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18.昔話99?

「「ただいまー!」」

「ただいま」

「お邪魔しまーす」


 家に着いた後、お姉ちゃんとドラグノール、ダンフが起きた。

 さすがにあんなに揺れたせいで起きたみたい。

 ドラグノールとダンフは今、庭で遊んでいる。


 そして俺たちはリリスと一緒に家に帰って来たわけだ。


「みんなおかえり。ん?」


 家に帰るとお父さんがいた。

 今日は外に行っていたはずなんだけど。

 早く終わったのかな?


「お友達かい?」

「うん!リリスっていうんだよ!」

「そうなのか!よろしくな、リリスちゃん」

「よろしく」


 リリスに挨拶した後、父さんは何か考え事をしている。


「何かあったの?」

「いや、リリスって聞いて昔話を思い出してな」


 昔話?

 僕がもっと小さいときにお姉ちゃんに死ぬほど聞かされたけど、そんなのなかった。


「どういう話なのー?」

「私も知りたい!」

「それはね、昔々――」


 昔々、あるところに3人の吸血鬼がいた。

 1人は勇敢な男、1人は頭脳明晰な男。

 そしてもう1人、絶対的強者の女だった。

 その女の名がリリスと言われていたらしい。


 そもそも吸血鬼には世代と言うものがある。

 3人がいた世代は第1世代。

 現在は第15世代まであるみたいだ。


「今はどこにいるの?」

「さぁ……。昔は悪魔と人間は対立していたが、今は不可侵だからなあ」


 今は悪魔と人間は戦っていない。

 というより戦っている種族はいないんじゃないかな?

 そんなレベルで平和な世界だ。


「続きはどうなのー?」

「その第1世代の3人は今でも生きているって言われているんだ」


 勇敢な男は魔王に、頭脳明晰な男はその補佐に就いた。

 もう1人は城を建て、そこに住み始めた。


「なんでその絶対強者の人が魔王にならなかったの?」

「いろいろと言われているけど、一番よく言われているのは自由でいたいからだ」

「自由?」

「魔王になったら忙しいからな」


 何て自由勝手な人なんだろうか。


 ん?自由でリリスと言う名前で昔の人。

 いや、考え過ぎだろう。


「それでそれでー?」


 魔王となった男は戦争で死に、補佐に就いていた男は自分の身を捨てまで仲間を助けるために大規模な魔法を使った。

 そしてもう1人は戦争には参加してなくて後に事情を知り、そこに1つの木を植えた。


「――という昔話だよ」

「それってもしかしてりんごの木だったとか?」

「そうだよ。知っていたのか?」

「いや、何となくそう思って……」


 これって、リリスだよね?

 もうそうとしか思えないんだけど。

 いや、たまたま似ていただけってこともあるからね。


 そんなリリスは話を聞かないで家の周りを見ていた。

 本当に自由だなあ。


「何か気になるものでもあった?」

「いや、随分広い家に住んでいると思って」

「まあそうだね。普通に比べたら結構大きいよ」

「私が昔建てた城に負けないぐらいだわ」


 ……昔話はリリスのことで間違ってはいなさそう。

 そういえば話を聞いてて少し疑問に思ったことがある。

 確認ついでに聞いてみようかな。


「ねえリリス」

「なに?」

「リリスって昔、同じ吸血鬼と一緒にいなかった?」

「いたよ。ルークとベトルっていう二人が」


 それがさっき話に出た勇敢な男と頭脳明晰の男かな。


「なんで二人と離れて城を建てたの?」


 確かに面倒くさいのは分かるけどわざわざ遠くに建てなくてもいいんじゃないのかな。

 その話をしたらリリスは嫌そうな顔をしていた。


「だって、ルークは『魔王になる、だからお前を倒す』って言ってきて、ずっと私に戦いに来るんだよ?めんどくさくて逃げた」


 なるほど、そういう事だったのか。

 同じ種族でも仲がいいっていうわけではないのね。


「でもルークはそのあと魔王と名乗って戦争で死んじゃったんだの」

「みたいだね」

「ベトルは頭は良かったけど、ずっとルークの後ろにくっついていた。そしてそのままルークの巻き添えで死んじゃった。だから2人が死んだところにりんごの木を植えて、2人の象徴をつくろうとした」


 それがあのりんごの木なのか。

 でも勝手に動かしちゃっていないか?


「それなら動かしてよかったの?」

「植えたのはいいけど、あそこは栄養がないから常に分け与えないといけなかった」

「そ、そうだったんだ」

「だから森に移した」

「えっ?」


 象徴じゃなかったの?

 もうそれ、ただの木になっちゃってない?


「移しちゃったら象徴じゃなくなっちゃうんじゃないの?」

「うん。でも大丈夫、二人は生き返ったから」

「えっ!?」


 待って、さっき死んじゃったって言っていなかったっけ?


「蘇った、とか?」

「うん。ベトルが時間をかけてでも復活できるように何かを残していたみたい」


 そんなのあり?

 頭脳明晰っていうどころではないんじゃないのか、それ。

 今の人が聞いたらみんな驚くよ。

 現に僕も驚いているし。


「それで2人は何をしているの?」

「さぁ?旅に出ると言ってから、ずっと旅に出たまんまだよ」


 予想外過ぎて話についていけない。


「一緒について行こうとは思わなかったの?」

「その時はまだ城に人がいたから。ついて行かなかった」


 そう考えると、千年ぐらいずっと旅をしたままってことだよね?

 こっちの世界ってそんなに広いの?


 いや、どこかで暮らしているのかもしれないな。


「探しに行こうとは思わなかったの?」

「めんどくさい」

「さ、左様ですか……」


 随分冷たいな。

 まあ、あまり仲がいいわけではないんだね。

 なんか子供のケンカみたいだ。


「二人とも何を話しているんだ?」

「何でもないよ!リリスがこの家が広いなあって言っていたから」

「そうかそうか。ならアンディ、案内してやりなさい」

「まあ、僕でよければ」


 案内ぐらいなら別に嫌でもない。

 広いけど案内する部屋はそこまで多くはないしね。


「よろしく、アンディ」


 こうして僕たちには新しい友達が増えた。

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