4.俺と社会科準備室と変態と
「えっと、何この状況。」
「美人のクラスメイトに両手両足を縛られて、騎乗位のごとく上に乗られてる状況ね。」
「自分で美人とかいうなっ!」
そんなつっこみをいれつつなんでこんな状況になったか思い出してみる・・・・・・
女子苦手克服を清水さんと沙織に手伝ってもらうことになった日の翌日。
俺はいつも通り登校して、いつも通り下駄箱を開け、いつも通りラブレターが大量に落ちてきた。
そんな中、上履きに小さい紙が入ってるのを見つけた。
「8時までに社会科準備室にくるように。来なかったらあなたにセクハラされたと言いふらすわ。 清水玲」
「隆、今何時?」
「ん? 7時55分だ。」
「あと5分しかねぇじゃねぇかぁ!」
陸上選手ばりのスタートダッシュを決めて、社会科準備室まで猛ダッシュ。
ちなみに社会科準備室は下駄箱からかなり遠い。
反対側の校舎の三階だ。
なんとか1分前に社会科準備室に着いた。
が、焦りすぎて違和感に気づくのが遅かった。
「はぁ、はぁ、ん? なんでここまっくら――」
「遅いわ伊織君。罰として手足を拘束させてもらうわ。」
「へっ? うわっ!?」
「よし、完璧ね。それじゃ始めましょう。」
「始めるってなにを――」
「もちろん、女子苦手克服よ。」
――――そうして押し倒されて今の状況に至る。
真っ暗なのは暗幕が閉めてあるからだった。
「さて、とりあえず服を脱ぎましょうか。」
「いや、まてまてまて! なぜ服を脱ぐ!」
「女の身体の気持ち良さを知ったら女子苦手が克服されると考えたからよ。伊織くんも早く脱ぎなさい。」
そう言って彼女は服を脱ぎ始める。
暗くてよく見えないが、やはりスタイルがいいことはわかる。
てか、そんなこと考えてる場合じゃない。
俺の貞操が危ない。てかクラクラしてきたんですけど。このままだと気絶するっ。犯されるっ。
「清水さんどいてっ お願いっ」
思考回路がめちゃくちゃになりながらも懇願する。やっぱり初体験は好きな人とがいいからね。まぁ好きな人なんていないんだけど・・・・・・
「嫌よ。どいたら逃げるでしょう?諦めて早く脱ぎなさい。」
「手足縛られてて服が脱げるかっ! てかほんとにお願いしますどいてください。」
「それもそうね。手くらいは解いてあげるわ。」
「ついでに足m「それはむりよ」」
「返事はやっ! 」
「だって足も解いたら逃げるじゃない。」
そりゃそうだ。てかほんとやばい。だんだん視界がぼやけてきた。
「ほん・・・・・・とに、おねが・・・・・・」
ああ、お母さんっ。僕をここまで育ててくれてありがとうっ。 僕はこれから僕の知らないところで大人になりますっ。 ううっ・・・・・・
「――りくんっ!? ――――くんっ!」
ああ、このまま知らない間に童貞卒業しちゃうんだなぁなんて馬鹿なことを考えながら、ついに俺の意識はどこかへいってしまった。
――――――――――――――――――――――
目が覚めたら見知らぬ天井が目に入った。
真っ白い天井。 明るい部屋だ。さっきいた部屋じゃない。
身体を起こして周りを見る。
「ここは・・・・・・ 保健室か?」
「そうよ。」
全身に鳥肌が立った。清水さんの声だ。
だが、周りを見渡しても姿が見当たらない。
「どこから・・・・・・」
「ここよ。」
清水さんが現れた。俺の足もとから。掛け布団をどかしながら。
「うわぁぁぁぁぁぁああ!?」
思いっきり後ずさる俺。もちろん壁に頭をぶつける。痛い。
「美少女が添い寝してあげていたというのに、その反応はひどいわ。私のガラスのハートが傷ついてしまったじゃない。」
「清水さんのどこにガラスのハートがっ!?」
「なにか言ったかしら?」
「イイエナニモ・・・・・・」
「ならいいわ。」
女子コワイ。
「何やってるのあなたたち。元気になったなら教室に戻りなさい。」
保健室の先生が気づいて声をかけてくれた。
まぁあれだけ叫んだら嫌でも聞こえるよな。
とりあえず助かった。ありがとう先生。
「すみません。すぐ教室に戻ります。ありがとうございました。」
そう言って俺は保健室を出て教室に向かう。
清水さんも教室に帰る。
同じ教室なのでもちろん一緒に行くことになる。
あぁ、こわい。気絶してる間になにをされたんだろう。ほんとに卒業しちゃったのか?もうお婿さんに行けない・・・・・・
「大丈夫。何もしてないわ。」
「エスパー!?」
「考えてることが顔に出てるもの。わかりやすいわ。」
ま、まじか・・・・・・ 今度から気をつけよう。
でも何もなかったのかぁ。良かったぁ。これなら安心してお婿さんに行ける。
「そういえば、清水さんが保健室まで運んでくれたのか?」
「そうよ。とても重かったわ。まるで象でも運んでいる気分よ。」
「そこまで重くないだろ!? でもまぁありがとう。」
「冗談よ。それに礼なんて言われる筋合いはないわ。私のせいだもの。まさか密着しただけで気絶するとは思わなかったわ。ごめんなさい。」
「え? いや、女子苦手のせいだからさ、気にしないで。」
「ありがとう。 伊織君は優しいのね。」
「!? お、おう。」
なんだこれ!? 清水さんてこんないい人だったっけ!? 怖いイメージしかなかったけどいい部分もあるんだなぁ。
これからはもう少し優しく接しよう。
「そういえば伊織くん。」
「ん?」
「あなたの息子、立派だったわ。」
「・・・・・・」
・・・・・・今、こいつなんて言った?
「伊織君? 聞いてるの?」
「あ、ああ。ごめん。聞き取れなかった。もう1回言ってくれ。」
「しょうがないわね。1回だけよ。」
頼む、どうか聞き間違いであってくれ。
「あ、な、た、の、む、す、こ、す、ご、く、り、っ、ぱ、だ、っ、た、わ。」
「いちいち区切らなくても聞き取れるわ!」
てか、え? まじ?見られたの?
「大丈夫。見ただけよ。」
「・・・・・・大丈夫じゃなぁぁぁぁいっ!」
やっぱり女子コワイ。 特に清水。 変態。 コワイ。
俺もうお婿に行けない・・・・・・
冗談よと清水は言ったが今の伊織には届かなかったみたいだ。
それからふたりは無言で教室へと向かった。
キャラ紹介をしたいと思います!
本編だけではイメージしづらいかもしれないので・・・・・・
というわけで今回は主人公!壬生伊織です!
主人公:壬生伊織
高校生1年生の男子。勉強もスポーツもできるイケメンで女子にモテモテ。女子が苦手で密着したりすると、気絶してしまう。でも女子に興味はある。
こんな感じですかね! でもこれからいろいろ付け足されるかもしれません。
見切り発車なもので・・・・・・w
読みづらかったりすると思いますが、これからもよろしくお願いします!