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第七話 黒い狼

昨日は投稿できずすみませんでした。

今日も投稿できなさそうだったのですが、流石に二日連続はちょっと……。

いつもよりさらに短いです。

 今日からは遅くなっても平気だということで、ルーシェルとセリアは椅子に座って話していた。たまにだが、昔はノエルが来ることもあったのでこの洞窟には椅子が二つある。


「千年の間に起こったこと?」


 その言葉に、ルーシェルはまじめな顔でうなずいた。千年の間、何が起きたのか。それを自分は知らない。だからセリアに尋ねようと思ったのだ。やはり世の中のことを知らないのは、色々とまずいだろう。

 セリアは唇に手を当て、考え始めた。


「えっと……。特に大きな出来事はなかったけど、変なことはあったらしいわ。ルーちゃんは『キカイ』って知ってる?」

「ううん。それって何なの?」

「……わからない。だってそれを発明しようとすると、黒い狼が壊しにくるんだもの。キカイを作るために必要な物も、壊されてしまって……。だからこの世界の文明は、ルーちゃんが封印された頃と、そう変わってないかも」


 黒い狼。

 心当たりがある。というか、あれ以外は有り得ないだろう。


(い、いや、でもまさか……)


 あの子がそういうことをするとは思えない。こんな小さな嫌がらせのようなことはせず、堂々と人間を絶滅させるはずだ。だってノエル(・・・)だから。


 黒い狼の心当たりとは、ノエルの使い魔のことだった。彼女の使い魔は『アベル』といって、とても強くてノエルに従順な狼だった。

 野生の狼が、キカイという物をわざわざ壊しに行くとは思えないから、黒い狼とは十中八九アベルのことだろう。

 問題は、なぜノエルがそんなことをしたかだ。

 いや、おそらくルーシェルが封印されたからであると思うが……。何のために、キカイを壊したりするのだろう?


「その魔女って、どんな子なの?」


 セリアは首をかしげる。言葉で説明するのは難しいから、心の中で思い浮かべる。

 とにかく明るく、元気な魔女だった。ルーシェルと話している時、彼女の黒い瞳はキラキラと輝いていて。とても綺麗だった。

 その反面、人間に対しては残酷。ノエルの愛らしい顔が、スゥッと無表情になるのは恐ろしかった。ためらいもなく、人間を殺す彼女が恐ろしかった。


 あのノエルなら……。

 こんなことはしないと思う。やるのならもっと悲惨なこと。


「そっか、ルーちゃんはノエちゃんのこと、大切に思ってるんだね」


 ふふっと笑ったセリアに驚く。今思ったことのどこに、ルーシェルがノエルのことを大切に思っているなんてことが入っていたのだろう。こんなことはしないで、もっと悲惨なことをやるだろうと思っただけなのに。


「あれ? 僕そんなこと考えてないよね。……ってノエちゃん? セリア、君ノエルに殺されるよ? 他の人の名前を短くするのは、セリアの癖なの?」


 ルーシェルのことはルーちゃん、ノエルのことはノエちゃん。ノギスのことは白猫君と呼んでいるが。

 短くするというのは間違えかも知れない。白猫君という呼び名は、ノギスというよりも文字数が多い。ルーシェルとノエルの呼び名だって、ちゃんを付けてしまえば短くする意味はないだろう。

 こてんとセリアが首をかしげた。


「癖というか、何だか短くした方が仲良くなれる気がして。白猫君は何となく白猫君と呼んでいるけど」

「何となく!? そんな理由でだったのか!?」


 ノギスが目を見開いて叫ぶ。確かに、何となくで白猫君と呼ばれたら怒るかもしれない。だが、猫のノギスが怒ってもそこまで怖くなかった。セリアもそう思っているのか、ノギスのことを微笑ましげに見つめている。

 そんな顔をしたら、ノギスはもっと怒ると思うのだが。彼がつむじを曲げて困るのはルーシェルだ。ノギスは怒るとなかなか機嫌を直さないのだから。しばらく話してくれなくなるのだ。


「昨日の夜言ったでしょ? 私のことを名前で呼んでくれたら、白猫君のことだって名前で呼ぶわ」

「……それだけは嫌だ」

「ふ~ん、やっぱりそうなんだ。……これが恋愛感情だったら面白かったのになぁ」


 セリアがぼそっとつぶやいた言葉は、ルーシェルの耳には聞こえなかった。セリアはにやにやしながら残念そうな顔をするという、何だか変な顔をしている。

 詳しいことは訊かないほうがよさそうだ、とルーシェルは洞窟の外に目を向けた。


「……あ、セリア。もう日が沈んできたよ。そろそろ帰ったほうがいいんじゃないかな」

「はあ、残念だけどそうするね」


 椅子から立ち上がり、そう言う。


「じゃあ、また明日」

「う、うん」


 セリアの言葉に照れながらうなずく。こういうことはノエルともしていたが、未だに慣れない。セリアと本当に友人になったのだな、と思うと嬉しくなった。

 洞窟を出て行った彼女を見送り、視線をノギスに向けると不機嫌そうだった。先ほどの会話が原因なのだろうか。


「気に入らない」

「え、セリアのこと? 悪いけど、我慢してくれないかな」

「そっちじゃない」


 ならどっちなのだ。

 ノギスがなぜ不機嫌なのかわからなかった。


     * * *


 この時、セリアと話した話の内容をルーシェルは忘れていた。










 もっと深く考えていたら、とのちに後悔するとは知らずに。



黒い狼は会話にしか登場していませんね……。

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