【白魔女の家】
とりあえず白魔女の家がどこにあるのか分からない。
しばらくクロイド・二ローの家を探索していたけれど、地図はない。
保安官がいないし、外には人気もないし・・・
とぼとぼと歩いていると、そこに人影があった。
声をかけてみよう!!
そう思ったのも束の間、それはオオカミ男の出現だった。
「まさかお前がクロイド・二ロー!?」
うなり声をあげて、襲われそうになる。
思わず十字架の光印を放つと、オオカミ男はさらさらと砂になった。
特に何も所持している様子はなく、なぜ魔法が使えたのかも分からない。
あれは確か妹も知っているはずの光魔法だ。
「君、君は白と黒、どっちの魔法使い?」
そう声をかけてきたのはローブを着た美少女。
まだ十代前半に見える。
「なにを言っている?」
「魔法使いには白や黒がいるだろう?」
「灰色とかは?」
「リアルすぎるよ」
「・・・ん?」
「概念的白と黒だよ。君、どれくらい前から巻き込まれたの?僕はさっきなんだけど」
「今日、巻き込まれたらしい。記憶がない」
「そういうことか・・・」
「何か知ってる?」
「この街に来ると記憶がなくなることがあるみたいだってことは分かった」
「ん~・・・白魔女の家を知っている?」
「ああ、さっき保安官が案内の時に、ここは白魔女の家、って言っていた場所がある」
「案内してくれないかな?妹を探しているんだ」
「だったら協力してあげよう。ひとりでいるのも怖いし・・・」
「うんうん」
「普通の服を着ているひとがいてよかった」
「・・・ローブに身丈ある杖・・・まるで魔法使い・・・」
「僕は魔法使い見習いだよ、師匠は百五十を過ぎても若い」
「どこから来たんだ?」
「・・・分からない」
共に白魔女の家に行き、壁一面の漢方箱棚を見つける。
「まさか・・・」
白魔女の家のカウンターに、メッセージが削られていた。
『2-5』
2段目の右から5番目を探してみて、引き出しを開けるとメモが入っていた。
そこには、「6-8」と書かれている。
6段目の右から8番目を探すと、またメモ。
「はしご、美味しい茶葉、ティーカップ、飛行機・・・?」
白魔女の家の中にあるはしごを探して、そこに紐で括られたメモをほどいて読む。
『飛行機以外は棚にある。まずはしごを持っていけ。一番上の左から3番目』
ぎしぎしと今にも壊れそうなはしごを登って、薬棚の引き出しを開ける。
すると、『7-9』、そこから『3-6』が出てきた。
7-9には茶葉がふたつ入っていて、「美味しい」と書かれた方を選んだ。
3-6にはティーカップがふたつ入っていて、その棚にもメモがあった。
あとは飛行機。
あれは探している途中で、はしごを使った時に見えていた。
ラッキーだ。
はしごを移動させて、棚の上のおもちゃの飛行機を手に取る。
するとほこりをかぶっていて、咳き込んだ。
どうも観察をしてもこれじゃなさそうだ。
他にも飛行機が家の中にあるかもしれない。
とりあえず庭に出てみると、さっきの美少女がお茶をしていた。
「あ。一緒にどうですか?」
「うーん・・・飛行機を他に見なかった?」
「見かけたのは紙飛行機くらい」
「・・・それはどこで?」
「え、あっちの鳥の巣箱。小鳥が可愛いなぁと思って」
メッセージを読みなおすと、『はしごを使って飛行機のメモを見て』とある。
鳥の巣箱は大きな木の枝にあって、はしごがかかっている。
そこを登って中の巣箱を見てみると、中には紙飛行機が入っていた。
紙飛行機を丁寧に開いてみて、メッセージを見つける。
『図書館でキーワードが待ってる』
めまいがした。
そう言えば光魔法を使った分の栄養が欲しい。
目の前にはティーセット。
本当なら「美味しい茶葉」も入手済み。
「そう言えば君、お名前は何て言うの?」
「ジェシカ。ねぇ、罪悪感がするから一緒にお茶はどう?」
「・・・安全?」
「・・・多分」