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ACE Girls  作者: ふろいむ
第六章 大会
30/38

6 - 3 二人で十分

おまたせしました。頑張って書いた戦闘シーンです。少しずつでも爽快感のある書き方を勉強していきたいです。

「私たち世界1位に鍛えられてますからね!」


 さくらがそう言いながらミサイルを放つ。先程まで後ろを飛んでいたF-22(ラプター)は、クルビット(宙返り)によってオーバーシュートさせられていた。


 しかし相手も一回戦を勝ち抜いた強豪である。ミサイルに対し正確にデコイを射出して海へ落としていた。


「さくら先生、もう一機後ろから! あと10(10秒)で交戦距離! すいません間に合いそうにないです!」

「りょうか〜い!」


 軽くチェックシックス(後ろを確認)すると、遠くに小さい点が見える。流石になにもしないとミサイルが飛んでくるので、アクションを起こす必要がある。


「(大宮さんは鹿嶋さんの方に向かってるようです。さて、どうやって対処しましょうか)」


 あと3秒でミサイルアラートが鳴るだろう。どうにかしなければいけないはずなのに、さくらの心は落ち着いていた。


「(バトロワ(生き残りサバイバル)をやりすぎてたからでしょうか、こんな状況でも冷静な自分に感謝ですね)」


 その時、さくらの機体の前方をNF-0が横切った。亜美のNF-0は先程確認したばかり。という事は、あれは美穂のNF-0だろう。そうだ、あれを使わせてもらいましょう。


「こちらさくら。境さん、よろしくおねがいします」

「な、なんでしょう? 先生? ……ってうわああああああ」


 さくらは美穂の機体と一瞬並び、そして上昇しながら離れていった。先程から追いかけてきている敵機はというと……しっかり美穂の方に食いついていた。


「(作戦成功です♪)」


 これも美穂への信頼があるからこその行動だろう……多分。


「境さん、そのまま適当に逃げててください」

「うぃ、ウィルコ!」


 そして、さくらは美穂を追いかける敵機目掛けて急降下する。敵機はさくらに気付いたものの、高度差に技量の差、追われる側と逃げる側の差が合わさってどう頑張っても逃げられない運命だった。ミサイルはかろうじてデコイで撒けたものの、容赦のない機銃がコックピットから翼にかけて命中。撃墜判定が下されて試合から退場するのだった。




◇◇◇




 亜美は標的を定めると、速度を合わせるために一旦上昇。そして敵機の後ろを目指して降下した。所謂 "ハイ・ヨー・ヨー" を行い、敵機の真後ろにピッタリとつく。ミサイルはもったいないので機銃でエンジンを狙う。見事にエンジンに吸い込まれた機銃はエンジン内を破壊、機体の推進力を奪った。


「さて、これでもう加速できないね」


 そう言って亜美は撃墜までしないうちにその場から離れていった。敵機はそのまま滑空を続け、何もできないまま海へと落ちていく。無駄玉、無駄時間を一切排除した亜美の戦い方に、上空から援護していた霞は自然と祐希の姿を重ねてしまっていたのだった。


「かすみん、どうすればいい?」

「あっごめん。もうこのあたりには敵機は見えないよ。未来ちゃんの方に2機。さくら先生もそっちに向かってもらってる」


「(ついつい祐希ちゃんの戦い方と重なって見えちゃって、ぼーっとしてた。今気になるのは、もう片方の分隊。亜美ちゃんなら一人でもなんとかなると思うけど、どうしよっか……)」


 霞は心の中で自問し、敵味方の戦力差を鑑み、そして答えを導く。その答えを口にしようとしたその時、


「……それじゃあ、残りは三人に任せよう。二人で行けるよね?」


 亜美も考えてることは同じだったようだ。霞はニコリと笑いながら次の指示を出す。


「もちろん。こちら霞。残りの2機は三人でお願いします。美穂ちゃんは未来ちゃんに追加でさくら先生の援護もお願い」

「こちら亜美。もう片方の分隊はかすみんと二人でやっつけてくるから、それまでによろしくね〜」


 そして亜美と霞は転針。たった2機だけで、こちらに近づいてくるであろう敵分隊に向かっていくのだった。




◇◇◇




「敵発見。2機のみ」

「多分もう片方の敵とやりあってかなり消耗したんだろう。なんだか申し訳ないな」

「でもそれも戦略のうちです。彼らは自信があったのでしょうが、過信は禁物ですね」

「そうだな。さて、おしゃべりはおしまいだ。たったの2機だぞ。早いものがちだ」

「「「「「Roger!」」」」




◇◇◇




「おっ、見えた見えた」


 レーダーにようやく映った敵を見て、亜美はウキウキしながら機種を向ける。近くに来ていると思っていたが結構遠くに居たようだ。


「遠見の見物ってわけだね、さっさと片付けちゃおっか」

「あいよー! いつもの援護、よろしくね!」


 そして霞は高度を上げ、いつもの援護ポジションにつく。二人で編隊を組んで戦う時は、大体この戦法だった。


 ロッテ戦法。長機(リード)僚機(ウイングマン)が援護する戦術で、長機が攻撃を行っている間、僚機が上空か長機の後方について援護を行う。作戦Bの元になった戦法だ。


 霞は自分がサポートに向いていることを自覚していた。亜美と一緒にいる時、自分が攻撃をするよりも亜美のサポートをしたほうが勝率が高いことに気づくと、サポートについて勉強を始め、一ヶ月後にはサポートに関して言えば部内トップだと祐希に認められるほどになっていた。


