第三章:友情にシステムの欠陥
遺跡から戻った正子とリオン。
一度解散してから王宮に報告をする事を決めそれぞれ帰路に帰った。
「正子!!、、無事で、無事でよかった!!」
ニナが涙流らに駆け寄ってきた。
「あ、、ええ、帰りました。」
困惑する正子、今迄人と深く交流してこなかった彼女はこんな時どうしていいか分からない。
しかし、自分の感情の居所よりニナの質問の嵐に質疑応答するのでいっぱいいっぱいだった。
「、、ご心配おかけしました」
自分でもこんな事を言うことに驚きながら安堵もしていた。
翌日、国王に報告する前に調査報告書を作成する為に王宮の一室を借り、取り掛かった。
「まず、現状の問題点を整理します」
正子はノートを開き、箇条書きで記録していく。
問題点:
1、魔力配分の地域格差(首都圏に70%集中)
2、詠唱システムの複雑性(習得に平均8年)
3、言語体系の分離による教育コストの増大
4、創設者による情報隠蔽の痕跡
「これを放置すれば、国家として持続可能性に欠ける、、、」
正子が資料をまとめていると、ドアがノックされた。
「失礼します」
入ってきたのは、王宮魔導師団の長、エリアスだった、60代と思われる白髭の老魔導師だ。
「あなたが、例の調査をしている神楽坂殿ですか」
「はい。何かご用でしょうか?」
エリアスは深刻な表情で言った。
「陛下からご報告を受けました。あなたは第一神殿で、世界の中枢システムに触れたと」
「ええ、触れました。そして、多くの問題点を発見しました」
「それは、、、危険なことです」
エリアスの声が低くなった。
「世界のシステムに手を加えることは、禁忌とされています。過去に一人だけ、それを試みた者がいましたが、、、」
「どうなったのですか?」
「消えました。魔力の暴走に巻き込まれて」
正子は眉をひそめた。
「つまり、システムには安全装置が不十分だということですね。それこそ、改善すべき点ではなきですか?」
エリアスは驚いた顔をした。
「あなたは、、、恐れないのですか?」
「恐れます。ですが、リスクを恐れて問題を、放置するのは、より大きな危険を招きます。適切なリスク管理と段階的なアプローチで、安全に改善を進めることは可能です」
正子の目は真剣だった。エリアスはしばらく正子を見つめ、やがて深くため息をついた。
「わかりました。では、、お見せしたいものがあります、後日またこちらへ来ていただけますか?」
「承知いたしました。」
帰路の脚が重くなる。ニナにまた怒涛の質問を受けるのかと、、
でも、嫌な気分ではない。ただ、どう対応するのかどう返答するのが良いのか?正子の計算脳には答えが出ず、、
遠回りしながら帰ったつもりが体感では、すぐに感じた。
「正子、おかえりなさい」
ニナは笑顔で迎えてくれた。
その笑顔で今迄悩んでいた事が全て吹っ飛んだ、理論的に考えるのではなく、感情も少しは大切なのだなと。
その夜は2人で遅くまで語り合った。
正子は生まれて初めて自分から自分の考えや思っている事を自然と話せた。それが心地良く、楽しみながら床についた。
不思議な感覚だった。




