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面会

悠はライゼン校長に促され、学園の地下へと足を踏み入れた。足元を照らす薄暗い灯りが、廃墟のような雰囲気を醸し出す中、悠の心臓は高鳴っていた。どこに向かっているのか、何を見せられるのか、その不安が胸に広がっていた。


「これから会うのは、学園の総長だ。」ライゼン校長の低い声が響いた。「君にとっては大切な面会になるだろう。」


悠はただ黙ってうなずき、足を速めた。階段を降りると、目の前に大きな扉が現れ、その先には、静寂に包まれた空間が広がっていた。中に入ると、目の前には一人の人物が静かに座っていた。年老いた総長が、悠を待っているような表情で見つめていた。


ライゼン校長は悠を案内した後、立ち止まると、「では、ここで用事ができたので、君一人で総長と話してみなさい。」とだけ言い残し、足早にその場を離れた。


悠は少し驚いたが、それでも総長に会うことは決まっていた。心を落ち着けて一歩前に進み、総長に向かって頭を下げた。


総長は悠を見上げ、静かな声で言った。「おや、君は誰だい?」


悠は少し言葉に詰まったが、冷静さを取り戻し、自分を紹介した。「僕は、悠。アストレア学院に転校してきた者です。」


総長はその言葉を聞くと、しばらく無言で悠を見つめていた。少し間があった後、総長は小さく頷き、「転校生か…」とだけ呟いた。


悠はその言葉に少し驚きながらも、総長の冷静な態度に圧倒される思いだった。何かしらの理由。そんな重い言葉をかけられ、心の中で疑念が湧いてくる。


総長はやがて、悠に向かってゆっくりと歩きながら言った。「君に会うのは初めてだが、何かしらの用事があって来たのだろう。」


悠は少し迷った後、冷静に答えた。「校長から、総長にお会いしてほしいと言われました。何か大切な話があると。」


総長はその言葉を聞くと、少しだけ微笑みを浮かべ、「大切な話、ね。だが、今すぐにそれをどうこうすることはできない。君は今、この学園に関わっているわけではない。ただの転校生だ。」と冷静に言った。


「だが、君がここでどんな決断をするかが、この学園には大きな影響を与えることになるかもしれない。」総長は悠の目をじっと見つめながら言った。その言葉に悠は胸の奥で不安を感じた。


その後、総長は悠の話に耳を傾け、学園内で感じている不穏な空気についても聞いてくれた。悠はその不安や疑念を抱えながらも、全てを話した。


話が終わると、総長は静かに座りながら言った。「君が感じている不安は、決して間違っていない。しかし、今は君にできることは少ない。君がこの学園に関わることで、何かが変わることになるかもしれないが、それは君自身の決断次第だ。」


悠はその言葉を聞きながら、胸の中で何か重いものを感じていた。自分がこれからどうしていけばよいのか、全く分からない。


「今はまだ君が関わるべきではないが、いつかその時が来るかもしれない。」総長は悠に向かって静かな目で言った。「では、少しばかり世間話をしよう」

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