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裏人格で救えるセカイ  作者: 鷹野ちほ
1章『希望と絶望』
3/6

怖い人だ

着いたのは、アジト‥‥廃墟を利用した集う場所だった。


「ほら、ここが俺のアジ‥」

「俺達の、でしょ。」


後ろからヌっと女の子が出てきて本で菜摘さんを叩いた。

女の子は菜摘さんをどけて、私の顔をまじまじと見た。

(ち、近い‥‥)


「ふーん。新入り?私は香藤(かとう)彩湖(さいこ)。よろしく。」


ニコッと笑いながら手袋を外し、手を差し伸べてきた。

‥‥‥その笑顔が、何故かわからないけど、とっても怖かった。


「よ、よろしくお願い‥」

「お、おい!?イ子、イ子!やめろ!」


後ろで彩湖さんに倒されていた菜摘さんが、いつの間にか起きていたようで、よくわからないけど止めに入ってきた。


「‥‥‥?なんでしょう、菜摘。私は握手をしようとしただけですよ、どいてください。」


にこぉ‥とさらに微笑む。

ここまでくると微笑むというか‥‥口裂け女のようだ。


「それが駄目なんだって!お前の特殊能力、『足と手に直接触れたものを溶かす』だろ!?なにやってんだよ!」

「えっ‥‥‥」

「ちっ‥‥なんで言ってしまったんですか。新しい対鬼少女はもういらないの。私の相手が減るんじゃない。」


恐ろしい考えの彼女を目の前にして、冷や汗をかく。

もしーーー手に触れていたら‥‥‥私は。

そう思うにつれ、恐怖の波が押し寄せてくる。


「あ、わ、私っ‥‥‥。すみませんっ!」


そう言って駆けてく。遠くへ。怖い人がいないところへ。


「あっ海!」


ドンッ

誰かにぶつかった。


「あっ、ごめんな‥‥」

「もう!いたいじゃない!この私に傷を付けるなんて!」


そう放ったのは‥‥自分より頭一つ分くらい違う‥小さな女の子だった。

言動と見た目が一致せず、少し考え、ワガママお嬢様系かな。などと思っているうちに菜摘に背後をとられて捕まってしまった。


「放してください!私は貴方達と仲良くなる気は‥‥!」

「仲良くなれ、とは言わないよ。取り敢えず、メンバー全員の紹介だけは聞いていってくれ‥‥ってな。」

「そうそう。あとメンバーは二人だけだから。」

「まってよ!この女だれよ!(ワタクシ)はこんな奴仲間に入れるなんて承知しないから!」


菜摘は体格の割に力が強く、到底逃げられなさそうだ。

それと小さな女の子はさっきから私を睨んでいる。

――ちっとも怖くないが。


 「じゃあ、そこのツンデレから。」

「ツンデレじゃないわよ!あと、こんな奴と仲良くなんてしたくないし!」

「‥‥自己紹介しなかったら、お菓子没収な。」

「うっ‥‥‥わかったわよ‥。私は海堂(かいどう)(しずく)よ。小5。対鬼少女歴は1年。特殊能力は誰をも魅了する、よ。あんたより多分先輩よ!せ ん ぱ い !敬語を使いなさいっ!」

「え、ええ‥‥」


幼い雰囲気だったが、やはり幼かったようだ。

ぷんぷんした、怒りっぽい。ツンデレ‥?はこんな感じだったっけ。

小5に敬語を使うのは少し気が引けるが、まぁいいだろう。先輩らしいし。


「じゃあ、次は私ね。さっきも言ったけど、私は香藤彩湖。対鬼少女歴は3年。結構長いわよ。敬語タメ口お好きに。特殊能力は足と手に触れたものを溶かす。」

「‥‥っ」

「あっ、特殊能力の件は心に長く止めてもらって結構だから。」


彩湖さんは‥やはり苦手だ。冷酷というか、心がないというか‥私を嫌っているような雰囲気がする。

仲良くしたいといえば仲良くしたいのだが、なんとなく距離をとってしまう。


「おいおい‥‥。俺の名前は櫻川菜摘。対鬼少女歴は2年。タメ口でいいぞ。特殊能力は空間浮遊。」


菜摘さんの自己紹介が終わって、視線が私に集まる。

‥‥?


「おい、お前も自己紹介しろよ‥‥」


という菜摘さんの一言で、これが私の自己紹介を待っている沈黙と視線だと気がついた。


「ああ、えっと‥私の名前は矢口海、です。対鬼少女歴は始めたばっかりです。はい。特殊能力は鬼壊の位置が分かる能力です‥‥。」

「よし、えーと、本当はあと1人メンバーがいるんだが‥‥‥うわっ。」


突如、菜摘さんの下の地面があいて、女の子が出てきた。


「ボクのこと、よんだ?」

「貴方はまた穴を掘っていたのですか‥。」


ちょっと‥‥男の子っぽいかな?その子は、ひょいっと出てきた穴を一瞬で埋めて、くるりんっとまわり、ニッと笑った。


「やぁ、新入りさん。ボクは吉野鈴(よしのれい)。対鬼少女歴は5年。特殊能力は地底移動だよ。ここら辺では1番古株だね。一応ここのグループのリーダーしてるよ。よろしくね。」

「よ、ろしくお願いします‥。」

「ふーん‥」


鈴さんは私のことを穴が空くぐらいジロジロと見ている。

目の前にいるのは幼い子のはずなのに心を見透かされているようでいい気分がしない。

何故か冷汗が出てくる。


「おいおい、鈴、海が困ってるだろ‥それぐらいにしておけよ。」

「そうか‥‥たしかに知り合ったばかりの人にジロジロ見られるのはいい気分じゃないし、ね。」


菜摘さんが助けてくれた。この時だけは菜摘さんが神様のように見える。

鈴‥さんはくるりとまた、向きをかえニヤリとして、口を開く。


「で、キミはこのグループに入る気はない?」

「‥‥」


どうしよう。

彩湖さんは怖いし、この人ら全員の雰囲気が苦手だ。

勿論、戦う上で有利になるかもしれない。

だが、肝心のコミュニケーションが十分にとれなければ意味がない気もする。


「‥すみません、私は遠慮しておきます。」

「わかったよ。まぁ、入りたくなったらいつでも言ってね。」


☆★☆★☆


「あー‥‥あ」


影とは対照的に窓から降り注ぐ夕暮れ時の光はキラキラと赤く燃え上がっていた。

疲れたな、と肩を落とす。


菜摘さんのせいで夕方になってしまった。

今日1日で色々あった気がする。

元々人付き合いが好きではない私は多忙よりものんびりするほうがいい。

ゆっくりと‥。そういう私は対鬼少女には向いていないのかもしれない。


「でも‥‥何もない日々には、もう戻りたくないから。」


やるしかない。まるで運命のように決定されているのだ。


「ふわぁ‥‥あ、ねむ‥‥」


そのまま視界が狭くなっていき、眠りの世界に入る。

書きだめ分終わりましたー。

いやーこれから頑張って更新します!

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