第7話 君の笑顔
お待たせしました。
ゆたかはウルフの頭に手を当てて膝に乗せて涙を流していた。
「生きてたんだね」
ゆたかは涙を流しながらウルフに言った。
「うっ?」
ウルフは目を開けてゆたかを見た。
「起きた?」
ゆたかはウルフにそう聞いた。
「何故貴様の膝の上で俺が眠っているんだ?」
ウルフはゆたかに聞いた。
「何でかな?」
ゆたかは涙を流しながら言った。
「お前は誰なんだ?」
ウルフはゆたかに聞いた。
しかしゆたかはそれを聞いて下を向いた。
「何故貴様は泣いてるんだ?」
ゆたかは涙を溢しながらウルフの頭に手を当てた。
「貴様は俺の何を知っているんだ?」
ウルフはゆたかに聞いた。
「貴方が今まで何と戦ってきたのか、そして多くの人々に笑顔と希望を与えたことを」
ゆたかは涙を拭いながらウルフの唇にキスをした。
そしてウルフの頭の中に一人の少女の顔が写った。
その少女は片手に銃を持ちながらウルフと共に多くの敵と戦い全てを平和にしてきた。
「俺は・・・・」
ウルフは片手に持っていた蒼龍を見て思い出していた。
自分が何故この世界に来たのかを。
何故自分が戦ってきたのかを。
「ウルフ!」
後ろから攻撃を仕掛けてきたのはハサンだった。
「敵がまだ居たのか!」
そう
アエリオは剣を片手に持ちながら言った。
「テメー等がウルフに何をしたか知らないが俺の仲間に手を出すんじゃねえ!」
ハサンは片手に持っていた小刀でゆたかに斬りかかった。
「殺らせるか!」
アエリオに攻撃を防いだ。
「っく!死に急ぐか!」
ハサンは小刀を片手に持ちながら言った。
「おい!能美!」
アエリオは剣でハサンと戦いながらゆたかを呼んだ。
「そいつを連れて離れてろ!」
アエリオは剣を片手から両手に持ち変えた。
「うん!」
ゆたかはウルフを担いだ。
「ふっ、貴様を殺すしか道はないみたいだな」
ハサンは片手にバイオウイルスカードを取り出した。
「この力で全て破壊する!」
ハサンはバイオウイルスカードを首に近づけた。
その瞬間カードは体に取り込まれ腕は鎌の様な形になり脚はバッタの様になり口は昆虫の様になった。
「貴様を殺してウルフを返してもらうぞ」
ハサンはそう言って両足に力を込めて神速の速さでアエリオに近づいた。
アエリオは剣で攻撃を防ぎ回し蹴りを打ち込んだ。
ハサンは片腕の鎌で攻撃を防ぎアエリオの脚をメキメキと折り始めた。
「っぐあああああ!」
アエリオは痛みを堪えながら片手に力を込めた。
「こいつで終わりだ!」
ハサンはもう片腕の鎌でアエリオに攻撃を仕掛けた。
アエリオは全力の一撃をハサンの鎌に打ち込んだ。
ガキィン!
ハサンの鎌は粉々に砕けた。
アエリオは地面に倒れて痛みに耐えていた。
「残念だったな」
ハサンの鎌は数秒で再生した。
「貴様の会心の一撃も無駄に終わったな」
そう言ってハサンは鎌をアエリオの首に近づけた。
アエリオは薄れ行く意識の中古狼を思い出していた。
もう諦めるしかないとアエリオは覚悟していた。
その時。
ガキィン!
金属の音がアエリオの近くで聞こえた。
目を開けたアエリオの前に居たのは古狼だった。
「俺の仲間になにしてんだ!」
古狼は星王の剣を片手に持ちながら大声で言った。
「貴様!その顔は!」
ハサンは古狼の顔を見てビビっていた。
それもそのはず神山古狼はウルフと同じ顔で殺気を感じただけでウルフと同じ気配を感じていた。
「お前の相手はこの俺だ!」
古狼は両足に力を込めて脚力を強化した。
「うらぁ!」
ガキィン!
星王の剣はハサンの鎌にぶつかり凄まじい風圧を起こした。
「っぐ!」
ハサンは両腕の鎌で古狼に攻撃を仕掛けた。
ブゥウウウン!
