聖女の夢
忙しさもちょっとはマシになりました。
俺君たちパーティがダンジョンを攻略し、外に出ようとしていた。
ダンジョンの出口に赤い人が立っていた。そして、俺君たちを見ている。
赤い髪に真っ赤な全身を覆うローブを身に着けている。
顔は不気味な仮面で隠されている。
俺君がどいてもらおうと声を掛けようとしたら赤い人が先に声を掛けてきた。
赤「魔王を倒したというのは、おまえ達か?」
魔王を倒した勇者パーティは全滅したことになっているのに、この赤いやつはなぜ知っているのだろうか?
聖女の口を勇者と俺君がふさぎ、警戒しながら答えを考えているうちに赤いやつが言った。
赤「その力、試してやろう!」
戦闘開始だ!
ギターの音が鳴り響く。
伴奏「デンデデッデデレデンデデッデデレデンデデッデデレデンデデッデデレ」
BGM「ヘエーエエーエエエー エーエエー ウーウォーオオオォー ララララ ラァーアーアーアー」
赤いやつはすばやく詠唱を唱えた。
俺「まずい! 眠りの魔法だ。みんな防げ!」
赤「遅い! 終わらぬ悪夢を見続けるがいい。ナイトメア!」
赤いやつの魔法がパーティに襲い掛かる。
赤「抵抗したのは貴様だけか」
俺「くっ」
赤いやつの眠りの魔法により勇、幼、聖は眠ってしまった。
俺「すぐに起こさなければ……」
赤「そうはさせん。ファイアーボール! ファイアーボール!」
みんなを起こそうと俺君が動く前に赤いやつが火球の魔法を連発し、俺君を襲う。
俺「くそっ!」
俺君はみんなに念話で起きるよう呼びかけた。
赤「この程度の力か? ファイアーボール!」
赤いやつは寝ている幼を狙って魔法を放つ。
俺「させるか!」
俺君はすばやく悪夢を見て寝ている幼を庇って火球を受ける。
俺「くっ!」
赤「ここまでのようだな。期待外れだ」
その言葉を聞き、俺君はニヤリと笑い返す。
俺「そうでもないさ。なぁ、幼?」
幼「俺君と戦う夢を見せるなんて! 絶対に許さない!」
幼は眠りから覚め、起き上がっている。
激おこぷんぷん丸状態だ。しかし、幼女であるせいかまったく迫力がない。
幼の詠唱が始まり、幼の魔力が収束する。
幼「おまえなんか焼き尽くしてやる! 炎の嵐に飲まれろ! ファイアーストーム!」
幼の魔法により、炎の渦が赤いやつを覆いつくす。
だが、まだ赤いやつは倒れない。
BGM「ナァォォォォ オォォォォ サウェェェアァァァァ アァァァァ アァァァァ アァァァァ イェェェェェェェェェゥゥアァ…」
赤「その技…覚えたぞ。今度はこっちの番だ。地獄の炎に焼かれるがいい。ヘルファイア!」
赤いやつの魔法により漆黒の炎が俺君たちに襲い掛かっていく。
赤「防御もしないとは……諦めたのか?」
俺「いいや、防ぐ必要がないからさ」
聖「そういうことですよ! 聖女バリアー!」
聖が悪夢から覚め、起き上がった。
聖「どっせい!」
聖は炎を殴りつけ、吹き飛ばした!
聖「説明しよう! 聖女バリアーとは超絶美少女の聖女ちゃんによる膨大な魔力を収束し魔力壁を展開することによって大体の魔法を防ぐのだ!」
俺「説明するのか……。バリアーなのにいつも殴ってるし……」
俺君がぽつりとこぼす。
聖「まったく! 休みの日に寝て起きたら夕方だとか、起きたら目覚ましが止まっていて遅刻だとか、人が沢山いる場所でアラームがなって注目を浴びるとか! ひどい悪夢を見せてくれましたね!」
内容はともかく聖は怒っていた。
赤「そんな文句は知らん。本人が勝手に夢を選んでみるのだからな」
赤「だが、流石に3体1では分が悪い。ここは引かせてもらうぞ」
赤いやつは魔法を放ち、逃走しようとした。
俺「そうはいかないさ。勇!」
勇「わかってるさ! 俺氏!」
いつの間にか悪夢から覚め、赤いやつの背後に回っていた勇が剣を振り下ろ……。
BGM「ヘェーラロロォールノォーノナーァオオォー アノノアイノノォオオオォーヤ ラロラロラロリィラロロー ラロラロラロリィラロ ヒィーィジヤロラルリーロロロー」
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聖「……という夢を見たのさ!」
勇「夢かよ! いきなり何が始まったかと思ったじゃねーか!」
勇と聖が待ち合わせ場所で俺君たちが来るのを待っているときの話である。
夢の話なのでダンジョンなどには行ってはいないし赤い人なども会ったことはない。
勇「それにしたって、なんだよBGMって? セリフが意味不明だぞ」
聖「ご存知ないのですか? 有名な曲でスキャットです。ぐぐればすぐわかります」
勇「歌詞とかやばいだろ!? 警告対象だぞ!?」
聖「これは歌詞を耳コピしたやつなので大丈夫。だと信じたい」
勇「駄目じゃねーか!」
聖「しょうがないじゃないですか、夢に出てきた話なんですから!」
勇「誰の都合だよ!? それになんで俺の出番が途中で終わってるんだよ!?」
聖「そこで夢が覚めたからに決まってるでしょ。活躍できなくて妬み嫉みですか? バカじゃないですか?」
勇「……ふう。久々にキレちまったぜ。修正してやる! そこになおれ!」
勇が聖に殴りかかろうとする。
聖「ちょっ!!! 何を女性を殴ろうとしてるんですか! それでもジェントルマンか!」
勇「かみじょーさんばりの男女平等パンチを食らわせてやる! おまえが! 泣くまで! 殴るのを! やめない!」
聖「やっべ! 勇者野郎がマジでヤバイ。ここは逃げの一手です。あばよっ! とっつぁーん!」
聖は逃げ出す。
勇「待ちやがれー!」
追いかけっこが始まった。
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待ち合わせ場所についた俺君と幼は勇と聖を待っていた。
俺「二人とも遅いなー」
幼「……久々の二人っきり……」
幼は幸せそうだった。
熱情の律動という曲ですね。
いい曲です。




