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追われる者
冷たい夜風が肌を刺す。悠はフードを深く被り、街の片隅でひっそりと息を潜めていた。かつて学び舎だった学院はすでに崩壊し、自分は指名手配された「犯罪者」として追われる身になっている。
「……本当に、こうなるとはな」
自嘲気味に呟くが、返ってくる声はない。アカレは肩の上で丸くなり、じっと悠の顔を見つめている。
「悠、大丈夫?」
「平気だよ。お前こそ疲れてないか?」
「僕は元気!」
相変わらずの無邪気さに、ほんのわずかに口元が緩む。だが、すぐに現実に引き戻された。
遠くで、魔法の光が弾ける。追っ手が近づいている証拠だった。悠は静かに立ち上がり、裏路地を抜けるようにして街の外れへ向かう。
──どこか遠くへ。自分の潔白を証明するために、そして、すべての真相を突き止めるために。
新たな旅が、始まろうとしていた。
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