古狼はギリギリ避けながら星王の剣に力を込めた。
「疾風迅雷!」
古狼は星王の剣から雷と風を巻き起こしてハサン攻撃を仕掛けた。
ハサンは鎌で攻撃を防ごうとしたがあまりの力にハサンの鎌はまた破壊された。
「こいつで終わりだ!」
古狼はブレスレットに触れて魔王スタイルに変えた。
「いくぜ!」
古狼はゆっくりと歩きながら片手から魔法を発動した。
「っぐ!貴様はこの技で殺してやろう!デスホーン!」
ハサンは頭の角から炎を放ちながら走り出した。
「無駄だな」
そう言って古狼は片手を前に出して金色の鎖の形をした剣を持ってそれを鞭の様に振り回してハサンの体に巻き付けて動きを封じた。
「っぐ!」
ハサンは動きを封じられて動く事ができなかった。
「俺の新技を見せてやろう!」
古狼は目を閉じてイメージした。
片腕を青色の大砲へと形を変えて自分の持つ最大出力の魔力をそれに注ぎ込んだ。
「吹き飛べ!スターフラッシュオブブレイブ!」
白銀のエネルギー砲は学校の窓ガラスの大半を破壊した。
古狼は魔王スタイルを解除して元の姿に戻った。
「古狼!大丈夫か?」
アエリオは片手に剣を持ちながら古狼に聞いた。
「ああ、何も問題はない」
そう言って古狼は辺りを見た。
ーーー屋上ーーー
ウルフとゆたかは屋上で話をしていた。
「おい」
ウルフはゆたかに話し掛けた。
「何?」
ゆたかはウルフに聞いた。
「お前は俺の彼女なのか?」
ウルフはそうゆたかに聞いた。
「うん、貴方が忘れてしまっても私の中での彼氏は貴方なんだよ!神山狼牙くんだよ」
ゆたかはそう言ってまた泣き始めた。
「かみ・・やま・・ろう・・が?」
ウルフはその名前を聞いて思い出していた。
かつて自分が何者だったのかをそして蒼龍を見て思い出した。
かつて自分が何故戦ってきたのか。
そして何故魔法が使えたのかを。
「そうか、俺は神山狼牙!魔法使いで侍だった男だ!」
ウルフはようやく自分の名前と本来の自分を思い出した。
「また一緒に戦おうよ!」
ゆたかはそう狼牙の手を握って言った。
「お前は変わらないな」
狼牙はそう言ってゆたかの目を見て言った。
「狼牙くんもね」
ゆたかはそう言って狼牙に抱き付いた。
「へへ」
狼牙は笑みを浮かべて空を見ていた。
ーーー校舎ーーー
古狼はハサンの中にあるバイオウイルスのカードを取り出してケースに入れた。
「あいつは?」
古狼はアエリオにゆたかがどこに行ったか聞いた。
「ああ、どこに行ったんだろうな?」
アエリオは剣を持ちながら辺りを見た。
「神山くーん!」
後ろから琴音が古狼を呼んだ。
「おう、遅かったな」
古狼はそう琴音に言った。
そのあと三人は屋上に向かった。
ーーー屋上ーーー
ゆたかと狼牙はお互いに手を繋ぎ空を見ていた。
「また、こうやって一緒に空を見れるなんて思ってなかったな」
狼牙はそうゆたかに言った。
「うん、私も思ってみなかった」
そうゆたかは笑顔で狼牙の体に抱き付いた。
「・・・・・」
狼牙は口を開いて小声で何か言った。
「えっ?何か言った?」
ゆたかは狼牙の方を見て聞いた。
「いや、何も」
そう言って狼牙は地べたに座り星をじっと見た。
「あっ!居たぞ!」
古狼はそう仲間に言った。
「お前等上に行くなら言えよな!」
アエリオはそう言った。
「能美さんはその人は?」
琴音は狼牙を見て聞いた。
「この人は神山狼牙くん、私の彼氏だよ」
ゆたかはそう狼牙を全員に紹介した。
「よろしくな」
狼牙は頭を下げて言った。
「ああ、こちらこそ」
古狼は狼牙を見て初対面と感じなかった。
5人は話をして家に帰宅した。
ーーーゆたかの住むマンションーーー
ゆたかは狼牙に服をどうするか聞いた。
狼牙はハンカチはあるか聞いた。
そしてあまり使わないハンカチを狼牙に渡した。
狼牙はハンカチを片手に持ちながら目を閉じてイメージした。
そしてハンカチは服とズボンに変わった。
狼牙の造形魔法は昔も今も健在だった。
「狼牙くん」
ゆたかは狼牙を呼んだ。
「ん?」
狼牙はゆたかの方を振り向いた。
「一緒に寝ようよ」
ゆたかはそう狼牙に言った。
狼牙はあまりの言葉に固まってしまっていた。
「仕方ないな」
そう言って狼牙はゆたかの隣で横になった。
ーーー50分後ーーー
ゆたかは眠りに入りすやすやと寝ていた。
狼牙はゆたかを見て自分も寝ようとしたがゆたかを見てかなり緊張していた。
そして自分の中に三つの選択肢があった。
[寝る]
[別の場所で寝る]
[ゆたかの服のボタンを何個か外す]○
そして狼牙が選んだのは最後の選択肢だった。
ぷつ×3
ボタンを外して狼牙は自分がしている事が変態だと気づきボタンを戻そうとした。
「ん?」
ゆたかはいきなり狼牙の頭を掴み自分の胸に抱き付いた。
狼牙はあまりの出来事に頭の処理が追い付かなかった。
「狼牙くん・・・・」
ゆたかは寝惚けながら狼牙を胸に押し付けた。
狼牙はあと10時間もこのままなのかと思いながら早く終わらないか願っていた。
ーーー朝7時ーーー
ゆたかは目を覚まして辺りを見た。
そこには狼牙の姿は無くキッチンに向かった。
ーーーキッチンーーー
そこにはエプロンを着た狼牙が朝飯を作っていた。
「よう、遅かったな」
そう狼牙はゆたかに言った。
「おはよう」
ゆたかはそう笑顔で言った。
これからも一緒に笑顔で居てくれますように。
ーーー狼牙の最後の台詞ーーー
俺に残された時は19日・・・・・・
続く
狼牙とゆたかのカップリングは最高ですね!
ポイントとコメントと評価とお気に入りに入れてくれたら嬉しいです!
ではまたいつか!