「でも流石にこの数を相手にするのは初めてだね……」

「そうだね〜でも私はかすみんを信じてるから大丈夫だよ」

「うん、援護は任せて!」


 ここに2機 vs 6機という無謀な戦いの幕が開けた。


 ただ適当に突っ込んで戦うなどといった戦法の"せ"の字もない戦い方をするつもりは二人にはなかった。霞の考案した戦法を短い時間で共有した二人は、作戦通り上空と海面スレスレに分かれて敵に向かっていった。


「こちら霞。敵機を視認したよ。NF-7が6機編成で、まだ全機で編隊飛行中。あっ今分かれた。2機と4機に分かれて亜美ちゃんの方に2機行ったよ」

「こちら亜美。舐めた真似してくれますね〜まったく! そっちは作戦通り、"全力で逃げてね"!」

「ウィルコ!」


 そして、敵機のうち4機が霞を追いかけ始めた。NF-7使いの霞に対してNF-7が4機で襲いかかる。機体の相性はイーブン、数は4倍。霞に勝ち目は無いように見えるが、それは"正々堂々戦ったら"の話。霞は絶対勝てないこの勝負を放棄、逃げに徹していた。


 一方の亜美は、上空から降下しながら襲いかかってくるNF-7に対して何もアクションを起こさずに悠々と飛んでいた。NF-0は機体が軽く、加速力が高い。機体が開発された当時のエンジン性能から速力も高く設定されているため、ことスピードに関してはNF-7に勝ち目はなかった。そして、先程からミサイルが飛んできてもおかしくない距離まで敵が近づいて来ているのに悠々と飛んでいる理由はここにあった。


「敵さんも賢いな〜ミサイル撃ってこないや」


 亜美がそう言うと、そんな事言うなら、と言わんばかりにミサイルが飛んでくる。レーダーに映る二本のミサイル。亜美は鳴り響くミサイルアラートにも気を留めず、まだ悠々と飛んでいた。


 上空から亜美のように海面スレスレを飛んでいる戦闘機に向けてミサイルを撃つと、ミサイルは重力に引かれながら加速して飛んでいく。スピードが上がればその分制御が難しくなり、細かな修正ができなくなる。更に、高さを誤ると一気に海に落ちてしまうので、上手く高さを調節しながら敵機を追尾する必要がある。一見難しそうな話だが、ミサイルはしっかりと敵機に向かって飛んでいくのだ。では、どうやって今挙げた難題をクリアするのか。


 問題を解決したい時は、その原因から探るべし、とは昔のある有名な医者の言葉だ。今回の問題は"スピードが速い"ということである。だったらミサイルを"遅く"してあげればよいのだ。


 ちょうど今、亜美を追いかけているミサイルも速度を調整しつつ追尾していた。


「にしし、やっぱり速度が遅すぎるんだよね〜」


 亜美はそう言うと高度を少し上げた。高度を上げるとミサイルに追撃されやすくなる反面、アクロバティックな飛行をする余裕が生まれる。そして亜美はミサイルに合わせて針路を固定し、ミサイルに真後ろから狙われるような状態にすると、ミサイルアラートがうるさく鳴り響く中スピードを落とした。


「まだだよ……まだだよ……今!」


 そして、ミサイルが後少しで当たるタイミングで強引な機首上げをする。機体は頭の部分が垂直になるまで持ち上がり、高度が少しだけ上がる。所謂"コブラ機動"だ。猛烈なGが亜美にかかるが、一年以上遊んでいる亜美にとってこれくらいの機動は朝飯前だった。速度が落ちる戦闘機の真下を、ミサイルが飛び抜けていく。


「ごっつあんです!」


 亜美はそのまま機首を元の位置まで戻すと、目標を失って更に速度を落としたミサイルが眼の前に出てくる。元々遅くなっていたミサイルが更に遅くなれば、亜美の腕にかかれば機銃で簡単に落とせる。ミサイルはそのまま後ろから機銃を受けて爆発した。


 ここで一つ解説を入れると、現代の戦闘機は機銃も狭い範囲ではあるが狙いをつけることが出来る。機首方向に固定されているわけではなく、レーダーで捉えた目標に当たるように自動的に向きを調整してくれるのだ。さすがの亜美でも飛んでいるミサイルに固定された機銃を当てることは難しい。この性能があるからこそのミサイル撃墜なのである。


