第7話
今回は短めです。
もうすぐ1章が終わります。
2章は学園編です。
盗賊殲滅後、一刻半が過ぎました。
ダイン子爵家に伝令で出した騎士が応援を連れて戻って着ました。駆け付けてくれたのはダイン子爵本人で騎士団団長含む20名を引き連れて来てくれた。
「ベート卿、この度は賊の殲滅誠にありがとうございます。この後の始末は我が騎士団が引き継ぎ致します。日も暮れて参りますので、本日は一度我がダイン家へお越し頂き、ゆっくりと体を休めて頂きたい。」
「ダイン卿、では任せた。皆で向かおう、感謝する。」
今日はもう遅い為、ダイン子爵家の屋敷でもう一泊させてもらう流れみたいだ。正直言って、ベットに飛び込みたい心境だったので俺はホッとしていた。
一刻後、ダイン子爵家の屋敷へ到着し湯浴みを頂き夕食を食べると用意された寝室で一足先に眠りに就いた。
翌朝、早めに目が覚めたので就寝前にしている魔力を鍛える日課のトレーニングを忘れていたので、ベットの上で朝食に呼ばれる迄励んでいた。
日が昇り始めた頃、ローザが自身の専属メイドを連れて寝室へ来た。
「アル、おはようございます。昨日は大変でしたが、ゆっくり休めましたか。」
「お母様、おはようございます。はい!、もうご心配はいりません。私は良い経験をさせて頂きました。」
「あら、あら、凛々しい顔つきになりましたね。母としてアルベルトの成長は嬉しく思いますわ。」
「はい!、私もお父様やお爺様の様な立派な貴族になってみせます!」
「うふふ、アルの成長を楽しく見守りますわね。ですが、まだ子供なのでお伝えしておりませんでしたが、今後はむやみやたらに女性を抱き締めてはいけませんよ。また、貴族が皆がいる場であの様な姿を見せてしうと足元をすくわれますので、軽率な行動は慎みなさいね。」
「はい…。」
「正直、今回は致し方無いと思います。正式にお伝えするまでは仮ですが、今後アリー嬢と婚約をする事になると思います。態度に気を付けなさいね。」
『エッ!?、婚約?!、でもアリーは可愛かったから嬉しいけど早くない???』
「あら、あら、顔に出てますよ、アルベルト。足元をすくわれると話したばかりですわよ!」
「ッツ!?、はい…お母様。以後気を付けて参ります。」
お小言が終わると、朝食の準備が出来たとキャロが伝えに来てくれたのでローザと一緒に食堂へ向かった。
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朝食後、予定通りに進むとアインから伝えられた。理由は昨日中にアリー達が向かうガロン男爵家と俺達が向かうグリン男爵家へ、ダイン子爵が当家にもう一泊されたと伝えてくれた為だ。
盗賊の頭領達から聞き出したアジトの件はダイン子爵が騎士団を使い拠点一掃をする予定を立てているそうだ。
盗賊が蓄えていた物は後日、改めてベート辺境伯家とブルース侯爵家、ダイン子爵家で分配する為に事前に目録が送られる。その後、ブルース侯爵家に集まり物品等の取り決めをする事になった。
俺はアインから話を聞いて盗賊の宝はどの様な物があるのか想像しつつ、自分も活躍したから何か貰えるのか期待を胸に膨らませていると、馬車は分岐する街道へ差し掛かった。
アル達は昨日より少し手前で休憩した後、ブルース侯爵夫人とアリーに改めて王都前に再会の話と別れの挨拶を交わしそれぞれの男爵領へ向けて馬車を走らせてゆく。
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予定は1日ズレたが、男爵領と騎士爵領を無事に何事も無く抜けて王都直前のバイクル街に到着し代官の屋敷へ向かう。
アル達が屋敷で代官に挨拶をした後にリビングで体を休めているとアリーと夫人が顔を見せた。
「アイン卿、ローザ様、アルベルト様、恙なくご到着されまして杞憂に終わり喜ばしく思います。」
「ルミア侯爵夫人、アリー嬢、痛み入ります。お二人と無事に再会出来て私も妻も喜ばしく思います。アルベルトもアリー嬢のお顔を拝見したいと申しておりましたわ。わっはっは。」
別れてからソワソワしていたアルベルトを見ていたアインの一言によりアルベルトとアリーは顔を火照らせて俯いてしまう。
その後2人は、拙く始めた会話からアルが社交界や来年から入学する学園の話などの話題で話を膨らませてた事で少し距離が縮まっていく。
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無事王都に到着しました。
アリーとはここで一旦お別れです。次に逢うのは社交界の会場です。
社交界の後の予定は一部変更になったので王都にあるベート辺境伯家屋敷には10日程滞在予定です。社交界終わったら王都観光と屋敷に住まわれてる曽祖父母と過ごす時間が減ったのでお二人は嘆いておいででしたが、学園が始まったらこの屋敷に滞在する事になるので暫くの辛抱ですから。
屋敷で過ごした時間は短かったですが、アダン大爺様はやっぱりアーサーお爺様の親でした。朝から晩まで親子2人とも剣の稽古です。
1度、俺の衣装を依頼していた呉服商人が屋敷に来てミーシャ大婆様にローザ母様、メイド達に俺は何度も衣装を合わせらました。サイズの微調整をした後は前日に納品される予定で、衣装がなんとか決まって一安心です。
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sideアリー
無事王都に到着し、アルベルト様と別れるのはお辛いですが社交界で着飾った私を見て頂けると思うと顔がにやけてしまいます。
『アル様はわたくしを可愛らしいと思って下さいますかしらー。』
『アルベルト様ならお逢いした時に甘美な響きある言葉でお声を掛けてくださいますわ。きっと…。』
『アリー様、今宵の君はまるでのカトレアで美しい。』
『イヤイヤ、魅力的で美しいだなんで、アルベルト様も素敵な殿方ですわ。』
『ありがとう、アリー今夜は君を離さないよ。』
『ああ、アル様。駄目ですわ、私達はまだ婚約もしておりませんのに…。』
『アリー…。』
『アル様…。』
「アリーお嬢様、呉服の御用商人が参りましたがご準備はお住みですか。」
『はっ!』
「え、ええ。準備は出来ておりますわ。呼んで参りなさい。」
危ない所でしたわ、にやけた顔を見せてしまうとこでした。わたくしは淑女ですからね。メイドや商人に対する立ち振る舞いは気を付けなければなりませんわ。
アル様に見てもらうドレスは良いものがあるかしらと気持ちを切り替えた時にお母様と目が合いました。
「お、お母様。いつからそちらに!?」
「アリー、貴方がだらしのない顔でアル様ってクネクネしていた頃からおりましたわ。」
『み、みられましたー!!!』
「まったく、淑女たる者如何なる時にも慎ましくおりなさい。」
「か…かしこまりました、お母様。」
お母様に醜態をお見せしてしまいましたが、無事に華やかなドレスが決まって安心しましたわ。
ああ、早くアルベルト様にお逢いしたいわ…。