【ハンターの家】
薄暗かったが、電気が通っているらしく壁のスイッチで部屋は明るくなった。
なんともない民家に見える。
壁にはライフルが三本、かかっているだけ・・・
あとは武器や防具なんかが特に見当たらない・・・
ライフルを手に取って、テーブルに置かれた銃弾を仕込む。
「これは銀の銃弾」
「オオカミ男は『銀』が弱点」
「銃弾は15個・・・」
「銃のあつかいはできるのか?」
「「「うーん・・・ライフルはちょっとなぁ」」」
うん、まぁ、そうだよなぁ。
ライフルは資格のための試験があるって聞いている。
「「「資格は持ってない」」」
「分かった。ライフルをこちらに渡してくれ」
「「「大丈夫、一緒に抜け出すために協力するから」」」
ほっとため息。
「そうか・・・ありがとう」
とりあえず、オオカミ男一匹に対して銃弾が1個ですめばラッキーだ。
ライフルは銃口がふたつ・・・
15個の半分ってことだろうか・・・7発分と残りが1個。
それで全部のアイテムを集められるだろうか?
図書館で指定されたアイテムは「協会員のバッジ四種類」。
そこに複数の咆吼が響いた。
アー、べー、ツェーに声をかけて、床で拾ったリボルバーに小ぶりな銀の銃弾を込めてかまえた。
「「「塩を持っていたほうがいいかも」」」
「塩?まさか清めに?」
「「「そう」」」
「・・・分かった。気休めって言葉が染みる・・・」
四人で外に出て、霧の中であながち俊敏に動くオオカミ男たちを見つける。
背中をお互いに向けて、四方に銃をかまえる。
引き金に指はかかっている。
めいいっぱい近づいて射程距離を簡単にするために時間をかせいで・・・銃声。
オオカミ男たちの悲鳴があがった。
私が撃った1発の銃弾は、オオカミ男の額を的確にとらえていた。
オオカミ男の頭から、青い電気がパリパリと音を上げている。
「なんだ・・・?」
よくよく見てみると、目に機械補助がしてある。
くぐもった声で、オオカミ男は言った。
「《白魔女は美味しそうにしていたぞ・・・お前の妹の、甘い・・・あめだまを》
飴玉は持たせてあるが、なんだこの言い方!?
「《ヒヒヒ。美味しそうにしていた・・・白魔女、が》」
「何が言いたいんだ!?」
「《ヒヒヒ・・・白魔女は最高の女・・・・》」
そう言って、四匹目のオオカミ男が機械補助を残して砂になった。
その砂も風に吹かれて、霧と一緒に払われる。
少しだけ拓けた視界の中、アイテムを探索。
すると、ハート型を内側によっつの銀のバッジを見つけた。
銀が苦手だから服に入れていたのか・・・?
次のアイテムはハートよっつの金バッジ。
そのあとはその金と銀のバッジに両翼を付属させてあるもの。
「「「これは会員と幹部のバッジだね」」」
「なんの?」
「「「秘密結社だとも言われているけど、慈善事業らしい」」」
「どういうことだ?」
「「「特殊な能力者を守るための協会だよ」」」
「新薬と機械化と・・・何か関係があるんだろうか?」
「「「分からない・・・」」」
気になっていた目についての機械補助を調べてみる。
オオカミ男のひどい匂いがする。
ハンカチでつかんでいたが、顔をしかめた。
「これは何か知らないか?」
「「「おそらく、クロイド・二ローが『見て』る」」」
「なんだって・・・!?」
目の部分がカメラになってるってことか!?
ヴンを音をたてて、通信が切れる音がした。
そして勘でそのメカを捨てると、小規模だが爆発が起きた。
そのまま持ってたら危なかった。
「「「なんだかふらふらしてきた・・・」」」
「疲れだろう」
もらった三枚のバタークッキーを差し出す。
それをもらった三つ子はお礼を言ってそれを食べた。
「さぁ、図書館に行かねば・・・!!」
そしてそこで、貧血か低血糖か戦闘終了での安堵なのか気を失ってしまった。
遠くからのように、「「「大丈夫か」」」と三つ子の声が聞こえていた。
それも遠のいて、意識は真っ暗に。
お先真っ暗だ。
――
――――・・・
もしかしたらそのままで死ぬのかもしれないと思っていたが、気づいたら図書館にいた。
三つ子がどうにか運んでくれてあったらしい。
図書館でミーミルチョコレートドリンクを飲んで、癒えてきた頃、シャワーを浴びて着替えたい心地になった。バスタブに湯を張って、中に入って座るとバスタブからお湯がこぼれて、ため息を吐く・・・そう言えば将来の夢の中に、「ヒノキ風呂に入る」があったのを思い出した。
ジェシカが座っているこちらの顔をのぞき込む。
「顔色、少しよくなってきてる」
「ああ、お気遣いありがとう。アーとべーとツェーも」
「「「うんうん」」」
魔法書を作るアイテム四つのバッジは、つなぎ。
ハート四つで四魂、円形で直霊を現しその善なる効果があるとされている。
そしてその銀と金のバッジに両翼がついているのは、「解放」と「導き」の意。
それをジェシカが魔法で混ぜて、図書館の隅にある植物の根を張った「生成中の魔法書」と言うタイトルの分厚い本に練り込む。
すると淡い光がよっつ本に宿って、ぱらぱらと捲れていくページに文字が現われる。
発光が落ち着くと、近づいてみた。
「成功・・・?」
「だといいけど・・・」
最後のページまでめくれた本が、表紙の方向に向かってぱたんと閉じた。
そしてその表紙には、『魔法書』と書いてあった。
ジェシカは「やったー!!成功したぁー!!」と声をあげた。
アー、べー、ツェーも小躍りしている。
しまいには保安官のジョーが現われ、ダンスに加わった。
こいつ、普段何をしてやがるんだ・・・?
少しそんな風にいらつくも、明るくなごんだ雰囲気に呆れる余裕ができた。
魔法書・・・
うわさに聞くに、折りたたんでサイズを変えることができる本。
もしそれが本当なら、便利かもしれない。