GAME START
—俺の目の目の前には一匹の獣がいた。見るからにモフモフしているその獣はくりくりとしたその瞳をこちらに向けてくる。俺は、その獣を触らんとばかりに手を伸ばしていく。もう少し、あと少しで触れるというところで…!-
「起きろ陽祐ー!」
「グェッ!」
羽亜に起こされた。うう、あとちょっとでモフれたのに夢でも駄目だったか,,,
「どうしたの陽祐?そんな落ち込んで。あっ、もしかしてまた,,,」
「,,,そうだよ、あと少しでモフれたのに。」
俺ができる限りのジト目で羽亜を見てやったが、効果がなかった。
「もう、そんな目で見てないで早く着替えて朝ごはん食べちゃおー!でないとFSO始まっちゃうよー!」
そうだった、今日この日をもってアレルギーを多分克服できるんだ!
—9:50―
着替えや朝食を終え、今俺と羽亜はヘッドギアをつけた状態でスタンバイしている。もちろん、水分補給の準備も万全だ。
「じゃあ私は先に行って、街を探索してるからキャラクターメイキング終わったらフレンドコールしてねー。」
「了解。フレンド登録はもうできてるのか?」
「うん、βの特典でね♪だから心配ナシ!っと、あと30秒~!」
⦅10・9・8・7・6・5・4・3・2・1・⦆
0、と心の中で呟いて俺たちは言った。
「「ダイブイン!」」
気づくと俺は、暗闇の中にいた。体の感覚はなく、意識だけが存在している状態のようだ。
そして目の前には一人の女性がいた。
「FSOの世界へようこそ!私はプレイヤーの皆様の案内を担当させていただいております、田鳳桃華と申します。」
「あっ、翔野陽祐です。よろしくお願いします。」
「ふふっ、よろしくお願いします。それでは、プレイヤーメイキングを開始します。まずは名前を入力してください。」
「わかりました。」
っと、名前は…どうしようかなー、まあ『陽』祐だし太陽系がいいな…よし、あれにしよう!
「プレイヤーネーム【ヘリオス】これでよろしいでしょうか?」YES/NO
YESっと。これは希語で太陽って意味だ。
「次に種族を設定してください。種族は以下のものがあります。」
【人族】 基本種族 ステータスもバランスが取れている
【獣人族】 STR《攻撃力》とVIT《生命力》が高い。代わりにINT《知力》とMND《魔法防御力》が少し低い
【耳長族】 INT《知力》とDEF《守備力》が高い。代わりにSTR《攻撃力》とVIT《生命力》が少し低い
【竜人族】 STR《攻撃力》、VIT《生命力》、INT《知力》、MND《魔法防御力》、AGI《機動力》の内2つを超強化する代わりにその他を低くする
【魔人族】 ランダムで魔種族になる
【土矮人族】 STR《攻撃力》とDEF《守備力》が高いがAGI《機動力》がかなり低い。
「ほかにランダムで種族を決めることができます。こちらはどの種族になるかわかりませんが、低確率でレア種族になれます。」
んー…ランダムになるのは嫌だから、ここはやっぱり人族にしておこうかな
「人族でお願いします。」
「わかりました。では次にスキルやステータスにポイントを振ってください。」
スキルやステータスはポイント制か~
『ステータス HP30 MP20 残りSC』
・STR
物理攻撃力、筋力 1
・VIT
物理防御力、耐久力 1
・INT
魔法攻撃力、知力 1
・MND
魔法防御力、精神力、回復力 1
・AGI
回避率、敏捷力 1
・DEX
命中率、器用度 1
・LUK
幸運、全確立に影響 1
・CHA
NPCからの好感度、魅力度 1
だったら,,,
『STR《攻撃力》 1→6 VIT《生命力》 1→6
INT《知力》 1→6 MND《魔法防御力》 1→6
AGI《機動力》 1→6 DEX《器用度》 1→6
LUK《運気》 1→6 CHA《魅力度》 1→6』
これでよし。あとはスキルだ!
『スキル〔 〕〔 〕〔 〕〔 〕〔 〕 残りSP』
これは、もう決まっている。まずは〔調教〕ってSPを4も使うのか。まあいいが残りは、〔鑑定〕、〔錬金術〕、〔料理〕ってとこかな。最初はこんなものだろう。
『スキル〔調教〕、〔鑑定〕、〔錬金術〕、〔料理〕
のこりSP―10、これでよろしいですか。?YES/NO』
YESっと。
「最後にアバターの容姿の設定をしてください。」
容姿かー,,,身長を高く、髪の色は紅にして、瞳は碧でいいかな。
「最後に、この世界のNPCは生きています。彼らに暴言、暴行を加えた場合ペナルティを科せられることがあります。気を付けてください。」
生きている?そりゃそうだろ。そんなこと誰でもわかると思うんだけどなぁ~
「それではFSOの世界をお楽しみください。」
そう言われたとたん暗闇に光が差した。思わず目をつむり、次に目を開けたときには、FSOの最初の町、セントリアにいたのだった。
—運営、田鳳side—
陽祐がいなくなった後一人になった田鳳はつぶやいた。
「未覚醒とはいえまさか、アルカナスキルを得る人がいるとは…」
その後新しくやってきたプレイヤーの案内を再開した運営は、アルカナスキル保持者のことは忘れていた。