四天王
あんまり間が空くとどんな話だったか忘れてしまいますね。
今回はリハビリがてら短いです。
真っ暗な部屋の中、3つの影があった。
フードを深く被っており、蝋燭の明かりだけでは顔がよく見えない。
「……魔王の奴がやられたそうだ……」
その言葉が発せられた後、静寂が周りを包み込む。
「まったく四天王の面汚しが」
「魔王程度の実力では仕方あるまい、なにせ」
「「奴は四天王の中でも最弱……」」
「「……………………」」
先ほどとは異なる気まずい空気が漂い、静寂が立ち込める。
「……貴様ら……、そんなにそのセリフが言いたかったのか?」
呆れたような声が発せられる。
「フン。そんなことより魔王の実力が弱いのは事実だから仕方あるまい」
「そうだ。些細なことだ。魔王のやつが弱いのが悪い」
誤魔化すように勢いよく返答が来た気がするが気にしないことにしたようだ。
「奴を倒したのはどんなやつだ?」
どうやら話題を変えることにしたようだ。
「……異世界から召喚された勇者一行だそうだ」
「異世界からか……、まったく神の気まぐれにも困ったものだ」
「フン、神はいつだって気まぐれなものだ。しかし、その勇者は強いのか?」
「……聖剣を扱えるだけらしい。とは言っても魔王を倒すだけの実力はあるらしいがな」
「それでは人類が調子に乗るだろう。奴らはほっとけばいくらでも増える害虫のような連中だ」
「魔王め、余計なことを……」
沈黙で場が静かになる。
「……また、奴らの数を減らさねばなるまい、面倒であるがな……」
心底、鬱陶しいそうに発言がなされる。
「勇者一行……ということは他にも力を持っている奴がいるのか?」
「……他には聖女がいるらしい、とはいえ勇者一行は魔王と相討ちになったんだがな」
「…………おい、死んだのならもう勇者なんぞはどうでもいいじゃないか」
「フッ、そういう話になっているだけで、実は死んでなぞおらぬわ」
「なんだと?」
「ククク、聖女が代替わりしていない、つまり聖女だけは未だ生き延びているということだ」
「フン、聖女が生き残っていても問題なぞないではないか」
「まぁ、そういうな。聖女はあれで使い道がある。なにせ聖女の力は……あっ!」
不意に真っ暗だった部屋に明かりが灯り、明るくなった。
俺「真っ暗な部屋で何やってるんだ?」
俺君がフードを被った三人に問う。
幼「……黒幕ごっこ……」
フードを脱いだ幼女が答える。
勇「お、俺氏! 俺はこんなの反対したんだ! でも試しにだって……!」
聖「何も今更。嫌がっていてもやってみたらノリノリだったくせに。このむっつりスケベ勇者が!」
勇「だれがむっつりスケベだ!」
聖「じゃあ、ムッツリー〇で」
勇「その名前はアカン! 某有名作品で使われてるやつじゃないか!」
聖「君はむっつりスケベが得意なフレンズなんだね。すっごーい!」
勇「どんな奴だよ! 得意なことが嫌すぎる!!」
勇と聖が言い争っている。
幼「あんたも一緒にやる?」
俺「……いいや、遠慮しておこう。楽しそうでなによりだ」
そう言って俺君は出て行った。
聖「俺君が呆れて、出て行ったじゃないですか、これだからMSYは」
勇「嫌な略しかたで呼ぶんじゃない! おまえのせいでもあるだろ!」
聖「他人に責任転嫁するとか、流石は勇者、ウプププ」
勇「……殺す! こいつ絶対いつか殺す!」
幼は醜く言い争う二人を見て、いつも通りだなぁと呟いた。
部屋を出た俺君は黒幕ごっこのことを考えていた。
俺「変わった遊びもあったもんだ。……黒幕ごっこね……」
ブツブツと何か言っている。
俺「……そう、すべては俺の計画通りにいっている。後は結果を待つだけだ……」
何を閃いたのか低音のイイ声で俺君は言った。
妹「……お兄さん?」
いつのまにか現れた妹が不思議そうに俺君を見ていた。
俺「え゛!! いや、なんでもないんだ!!!」
そう言って真っ赤な顔の俺君は去っていった。
残された妹が俺君の行方を目で追っていた。
妹「やばい! お兄さんの照れた姿マジ萌える! 胸がキュンキュンします!」
妹は妄想の世界へトリップしたようだ。
娘「あ゛ー」
呆れたような声を妹に抱かれていた娘ちゃんが出した。
セリフが被ったのは誰と誰だったのか。
すぐにわかりますね。