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かわいさは蹄でやってくる!―乗馬クラブで働く私の、馬まみれエッセイ―  作者: 時雨オオカミ
第二章 個性の宝箱、あるいは個性の闇鍋

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馬の個性エピソード【エンジェルくん①】

 どんな動物にも個性がある。


 動物を飼ったことのある人ならある程度共感してもらえるだろうが、どんなに容姿が似ていたとしても深く関わりのある人には絶対に見分けをつけることができる『特徴』が存在するのだ。


 人間にも容姿と個性それぞれが違うように、馬にも愉快な個性がある。

 ウマ娘などで世間への競走馬の周知が進んだ現在だと、一番有名なのは真っ白で顔芸が達者なアノ馬を想像するといい。


 彼のように馬にもそれぞれ個性があり、個性があるということはそれぞれにおもしろエピソードが生まれるのだ。

 この章では、私が体験したそんなおもしろエピソードの数々を語っていきたいと思う。


 一頭につき一エピソードというわけではない。おもしろエピソードを持つ馬についてはいくつかまとめて話を紹介していくつもりだ。


 なお、馬のネーミングは当人(当馬?)の本名ではなく、あだ名や愛称で表現させていただこう。要するに馬のための身バレ防止である。


 トップバッターはクラブのレッスン馬としてとても人気のある子。エンジェルくんである。


・エンジェルくん①


 ところで、第一章で記したように筆者は少々オタク気質のあるスタッフである。馬たちについてもオタク視点で接したり、表現することをご容赦ください。


 たとえばこのエンジェルくんの愛称を決めた由来がある。

 彼はかなり幼い頃から弊乗馬クラブに所属しているセン馬だ。(性別の欄にセンという表記がある場合、その馬は去勢済みという意味である)

 五歳頃に引退競走馬として迎え入れられたのだが、元からかなり温厚な性格で、小顔で可愛らしく、聞き分けも良い子だった。

 私から見るとベビーフェイスと呼べるようなお顔をしている。故に、擬人化をして喩えるのが癖のようになっている私は彼のことをこう表現した。


〝まるで海外の聖歌隊にいる美少年のような甘いお顔〟をしているね、と。


 純真でキラキラとした瞳。人が大好きで甘えるのも好き。甘噛みをするのはまだまだ下手だったが、袖口だけをなるべく噛んで気を引こうとしてくる仕草。あまりにも可愛くて私たちはみんなメロメロになっていた。


 成長しても温厚な性格は変わらず、ベビーフェイスも変わらず、ただ、雰囲気は聖歌隊の少年からジャニーズ系の少年アイドル顔に変化していった。


 性格も温厚なのでお客さんには本当に人気なのだが、その分お仕事が多く背中や腰を痛めてしまいやすい。故にほんの少しだけ反抗期に突入しているようで、機嫌が悪くなるとちょっと威嚇してみるということはするようになった。それでも、威嚇する人は選んでいるようだが。


 そんなエンジェルくんは仕事に真面目だ。

 人を乗せているときは絶対に安全に走ってくれる。物音にも風にもほとんど驚かず、他の驚いた馬が走り回っても「あーあ」みたいな呆れ顔で見守るだけである。

 だが、放牧のときだけは誰も乗せておらず気をつかう必要がないからかテンションを上げて弾けるのだ。

 ピョンピョン跳ねて楽しそうにいななきながら走り回る。遠慮なしに走り回ることが彼なりのストレス発散なのだろう。


 弊乗馬クラブでは一日に一回。多くても二回以上は一頭の馬をレッスンに出し続けることはない。その分ストレス発散の場を設けたり、手入れの際にマッサージをしてあげたり、人間でいう湿布薬のような塗り薬を背中や腰に塗ってやったりする。

 マッサージを受ける際の気持ちの良い至福の顔を見るのは、スタッフにとってもストレス発散の場となる。


 そんなエンジェルくんは今日も人気No.1として活躍しながら、全身を洗ったばかりなのに馬房に帰り、すぐおがくずの中に寝っ転がって台無しにするのだ。

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