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コメディさーん。返事がない。寂しいなぁ。

 俺は幼と妹ちゃんとを連れてあるところへ向かっていた。


 勿論娘も連れてきている。今、娘は妹ちゃんに抱きかかえられている。


 妹ちゃんと幼とで、交代で抱きかかえている。


 泣き出さない娘を見てるといい子だと思うが、もう少しわがままでもいいと思ってしまう。


 娘が大きくなったら振り回されるんだろうなと思ったが、現状、嫁たちに振り回されている身として、俺は笑えない。


 やはりこのまま良い子で育ってほしい。


 幼が幼く見えるため、傍目には俺と妹ちゃんが夫婦で幼が妹もしくは娘に見られるのだろう。今は妹ちゃんも嫁だけどな。


 よく間違われるので幼がそのたびに自分が嫁で自分の娘だと主張して、みんなを驚かしている。


 俺も毎回、恥ずかしい思いをするんだが事実だから仕方ない。


 そんな一行でどこへ向かっているかというと、嫁姉妹の親父さんのお墓だ。

 

 俺はおじさんと呼んでいた。


 俺にとっても大事な人だった。


 嫁姉妹の母親は……。遠くへ旅立っている。


 ああ、誤解がないように言うと友人と一緒に遠くへ旅行中だ。


 俺からすると義母さんにあたるんだが、なんというかパワフルでエキセントリックな人だ。


 結婚式にも呼びたかったが、連絡が付かなかったので仕方がない。


 帰ってきたら多分嫁姉妹とそのことで騒ぐのだろう。


 ……まぁ、今も似たようなものか。


 そうこうしているうちに、親父さんのお墓についた。


 命が安いこの世の中だ、簡素な墓でしかない。


 俺「お久しぶりです。おじさん」


 俺はおじさんの最期を思い出していた。




 ------------




 「魔物どもがやってきたぞっ!」


 誰かが叫んでいた。


 ここは街はずれ。幼い俺は用事が終わった帰りだった。

 

 遠くから奇怪な叫び声が聞こえる。


 土埃が舞い、地平線を埋め尽くすような影を映し出す。


 俺はそれを見て、しばらく気が動転していた。


 逃げなきゃ。そう思っていても恐怖に震えて身体が動かない。


 歯が勝手にガチガチと鳴る。


 動けっ! 早くしなきゃ殺される!


 しばらく自分の身体と戦っていた。


 やっと身体を動かせるようになって逃げようとした。


 そんなときだ。


 街はずれの遠くに震えている幼馴染の姿を見たのは。




 俺「…………なんで…………。……なんでこんなところにいるんだよ!」


 俺は幼馴染に向かって駆け出した。




 俺が幼馴染のところへ着いた時には魔物たちは目に見えるところまでやってきていた。


 俺「なんでこんなところにいるんだ! 早く逃げるぞ!」


 俺が声を掛けると震えていた幼馴染は安心したのか泣きだした。


 幼「俺君……。だって……」


 時間がない。


 俺は泣いている幼馴染の手をひっぱってどこか隠れるところはないか探しながら逃げ出した。


 小さな小屋があった。


 俺は幼馴染を引っ張りそこへ二人で隠れることにした。


 小屋の中は狭く、魔物が暴れればすぐに壊れそうだった。


 隅の方へ子供二人なら隠れられそうな隙間があった。


 ここなら!


 二人でそこへ隠れることにした。

 

 二人とも息が荒い。


 頼むから見逃してくれ!


 俺は祈るような気持ちで思った。


 そして誰か助けてくれ。とも。


 二人で息をひそめる。


 だんだんと魔物たちが近づいてくる音が聞こえてくる。


 俺は緊張と恐怖で身体が震える。


 来るな! 来るな! 来るな!


 心臓の音がひどくうるさい。今だけは静かにしてくれ。



 外で争う音が聞こえてきた。


 外で何が?


 やがて静かになり、小屋の入り口にあった粗末な扉が開いた。


 俺たち二人は息を飲んだ。



 「こんなところにいたのか悪ガキども、さっさと帰るぞ」


 そこにいたのは武装した幼馴染のおじさんだった。


 周りにはおじさんが倒した魔物たちが転がっていた。


 俺「おじさん!」


 幼「お父さん!」


 俺と幼馴染は喜びの声を上げた。


 幼馴染のおじさんは冒険者だ。


 見ための強面の通り、かなり実力もあり強いらしい。

 

 らしいというのは戦っている姿を見たことがなかったからだ。


 しかし、今はそんなことはどうでもいい。


 助かったのだ。


 幼馴染と二人喜んでおじさんのところへ走り出した。


 安心して油断しきってしまった。


 「おいバカ! まだくるな!」


 おじさんが止めようとする。


 え?


