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プロローグ

新連載です。よろしくお願いします。

もしお気に召したら感想や評価をよろしくお願いします。

 見上げると首が痛くなるほどの高さがある天井の下でで男がこの場所にいるはずの無い魔物と戦っていた。

 壁際には天井を支える石柱が等間隔に並び、柱の一本一本には青白い炎で燃える松明のような物が掲げられていて男と魔物を照らす。

 この場所は古代ローマの円形闘技場(コロッセオ)のようであった。


 男の名前は”伊京いきょう  ひとし”、何の因果か数年前に異世界に転生してきた紛う事無き日本人である。

 ひとしはこの異世界で名前をもじり”ジン”と名乗っていた。これは未知の世界で本名を悟らせない為のものであったが今ではジンの意識にすっかり定着し本名と言っていいほどになっていた。


 ジンが今いる場所は迷宮、通称“骨の迷宮”と言われる迷宮で骨人(スケルトン)しか出ない事で有名な迷宮だ。

 その中でもボス部屋と言われる少し大きな部屋である。出入口しか無い石畳の部屋には、大小多数の血のついた骨が散乱しており犠牲者が多い事を語っていた。


 ジンと対峙する魔物は頭に三本の赤い角を持ち、熊の様顔と巨大な体にはびっしりと先が赤く根元に行くほど黒い体毛に覆われていた。両腕はジンの胴ほどもあるぐらい太い。

 肩から肩甲骨にかけて筋肉が大きく盛りあがっており、ジンに致命傷を与えようと魔物の腕が一凪する毎に部屋の空気が唸りを上げ、周囲の空気が渦を巻く。


 その凶悪と言われるほどの武器うでを持つ魔物に対してジンは手に何も持っていない。所謂、徒手空拳で対峙しているのである。

 ジンの腰に小物入れのような鞄のほか、柄の長い短刀の様な物を差していたがそれを抜いた様子は窺えなかった。


 ジンは魔物の腕から繰り出される致命的な攻撃をかい潜り懐に潜り込むと何度目かになる渾身の一撃を叩き込んだ。

 その打撃は魔物にあたると同時に薄く輝き細かな光の粒を拡散させる。その次の瞬間、拡散された光に粒はジンの体に吸い込まれた。

 今までと同じ様な攻撃だったが魔物にとって致命的な攻撃だったのか鋭い牙の間からくぐもった唸り声があがる。


「解析完了!お前の全てを理解した!」


 激しく動いていたのか、日頃から手入れされている黒い髪は乱れていた。だが、ジンの息は上がっていない。凶眼と言われた鋭いその目で魔物モンスターを睨みつける。

 対して熊の様な魔物モンスターは疲れているのか両手をぶらりと下げ棒立ちの状態だ。


 大きく息を吸い込むとジンは軽快に一歩踏み込む。

 その動きに呼応するかの様に魔物モンスターは左腕を大きく振り上げる。が、先ほどまでジンを執拗に攻撃していた時より速度が落ちている様だ。

 速度は落ちているとはいえ熊の様な魔物モンスターが繰り出す一撃である。長く鋭い爪のその身に受ければ致命傷になる事は明らかだ。

 ジンは致命傷になる一撃を軽やかに躱すと魔物モンスターの懐に潜り込み振り下ろされた左腕を掴み投げ技を繰り出そうと体を反転させた。


 だがしかし、なんと言う事だろうか。

 背を向けた魔物モンスターの腹の部分が大きく開き巨大な口が現れジンを飲み込もうとするではないか!

 大きく開いた新たな口の周囲にある大小様々な牙が迫る。サメの歯のように幾重にも並んだ歯は獲物を喰い千切らんと小刻みに動く。

 しかし、ジンはその牙を横目で窺うと不敵な笑みを浮かべた。


「その攻撃は判っていた。」


 ジンは更に鋭い動きで体を反回転させ魔物と対峙する。いつの間にか柄の長い短剣の刃が彼の右手の中で白く輝いていた。この短剣は先ほどまでジンの腰に差してあった物だ。


「伸びろ!自在剣カラドボルグ!!」


 ジンの権能執行(コマンドワード)の声と共に白く輝く刃が大きく開いた魔物に向かい急伸しその腹を突き破った。

 広い部屋の中で魔物の悲鳴が大きく響き渡り空気を震えさせると金属が何かにぶつかるような音が鳴った。

 魔物を貫いた自在剣カラドボルグ白刃は大きく伸び、普通の武器では傷つかない部屋の石壁に傷つけていたようだ。

 意外なそして致命的な攻撃を受けたのか魔物は剣から逃げようと大きく後退しようと動く。

 だがしかし、ジンは追撃の手を緩めず更に一歩踏み込むと腕に力を込めた。


「残念ながら逃げる事は出来ないよ。」


 自在剣カラドボルグが貫いた場所から無数の閃光が走り、魔物の体に明確な光の筋を刻みつけると魔物はひときわ大きく断末魔の叫びを上げた。

 光の筋は魔物を無数の破片に変えるとやがて黒く変色しさらに細かく砂の様になり霧散する。そして魔物が立っていた場所に拳大の宝玉が床にぶつかり大きく甲高い音を立てた。

 落ちた宝玉の周囲には葡萄茶色の鈍い光が渦巻いていた。どうやら宝玉が周囲の何かを吸収している様だ。


「この光の渦は?!……解析。」


 解析はジンの持つユニークスキルである分析から派生したスキルである。このスキルのおかげで異世界でも生きてこられたと言っても良い。魔物自体を解析したのもこのスキルの力に他ならない。

 しかし、有用なスキルとは言え、コアまで解析することは出来なかった。どうやらコアと魔物自体は別物らしい。


「……周囲の魔素を吸収し再生?!再生時に同じ攻撃に耐性を与える……厄介な、だが!」


 ジンは手に持つ自在剣カラドボルグを宝玉に突き立てる。すると自在剣カラドボルグが突き刺さった所から宝玉に細かなひびが入り砕け散った。

 宝玉が砕け散ると同時に部屋の中央に魔素が集中し三匹の魔物が現れた。


「魔素の吸収を止めるとやはり出たか……。だが問題は無いな。」


 ここはボス部屋といっても出現するのは骨人間スケルトンを少し強化した骨戦士スケルトン・ファイターと言われる存在だ。


 (骨戦士スケルトン・ファイター初心者の卒業基準として利用されてきた。今回の事件はそれが悪用されたのだろう。)


 ジンは苦虫をかみつぶしたような顔をすると腕を振り自在剣カラドボルグで三匹の魔物を薙ぎ払った。

 三体の骨戦士スケルトン・ファイターはジンにとって役不足なのだろう。一刀のもとに三体がまとめて斬り伏せられ霧散する。

 ジンは一呼吸すると構えていた自在剣カラドボルグを鞘に収め辺りを見廻す。ボス部屋の魔物の体は霧散したが、魔物の犠牲になった者の骨はその場に数多く残されているようだ。


「ボスは倒したから一日余裕はある……だが、一人で回収するには量が多すぎるな。手伝いを呼んで来る必要があるな。確か入口に領兵が待機していたはずだ。だ……さて、戻るか。」


 ジンは注意深く辺りを見廻しながらゆっくりと部屋を出てダンジョンの入口に向かうのであった。

連載となっていますが、不定期のスローペースです。

全体の構想は出来ていますが、2話は出来ておりません。

気長にお待ちいただけると幸いです。

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