蘇るトラウマ
「っ!まじかっ!」
「早く変身しちゃいましょう!」
変身して、協力できるのだろうか。そんな不安がよぎるも、今は変身するしかこの街を救う手段はなかった。
皆が起きないうちに早く片付けなければ‥!
二人で呪文を唱えれば、脳が切り替わる。
「うふ‥♡敵が目の前にいるじゃない♡これはさっさと‥」
「いや、まて。皆が起きてしまう。ここは静かに殺るしかない。」
「‥わかったわ。でも、楽しませてちょうだいね♡」
「それは保証する。」
こう会話している時にも、鬼壊は近づいてきている。
余裕がない。どうすれば、とため息をついて考える。
いや、考えなくていいか。
‥そういえば、何回も変身するにつれ、制御が出来る仕組みなのか、理性も保たれてきた。
ふと千佳の方を見れば目で『殺れ』と言っている。
こうなれば1つしかないよね♡
「手当たり次第♡」
取り敢えずナイフを1本投げてみる。しかし、そのナイフは軽々しく鬼壊に吸い込まれてしまう。
なぜ吸い込まれた?そして見たところダメージは受けていない。
ナイフは普通の鬼壊なら、直にダメージを受けてしまう、攻撃力がとても高い品物だ。
おかしい。そう思った瞬間。
「あ、あぁ‥‥!」
千佳の様子がおかしい。
何かに取り憑かれたのかのように、奇声をあげている。
豹変したその姿はとても奇妙で、一般人だった私にはとてもこの世の物には思えなかった。
それでも気を保ち、話しかける。
「千佳‥?大丈夫ぅ‥?」
「あ、れ‥!両親、殺され‥て」
「両親!?あいつが殺したのぉ!?」
どうやら千佳が言うにはその鬼壊が両親を殺したらしい。
その事実に怒りが込み上げてきて、全身が震えた。
千佳を1人にした、相手‥!
1人がどれだけ辛いか、私にはよく分かる。
歯ぎしりをして、全身の力をナイフへと溜め込む。
「‥おまえ、それ。」
「ぇ?あ‥なんか、出来ちゃった♡」
何故か、ナイフが巨大化していた。
やはり対鬼少女はまだまだ隠された力が眠っているようだ。
だが、これなら‥いける!
手に力を込め、ナイフを剣のように構える。
千佳の前に立って。
「こいつは‥私が‥♡倒しちゃう♡」
鬼壊に近寄り、切りつける。やはり、一旦は切れるが、すぐに再生してしまう。
変わりに頭についているツノで、腹を抉られる。
服がある程度防御しているが、それでもくる腹への痛みに顔を歪める。
「がっ‥はっ‥つ、まぁまぁ強い‥わね。でも‥!」
「海!」
千佳を。守らなければ。その叫びを無視し、走り出す。
無駄かもしれないが、千佳を守ることはできる。
何故私はここまで頑張っているのだろう。そうふと思うけれど、
守るものが増えたからだと自覚する。
今は、誰かを守る力‥見ているだけではない力がある。
ナイフをで鬼壊を真っ直ぐ刺す。
だが、相変わらずザクッという鈍い音がするだけでサラサラ‥とまた元の状態にもどってしまう。
今度は手を振り上げられる。
今度こそまずい‥!
そう感じ、咄嗟に目を瞑ってしまう。
パリンッ
「‥?」
予想していた衝撃的な痛みは来ず、その代わりに軽い音が鼓膜に届く。
目を恐る恐る開けてみると、そこには、立っている千佳がいた。
「すまんな、日和っていた。‥お前が痛めつけられるのをただ見ている自分に、嫌気が差した‥!」
「千佳!もう、大丈夫なのぉ!?」
「ああ、しかも、私の攻撃、効くみたいだぞ。」
そう言って、手から栓付きの瓶を出し、鬼壊がいる方へと投げる。
一瞬弱るが、少ししたらまた回復してしまう。
どうしたら‥。
自分の武器と千佳の武器を交互に見て考える。
その瞬間、私の頭に1つの案が浮んだ。
前話と期間が開いてしまい、すみませんでした!
短い‥。頑張ろ。