 倒れていた魔物が俺に向かって攻撃していた。


 「バカ野郎がっ!」


 おじさんは俺を突き飛ばした。


 ……突き飛ばされた俺がその後見た光景は今も忘れられない。


 おじさんの胸を魔物の腕が貫いていた。


 そこからおじさんの血が噴き出した。


 幼「いやぁあああああ!」


 幼馴染が悲鳴を上げる。


 「ぐっ、さっさとくたばりやがれっ」


 おじさんが魔物にとどめをさす。


 俺「おじさん!」


 俺は起き上がり、泣きながらおじさんにしがみついた。


 「男が簡単に泣くんじゃねぇ。これぐらいどおってことねーよ」


 おじさんが胸を抑えながら言う。


 俺「なんで……。なんで俺なんかをかばったんだよ!」


 「はっ。ガキのくせに何を言ってやがる。親が子供を守るのは当然だろ」


 俺「俺は……」


 「俺から見たらおまえも俺の子供のようなもんさ。……チッ。身体が痺れて動かなくなってきたか。流石にもうやべぇか」


 俺「おじさん!」


 「だから泣くな! ……男としておまえに頼みがある」


 幼「お父さん。もう喋らないで!」


 「うるせえ! こんなやつだが……おまえに任せたぞ。いいか、約束だ」


 おじさんは真剣な顔で俺を見ていた。


 俺「わかった。わかったから」


 俺は涙が止まらなかった。


 「まったく……。ちょっと疲れたぜ。少し眠る……ぞ……」







 それから、おじさんは二度と起きることはなかった。



 

 

 ------------

  


 


 俺「俺は……。おじさんに認められるようになれたでしょうか?」


 そう言った俺に幼と妹ちゃんが言う。

 

 幼「あんたはずっと頑張ってきたよ。私がよく知ってる。素敵な旦那様だよ」


 妹「私も姉さんと同じ気持ちです。お兄さんを認めない人なんていません。私たちだけでも認めます」


 俺「幼……。妹ちゃん……。ありがとう」


 俺は二人を抱きしめた。


 辛いことも多い世の中だけど……俺は二人がいて幸せだと思った。




------------





 女?「まったくイチャイチャしやがって、爆発しろ!」


 男「突然なにを言い出しているんですか? 団長」



 ここは薄暗い地下。


 仮面をつけた団長と呼ばれた女とその周りに仮面をつけた団体が集まっていた。


 とても怪しい団体様ご一行である。


 仮面には「ほーりーしっと団」と書かれている。



 団長女「誰かがイチャイチャしている電波が流れてきたので堪えられなかった。後悔していない」


 男「はぁ、そうですか。突然叫ぶのは恥ずかしいのでやめてくださいよ」


 団長女「それよりも今日も活動を始めるよ!」


 男達「イエッサー! マム!」


 そして団体は並んでザッザッザッザッと走り出した。


 団長女「復唱してくださいよ!」


 男達「イエッサー! マム!」


 団体は歌いだした。


 団長女「リア充ドーモが出ーたぞっ!♪」


 男達「リア充ドーモが出ーたぞっ!」


 団長女「こいつはどえらいシチュエーションっ!♪」


 男達「こいつはどえらいシチュエーションっ!♪」


 団長女「爆発しろ!」


 男達「爆発しろ!」


 団長女「爆発しろ!」


 男達「爆発しろ!」


 団長女「カーチャンたちには内緒だぞっ!♪」


 男達「カーチャンたちには内緒だぞっ!♪」


 団長女「爆発しろ!」


 男達「爆発しろ!」


 団長女「爆発しろ!」


 男達「爆発しろ!」

 

 団長女「はーい。しゅーりょー。おつかれー」


 男達「おつかれさまでーす」


 男「だんちょー、一人遅れてます!」


 小太りな男が遅れていた。


 遅れた男「リアジュードーモーがでぇたぞ……」

 

 疲れた声で遅れた男が言う。


 団長女「様式美だから仕方ないです」


 男達「何を言っているのかわかりませんが、団長が言うのならわかりました」


 団長女「それじゃあ、今日のところはこれまで、オタッシャデー」


 男達「おつかれさまでーす。オタッシャデー」


 怪しい団体は解散し、そして誰もいなくなった。

一体「ほーりーしっと団」とは何者なんだ!


前半と後半の話が違い過ぎたかも。

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