こ、これは……そう、できちゃったんです!」
俺「おまえもか」
…………妹ちゃんが子猫の世話をすることになり、家に一匹家族が増えたのであった。
熱中症にお互い気を付けましょう。
冷たいスポーツ飲料は糖分高いから気を付けよう。