考える
たまたま目に映った、雑草に紛れた一輪の花の名前を私は知らない。その花の前を通りすぎる人々は、花を気にする様子を微塵も見せず、きっとあの花は人々にとってはその程度の存在なのだ。
だが私は考える。あの花にだって名前はあるはずだし、チューリップや向日葵程メジャーでないにしろ、もっと人に注目されても良いのではないか…。何故人はあの花に注目しないのであろうか…。
ふとそんな事を考えていると、私の肩に一羽の鳥がとまった。この鳥の名前も私は知らない。決して私が常識知らずなのではない。例えば、野鳥が飛んでいて、突然、「あの鳥の名は?」と聞かれ、即答出来る人間が何人いるだろうか…。そもそも、この鳥は何故私の肩にとまったのだろうか…。ただ疲れただけなのだろうか…。
その前に、私は何故服を着ていないのだろう…。
オーギュスト・ロダン作『考える人』は考える。