「よし! さて、敵さんは……」

「6時方向、距離10000高度600!」

「うお、意外と近い」


 亜美がミサイルを調理していた隙に敵機は接近してきたようだ。さっきのミサイルは近づくためのものだったのだろう。


 亜美は先程の機動で上がっていた高度を更に下げ、右に旋回を始める。敵機も追従してくるが、確実に墜とせる距離までミサイルを撃たないのだろうか、ミサイルアラートが鳴るだけで一本も飛んでこない。


「敵さん敵さん、手の鳴る方へ〜」


 余裕綽々で敵から逃げる亜美は更に右旋回を続ける。敵機はそれに追従し、真後ろについてミサイルを撃たんとばかりに旋回する。




◇◇◇




「あいつ、ただ旋回しているだけですよ」

「油断するんじゃない。少なくとも一分隊を壊滅させた生き残りだ」

「そうですけど……まあそうですね。あの機動じゃミサイル撃っても当たりっこないです」

「機会は待てばいずれ来る。確実に当てて墜とすぞ」

「待つっていつまで待てば――」

「バカお前! ブレイク!」

「なっ、え?」




◇◇◇




「ふっふーん」

「ナイス撃墜。そのままもう一機も行けるよね?」

「モチのロンよ」

「……教科書(歴史の)以外で初めて聞いたよ、その言葉」


 亜美は、旋回の途中で更に機首を上げ、そしてそのまま後ろ向きになった。いきなりの180°ターンに相手の対応は遅れ、亜美の放ったミサイルによって戦闘機の片割れが撃墜。もう一機は上手く逃げられたものの、これで人数の差がなくなった。


 進行方向と逆向きに飛んでいるので次第に揚力は失われる。亜美はすぐに姿勢を元に戻し、逃げた敵機を追いかける。


「今度は私が鬼だよ〜」


 そしてその速力で敵機に追いつくと、ドッグファイトが始まった。敵機は必死に逃げるが亜美の戦闘機はしっかりと追従する。


 ミサイルは撃たずに機銃を撃つ亜美に対し、敵機は亜美がミサイル切れだと判断した。既に一個分隊を倒した後だと思い込んでいる敵は、亜美と距離を取ろうとする。


「ひっかかったね。さよなら!」


 そしてその瞬間を待っていた亜美はミサイルを放つのだった。


 デコイは間に合わず、程なくして敵機は撃墜され、亜美を追っていた敵は亜美に1ダメージも与えること無く退場していった。


「おつかれ! 私もそろそろ疲れたからこっちお願い〜」

「おっけーかすみん!」


 低空にいた亜美は霞のいる上空に向かって上昇する。霞が華麗なテクニックで4機から逃げている様子が絡み合うコントレイルから読み取れる。亜美を追っていた2機が落とされたことを知ったであろう敵は、霞を墜とすべく更に苛烈な攻撃を浴びせていた。


 亜美は下から上昇しながらミサイルを放つ。流石に敵も気付いていたのか、デコイで上手くミサイルを撒いていた。ミサイルを回避して安心したのか、敵機は再び霞を追いかけ始めた。


「なんでみんなこっち来るの〜」

「人気者だねーかすみん」

「今は冗談言ってる暇ないってば〜」


 亜美よりも霞を追いかける敵に対して、亜美はもう一度ミサイルを放った。そしてそれと同時に急加速する。もう一度デコイでミサイルを避けた敵だが、その時亜美は真後ろに来ていた。機銃を浴びた敵機は失速し、そのままもう一度機銃を浴びて撃墜。


「残り3機!」


 次の敵を見やると、流石に脅威に思ったのか残りの3機は霞を狙うのを止めて亜美へと狙いを変えていた。


「ほらほら〜こっちおいで〜」


 亜美はそう言いながら逃げ始める。すると、今まで逃げに徹していた霞が私の番だとばかりに上空から亜美に向かう敵機へと攻撃を仕掛けた。


 一切攻撃を仕掛けてこなかった霞に油断していた敵は、ミサイルをモロに喰らう。3機の内1機が墜とされて、1機がダメージを受けた。そのまま攻撃を続ける霞は、機銃で負傷していた敵の翼をもぎ取り、落下させる。もう一機は方向転換した亜美に既に墜とされていた。


「無傷で6機撃墜! さすがです!」

「凄い凄い! やっぱり強いです!」

「鹿嶋さん、大宮さん、さすがです」


 ちょうどその時、最初の敵を殲滅した三人から無線が飛んできた。


「こちら亜美。結局命名してなかったけどブラボー撃破。まあ初戦はこんなもんですよ。そっちはどうだった?」

「こちら美穂。アルファ殲滅しました。こちらも無傷です」

「さすがじゃん〜それじゃあ全機帰投!」

「「「「ウィルコ!」」」」


 そして5人は無事に基地へと帰投したのだった。

誤字脱字、おかしい点などがありましたら指摘していただけると恐縮です。また、是非よろしかったら感想、ブクマ、評価の方をよろしくおねがいします。とても励みになります。ここまで読んでいただきありがとうございました。

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